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【フォレックス・ディーラー物語】の登場人物の中で、一番人気があるのは『田辺課長』ではないかと考えています。
飄々とした態度に、ユーモアとこだわりのない男らしさを感じるからでしょう。
この、サイトを立ち上げたばかりの頃ですから、二年ほど前になるのですが、『田辺課長』からお便りを頂きました。まだ、【青春のモニュメント】と【ニューヨーク】しか掲載されていない頃のことだと記憶していますが・・・。 |
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今日は、久しぶりに声を聞いたが、まずまず、元気そうなので、安心した。
続きを、楽しみにしています。
現在が閑職なので、ここの座敷牢に一人でいても、退屈だ。
なので、少し長文の返事を書くことになってしまった。
暇な時に、ご笑覧あれ。
【青春のモニュメントなど読後感】
あれは、1984年の暮れか、85年の初めだったろう、俺は、資金会議かなにかで、東京に出張した。この時、『梅田』と初めて会ったんだろう。
俺が、ニューヨーク支店に転勤したのは、1984年の5月だから、この時はまだ一年も経っていない。
とはいえ、久しぶりに見る、東京のディーリングルームは、大きさ・設備とも、目をみはる発展振りで、東京市場自体も規模が大きくなったようであった。
昼間のオフィスでは、山下(あのころは為替係長だったかなー?)が、日の丸模様の扇子を振り振り、
「年金さんオーダーで、一億ドルの買いですぅー」
なんて、可笑しかった。
なにやら、同僚諸氏に扇子の表を向けて振る時は“売り”、とか、“一振り、一千万ドル”とか、符丁まで決まっているとのこと。
これじゃー、全く、『桃太郎の鬼が島討ち入りの図』、って感じ。
これを受け、アシスタントの女性までが、粛々とダイレクト・ディールの電話をするのです。
男性社員の大所は、さながら、犬・猿・雉、女性は、雑兵ってとこか。
これが当たり前ながら、真剣そのものの軍隊調。
「なんとか軍曹、Citi Tokyoと3千万ドル、ダンですぅー」
てな口調で手下のディーラーが、執行した取引を山下に折り返す・・・。
佐藤がいつも、ワンテンポ遅れるので、これで却って、カバーが上手く行くケースもある、ってのが笑い話になるくらい。
この頃の東京マーケットは、ちょうどダイレクト・ディールが真っ盛りで、このダイレクト・ディールの仲間に入れてもらうには、一定の仁義があるらしく、呼ばれたら受ける、というレシプロ。
なんのこたーない、落語でいうところの、仲間内の花見酒。
一方、こっちの玉は、ダイレクトで呼ばれたのを受けさばくのはさておき、大方は、ファンドの社内玉。
こんなにでかい金額を売ったり買ったり、ファンドってのは、すげーなー、と思った。
俺のような一介のディーラー勝負と違い、ファンダメンタルズなども見てるんだろうし、リスク感覚・ポジション管理なども違うんだろうな、と感心した。
この頃の為替資金部の市場分析機能といえば、“鈴木カウフマン君”てのがいて、彼が、当社のエコノミストと呼ばれていたんだが、その内容たるや、【Reuters】【Telerate】【Wall Street Journal】などを和訳した程度のもの。
別に、彼の能力を見くびっている訳でなく、為替資金部の実力がこの程度、ということが言いたいだけ。
要は、薄い口銭の為替を大量にひっくり返しては、血と汗と涙で、なんとか儲けよう、という作戦。
これを当時のマネージャーは、美学(美的)だと思っていたらしい。
この当時のマネージャーから、この種の話を伺ったが、その時、替歌の話しも聞いた。
“利食いサンバ♪”、これは、“お嫁サンバ♪”の替歌、他に、“円高で生まれたディーラーやさかい♪ ドル高にはようついていかーん♪ 電信柱にかじりつくぅー♪”ってのも聞いたが、このもと歌は、思い出せない。
とにかく、こんなに大量にやるのは大変だけど、あまり利益効率は高くなさそうだな、という印象、なにより、これを連日やったら、皆さん体がもたないのじゃーないか、と心配。
それに部内の雰囲気が、大日本帝国陸軍みたいで、出たか亡霊、どっかの大学の空手部とも見まごうばかり。
気に入らなかったのは、これが放課後の飲み会などでも続くのだ。
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