「新得」とはどういう意味か?

 「新得」とは何ぞや?
 北海道の十勝にある「新得」の地名の由来を考える考察です。「シントク」という地名は山越え(狩勝越え)と関連の深いアイヌ語地名であると言う説がある。狩勝峠にこだわる私としては支持したいところでありますが、この由来についてはさまざまな説があります。列挙することにしましょう。

  1. 「シリ・エトク」・・・アイヌ語で「山・出崎」、山崎(山の突出部)、山の端。その昔、町で作成したパンフレットなどに書かれていた。
  2. 「シットク」・・・アイヌ語で「肘(ひじ)」の意。地名としては「川、或いは道の曲がり角」を意味するという。アイヌ語地名の著名な研究家である山田秀三氏の著作などに採用され、有力な説となっている。山田氏とは別の「山の肩」という地名解もシットクから出たものであろうか。「山の肩」を踏み分けて山越えしたからと言う解釈もある。
  3. 「シントコ」・・・アイヌ語で「行器(ほかい)」のこと。「ほかい」とは食べ物や身の周り品を入れて運ぶための容器で、三本の足があり木製で漆塗りの蒔絵などが描かれている。和人との交易により北海道に入り、宝物のひとつとされていた。この説も根強いものがあり、派生した諸説がある。また、「シントコ」の語意を「清らかな水の流れ」と解説するものを見た記憶があるがこれは明らかな間違いで、南隣の清水町の「清水」の語源「ペケレベツ」の語意と混同したものである。
 3には、幾つかの伝説がある。有名なのは「シントクの地名伝説」である。概要として「十勝から日高へシントコ(ほかい)を買いに行った老アイヌが、その帰り道現在の新得辺りで野宿をすることにした。枕代わりにシントコをかぶって寝ていると、なにやら頭の辺りでバリバリと音がする。気づくと大蛇がシントコごと自分を飲み込もうとしているではないか。すぐに刀でその大蛇をズタズタに切り裂いたという。それ以来この地をシントコと呼ぶようになった。」というものだが、更科源蔵氏はこの説を後人の偽作だと言う。また、「シントコを洪水で流失してしまった。」など亜種の伝説が存在するようである。
 また、江戸時代の「新得」の表記としては、寛政日勝道路計画に関する皆川周太夫の記録(1800年?)によると「シントコ」で、松浦武四郎は「シントク」としている。「ク」と「コ」の違いであるが、アイヌ語の接尾語「ォ」(名詞の所属形を形成する)が付いたときの変化とも考えることが出来る。
 

 それではなぜ「新得」の字を当てたかですが、これは私の調べた範囲では良く分かりませんでした。そこで辞書で「新得」を引いてみました。地名としてでは無く、漢語としての「新得」です。小学館の「新選漢和辞典(小林信明著)」によると、「新しく得たもの。新発見。」とある。不思議なことにこの言葉は他の漢和辞典や国語辞典では全く見かけない不思議な言葉である。また、インド哲学用語に「新得力」なる言葉があるようですが「新・得力」か「新得・力」かが良く分からない。これは、関係ないかな・・・。そういえば以前、町のキャッチフレーズとして「新しく得をする町」というのがありました。
 実はこの「新得」、最初は別の漢字が当てられていたということをご存知でしょうか。静岡県支配時代の資料(明治4年ころ)によると「真徳」の字が当てられている。これは明治35年当時の北海道鉄道部の資料を見ても踏襲されている。しかし、明治33年に駅逓の名称に「新得」が使われていた為か、明治40年の鉄道開業時には駅名に「新得」の字が採用された。個人的に「真徳」という字面には仰々しいイメージがあります。

 




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