旧狩勝線「落合ー狩勝信号場間の橋梁」

 旧狩勝線の落合側の構造物を探る内容です。


 ここで主に使用した「落合第○号橋」という名称は、設計上便宜的に使った名称と考えられ、現役当時に一般的だった名称とは異なる。出典は北海道立図書館に所蔵されている「田辺朔郎鉄道資料」のうちの「釧路線落合新得間線路平面及縦断面図」である。下は、その一部を拡大したものである(狩勝信号場付近)。

落合新得間線路平面及縦断面図

 橋名として「溝橋」と「橋梁」があるが、比較的規模の小さいもの(概ね径間が5m未満)のものを「溝橋」、それより規模の大きいものを「橋梁」と呼んでいたようである。上りから下り方面に向かって「第一」「第二」となるが、戦後の地図を見ると「溝橋」の名前は「落狩第○号溝橋」と変っている。

 北海道庁「鉄道部年報」等によれば、明治35年度にルーマ空知川橋梁本橋と、立杭をレールで代用した仮橋14橋を架設し、10月中旬に仮軌道が完成したとある。落合駅から狩勝トンネルまではかつて17の橋があったが(1m程度の小さいもの含む)、なぜか「釧路線落合新得間線路平面及縦断面図」には落合側の2橋は省略されており、この2橋が、先に完成していたと推測すれば、35年に建設された一つの本橋と14の仮橋でトンネル口に到達できるのである。

 北海道庁の「鉄道部報」第百七十九号(明治36年4月)によれば、「十勝線百四哩五鎖ヨリ百七哩四十一鎖間線路変更の儀客年十一月四日付鐡主第五一二號ヲ以テ稟請の處左ノ如ク認可アリタリ 鐡第四六六號 北海道庁廳長官・・・」とあり、落合ー狩勝信号場間の大半がこの変更区間に該当する。これは、仮軌道が完成した直後の11月はじめに出されており、時期的に注目される。仮軌道と本線は別ルートであった可能性を示唆しているものではないだろうか。(あるいは仮軌道が当初ルートと違っていた可能性もあると思う。)




落合第一号溝橋

 落合駅構内。駅開業までに完成か?。3フィート。

落合第二号溝橋

 落合駅構内。駅開業までに完成か?。3フィート。

落合第三号溝橋

 落合市街の国道38号線より、北側の「川向」地区へ向かう町道分岐付近と思われる。3フィート。

落合第四号溝橋

 落合市街の国道38号線より、北側の「川向」地区へ向かう町道分岐付近と思われる。6フィート。

落合第一号橋梁
(ルーマ空知川橋梁)北海道鉄道部年報
(落合空知川橋梁)狩勝隧道改築工事記録昭和28年


 落合市街のルーオマンソラプチ川に架かっていた橋。明治35年度に当初より「本橋」として架設される。
 「ルーマ空知川橋梁」という名前が付いていた。鋼鉄桁(80フィート)。

落合第五号溝橋

 落合市街のルーマ地区の沢から流れる小川に架かっていた。6フィート?。

落合第二号橋梁 (第1下鹿渡橋梁)

 国道38号線「紅葉橋」の下流に架かっていた。ペイユルシエベ川。83フィート11(40フィート×2)。現在はコンクリート製の橋台、橋脚のみが残る。
第1下鹿渡橋梁

落合第三号橋梁(第2下鹿渡橋梁)

 国道38号線「千代の橋」(道道落合停車場線交差点より新得側へ約1.5km)の上流300mほどにある。ペイユルシエベ川に架かる。川の中央にそびえる煉瓦の橋脚が印象的。落合側新得側とも橋台が残る(新得側はコンクリート橋台)。建設記録によると橋長105フィート(50フィート×2)。
第2下鹿渡橋梁

落合第六号溝橋

 第2下鹿渡橋梁の200m位?新得寄りにある。ペイユルシエベ川左岸支流の川。6フィート。 現在は撤去され橋はないが、コンクリート製の橋台が近くに捨てられている。
落合第六号溝橋

落合第七号溝橋

 落合第六号溝橋の500m位?新得寄りにある。切土から盛り土に変る地点付近。ペイユルシエベ川左岸支流の川。「暗渠」との記述があるので煉瓦アーチ橋だったかもしれない。3フィート。現在はコンクリート製の暗渠が残る。
落合第七号溝橋

落合第八号溝橋

 落合第七号溝橋の700m位新得寄りにある。石積みの低い橋台がある。ペイユルシエベ川左岸支流の川。6フィート。現在は、土砂流入により破損した橋台の石の一部が見られる。
落合第八号溝橋

落合第九号溝橋

 落合第八号溝橋の300m位新得寄りにある。狩勝山付近を水源に持つペイユルシエベ川左岸支流の川。国道38号から現地へ向かう場合、478.8mの水準点(25000分の1地形図など参照。南に林道が分岐している)が近い。次の十号も同。6フィート。現在は土砂流入で破損し、石とコンクリートが散乱する。
落合第九号溝橋

落合第十号溝橋

 落合第九号溝橋の200m位新得寄りにある。狩勝山付近を水源に持つペイユルシエベ川左岸支流の川。6フィート。
同線の跡が林道として再利用されたためか、アバートの出っ張りの部分の石が打ち捨てられ、Iビームも無残に放置されている。
落合第十号溝橋

落合第四号橋梁(第3下鹿渡橋梁)

 落合第十号溝橋の300−400m位新得寄りにある。落合側に煉瓦、新得側にコンクリートの橋台が残っている。ペイユルシエベ川。40フィート。
第3下鹿渡橋梁

落合第十一号溝橋

 第3下鹿渡橋の1km位新得寄りにある。花崗岩の石組み橋台が残る。ペイユルシエベ川右岸支流の川。6フィート。
落合第十一号溝橋

落合第十二号溝橋

 狩勝信号場跡の落合側スイッチバックと本線の分岐を本線側に500m程行った所にある。ペイユルシエベ川。落合第十一号溝橋とは、1.5km弱の距離がある。
 煉瓦アーチ橋が現存する。8フィート(暗渠)。
落合第十二号溝橋

落合第十三号溝橋 (落狩第14号溝橋)

 狩勝信号場内の落合側スイッチバック(一、二番線)と本線の分岐を本線側に20m程行った所にある。ペイユルシエベ川左岸支流。 
 煉瓦アーチ橋が現存する。径間6フィート。西側に石積みの橋台がある。橋台は第八、十一号溝橋などと似ているのでもとの本線かもしれない(径間10フィートの「Iビーム」と呼ばれる鉄桁が架かっていたと推定される)。当初の図面では「暗渠」とされていないので、「落合第十三号溝橋」は石組みの橋台、「落狩第14号溝橋」は煉瓦アーチ橋である可能性がある。
落合第十三号溝橋

落合第十三号溝橋東隣の橋(無名?)

 狩勝信号場内の落合側スイッチバックと本線の分岐をスイッチバック側に20m程行った所にある。ペイユルシエベ川左岸支流。 
 石積みアーチ橋が現存する。西側23mあまりは石組みだが、残りの東側5m位が煉瓦アーチになっている不思議な橋である。煉瓦の部分は増築であろう。築堤のかさ上げをした可能性がある。径間6フィート。
落合第十三号溝橋東側の橋

狩勝信号場引込み線の橋(無名?)

 狩勝信号場内の落合側スイッチバック(一番線と二番線)の一番奥に行った所にある。ペイユルシエベ川。 
 煉瓦アーチ橋だが、損傷が激しい。径間2.4m(8フィート弱)。
狩勝信号場引込み線の橋



 


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