香りの愉しみ シュクレロゴ

日本でも生まれていたアロマテラピー

 
日本では季節の節目に浴槽に香りのある植物を浮かべ、香りを楽しみ、その薬効を利用していました。
今日でも春の到来を告げる冬至には柚子湯に入ります。柚子の果皮には、ヘスペリジンや精油のピネン、シトラール、リモネンなどが含まれ、フレッシュな香りを作り出す上、血行促進効果があり、冷え症や神経痛、腰痛などをやわらげます。また5月の端午の節句には、軒先に菖蒲を飾り、菖蒲湯をわかし、菖蒲酒を飲んだりしました。菖蒲のあのすがすがしい香りは、アザロン、オイゲノールなどの精油成分によるもの。これも鎮痛・血行促進の働きをする事がわかっています。
その他にも季節には様々な香りを持つ植物が利用されていました・・・
1月ー松、2月ー大根、 3月ー蓬、 4月ー桜、 5月ー菖蒲、6月ードクダミ、 7月ー桃、8月ー薄荷、9月ー 菊、10月ー生姜、11月ー蜜柑、 12月ー柚子


また日本には、「香道」という香りの文化があります。香りを楽しむことを基本とした芸道で、茶道や華道と同じく、動作の中に精神的な落ち着きを求める日本古来の芸道ではありますが、香席に出ると、多少の頭痛や風邪気味などは解消し、イライラや不安の解消にも確実に効果があったりと、使用する香木から香る成分による作用を体感していました。昔の人たちはこうした作用を「香の十徳」と称し、香りが及ぼす肉体的・精神的な効用が今日まで伝えられています。
  (一) 感覚を研ぎ澄ます 
  (二) 心身を清浄にする 
  (三) 穢(けが)れを取り除く 
  (四) 眠気を覚ます 
  (五) 孤独感を癒す 
  (六) 多忙時でも心を和ます 
  (七) 沢山あっても邪魔にならない 
  (八) 少量でも芳香を放つ 
  (九) 何百年をへても朽ちはてない 
  (十) 常用しても害がない

「療法」を目的として西洋で発達したアロマテラピーと、「香道」に用いられる香りの原料は同じものが用いられ、香道でいう「白檀」はサンダルウッド、「乳香」はフランキンセンス、「没薬」はミルラ、「丁字」はクローブ、「桂皮」はシナモン、「大茴香」はスターアニス、「龍脳」カンファー(樟脳)の同種樹木。「沈香」の精油も存在します。これらはほとんど漢方薬の種類でもあります。
また世界中を見ても「香り」を芸術にまで昇華させ、精神性を追求する芸道は他に例を見ないものです。



ハーブティーやアロマテラピーという名称が日本でも知られ、植物の香りを利用した健康法や楽しみ方は外国から入って来たもののように思われていますが、実はこのように日本でも芳香療法(アロマテラピー)はなされていたのです。