オーストリアの小説家。
オーストリア・ハンガリー二重帝国下のガリツィアのレンベルク
(現、 ウクライナ領リボフ)
に生まれ、ヘッセンのリントハイムに没した。
プラハとグラーツの大学で歴史学を学び、 弱冠 20
歳でグラーツ大学の新鋭歴史学講師として立ったが、まもなくアカデミックな経歴を放棄して作家稼業に専心。
主として故郷ガリツィアの農民やユダヤ人の生態をテーマに数々の物語を書く。
代表作《毛皮を着たビーナス》(1870)
は、
〈ギリシア人〉と称する美男に恋人ワンダを奪われながら、2 人に下男として仕える苦痛に快楽を覚える青年 S.クジエムスキーの性的偏倚
(へんい) を描いたもの。
しかし、そこから彼の驚くべき恋愛神話が始まる・・・・
実生活では人妻 A.コトウィッツや女優 F.ピストール等との情事の後に、グラーツの貧しいお針子 A.リューメリンと遭遇して結婚、
彼女に自作の女主人公の名にちなんでワンダ・マゾッホを名のらせ、小説の筋書どおりの姦通を強要する奇行にふけった。 その為、彼の作品傾向並びに性的奇行が、
〈サディズム〉のサド侯爵とともに精神医学者クラフト・エービングの注目するところとなり、
〈マゾヒズム〉の定義の下に典型化された。
マゾヒズムという名は、好んでこのような性的行為を描いたオーストリアの作家マゾッホの名にちなんで、精神科医クラフト・エービングにより与えられたものである
(1890)。
・狭義には、相手(時には自分自身)
から身体的・精神的な苦痛や屈辱を被ることによって性的快楽を得る性倒錯を言う。
マゾヒズムの心理機制は、サディズムが反転して自己に向いたもの、サディスティックな相手への同一視、罰や苦痛を経験することによる快楽を伴った罪意識の軽減、本来権威的な両親像をなだめるためにとられた従順な役割の性愛化、〈死の本能〉
の無意識的表現などが考えられている。また、今日話題になっているリストカットや薬物乱用を初めとする自傷行為にも精神分析学的に当てはめることができよう。
精神療法的な二人関係においても、無自覚なままに支配と服従、攻撃と甘受といった対人様式が固定的に形成されてしまう場合、それはサド‐マゾヒズム的な関係と表現される。
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