



世界の水準に比して、我々が今日、経済的・文化的にも豊かな生活をすごせるのは、先人の積善の賜物をうけていることにより成立しているといってよい。そしてさらにより高いレベルを目指す限り、福祉(制度)は民主主義そのものであるといっても過言ではなく、国民のすべてがこの制度をよく理解し、発展させなければならないという責務を負っている。1970年代から加齢学(年齢と能力の関係に関する学問)が盛んになり、加齢(65歳以上)により能力が低下すると考えることが従来の常識であったが、そのことは科学的に否定され、「総合能力は70歳になっても上昇している」と多くの福祉従事者は考えているであろうし、医療心理学上からも、Cattelという研究者は、「流動性知能」と「結晶性知能」に分け、「結晶性知能」は生涯発達し続けると指摘しており、高齢者が地域の長老として年若きものに助言を与えたり、倫理的に示唆したりする点などから、私自身も経験的に「人間死ぬまで成長し続ける」ということを実感している。
私は、そこで、福祉先進国である、北欧デンマークの地域に根ざしたサロンをモデルとして、実践活動として現在の事業を行ってきたが、私自身の持論である、セーフティーネットという観点から介護保険という枠組みの中で、本当の意味の福祉というものをシステムとして確立する必要性を感じ、「利用者の更なる安全」、「利便性」を鑑みて2005年9月1日をもって、介護保険上の施設として位置づけるべく申請を行い、正式な認可施設として再スタートした。その根本的な考え方として、介護保険法を遵守した「日本の中のデンマーク地域モデル」を考えており、3つの柱@地域に根ざした高齢者自身による居場所つくりA予防介護Bピア・カウンセリングの導入が中心概念となる。
(デイサービス)デンマークでは、まず、少子化核家族化という現象から、高齢者のコミュニケーションの欠如がおこり、都会の中の孤独が本来持つ高齢者のいわば「人が人として活きる力」を妨げているという現状を目の当たりにして、「地域の中で安心できる居場所つくり」を目的のひとつとし、家庭的な雰囲気の中で、時間にとらわれず入れる入浴と食事に重点を置いて活動している。特に食事は高齢者にとって大きな楽しみの一つであり、利用者の視点からということを絶えず、心がけている。
予防介護ということは、他の施設でもさまざまな方法を試みているが、(デイサービス)デンマークにおいては、介護保険導入の以前から取り組んでおり、プログラムに必修はなく、機能回復と社会参加という大きな枠組みで個別に対応したすべてが利用者による選択式として、個人がやりたいことを、リハビリなど専門性に裏付けられながら、自分からやろうという力を引き出すということを考えており、特任職員(心理学・機能回復)と相談をしながら個別に職員が対応をするシステムをとっている。
ピア・カウンセリングの導入ということは、(デイサービス)デンマーク独自の試みであるが、今後高齢化が進んでいく中でマンパワーの問題の切り口になるであろうし、何よりも、高齢者のことは高齢者が一番わかっており、高齢者が仲間である高齢者の相談にのっていくという考え方を実践するために、あえて利用者と同世代の職員を採用し、研修等も実施しながら専門性もトレーニングもして、ボランティアとは違った、職員との垣根を取り除く姿勢で臨んでいる。
「指定通所介護(デイサービス)デンマーク」は、介護制度の活用しながら、不安を解消し、精神的にも肉体的にも更なる可能性にチャレンジして、「高齢者力とでも言うべきという活きる力」を引き出す、実践の場として位置づけ、来るべき将来へ向けての職員と利用者の垣根を取り払った試金石としていきたいと思っている。