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少年時代のユングが愛読したのはロマン派詩人ゲーテの「ファウスト」。ゲーテの哲学は「永遠に女性的なるものが自分を高みに引き上げる・・・」というもの。すなわち
・女性における男性性(男らしさ)
・男性における女性性(女らしさ)
が自分をより高めている、とする哲学だった。
「もう一人の自分」を意識していたユングは、ロマンチストな青年へと成長した。後に彼はそれを「NO2」あるいは「シャドー」と名づけることになる。
青年時代は降霊会に熱中する。従妹のヘリーが強い霊媒能力を持っていたという。降霊状態の彼女の予言は次々と的中し、時には宇宙論の体系についても語った。
彼女は「兄への恋愛感情」、すなわち思春期の少女に多い、特有の近親相姦愛を抱いていた。ヘリーが性的成熟へ近付くにつれ霊媒能力は衰え降霊会ではもっぱらチンケなロマンスを口走るだけになってしまった。遂には
「カール(ユング)と一つになる夢を見た」
と語り、ユングへの誘惑を繰り返すようになる。怖れたユングは「いわゆるオカルト現象の心理と病理」を発表。「降霊現象はヒステリー患者による性的妄想によるもの」とした。彼はヘリーを「捨てた」。彼女は発狂し、やがて衰弱の中早世する。彼はそれを終生後悔することになる。
そうした中で、全てを性でとらえるS.フロイトの《夢判断》(1900)との出会いは衝撃的であった。1907
年にフロイトを尋ねた時に彼はこうフロイトに告白した。
「貴方とあまりに親しくなると同性愛的感情が生じるようで、恐ろしいのです」
「・・・息子よ、それは貴方が私に父親像を求めているのです・・・」
ユングはフロイトの基で頭角を表し、10
年、国際精神分析学会の会長となり「精神分析会のプリンス」と呼ばれる。しかし、あるきっかけが基になり彼は独自の路線を歩み始めてしまう。ある患者がユングに
「太陽からペニスが垂れ下がっている。それが動くと風がおきる」
と語った。ユングはそれに驚愕したらしい。性欲理論ではペニスを男根、太陽を経口と分析できる。しかしミトラ文書(古代アーリヤ人の宗教記述、一般人が読む事は絶対に無い)とまったく同じ内容を述べているではないか・・・(ミトラ文書には、太陽から地へ向かう管の振動が風を引き起こすと記されていた)
やがて、リビドーは性や幼児性愛に限らず他のことでも説明できると主張、師匠の怒りをかい破門される。
ユングは、「宗教は性的白昼夢から生ずる」とするフロイト説を独自に補強した。全ての人間の精神世界にはもともと共通する「見たいイメージ」(普遍的無意識)が存在している。それをモーゼやキリストといった天才達が具体化したのが宗教であるとした。また、世界のどの国にも共通して魔術や降霊の伝承が残されている点にも着目し、これも各地の天才たちが具体化したものだと考えた。そして全ての人間は「見たい」と感じるものはみることができる本能をもっているとし、世界中の古文書に記されている「奇跡」は事実であるとの認識を示した。ただ実証科学の面からしていささか無理な見解も一部あろう。
しかし彼を評価できる点は、「宗教は性を抑えつけるものではなく、性的白昼夢でもない。宗教と性は、同じテーブルにただ単に座っているモノ」として捉えたことであろう。
日本ではユング派の心理学者として河合隼雄が有名である。
☆ ユングの原著論文(英訳)
By Classics in the History of
Psychology
Jung, Carl G. (1910). The
association method. American Journal of Psychology, 31,
219-269. [Introduction of Jungian psychology to
North America
; Jung's most important empirical work.]
Jung, Carl G. (1921/1923). General
description of the types. Chapter 10 of Psychological types (H.G.
Bayes, Trans.). (Original work published 1921) [Key chapter of Jung's
major treatise on personality.]
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