謎の一円銀貨・・・

 今回、贋造・修正時に出来たと思われる習作品?らしきものの画像を撮影する事が出来たので、ここに紹介する。(H15.7.27)


 随分と状態の悪い一円銀貨である。円銀で、これほどまで痛めつけられたものは、あまり市場では見かけない。聞くところによれば、中国において「防弾チョッキ」のようなものに加工されていたものの一部らしい(真偽は不明)。それが違うとすれば「飾り」として暖簾のような状態で吊り下げられていたものであろうか。
 ここまでくると、ただの銀塊である。私の知る限り、ある地方において古銭と切手のブローカや業者の間でキャッチボールのようにロットごと売買されていた。

 ある事情通に「修正品」について尋ねた事がある。銀貨の修正には加工の容易な純銀が良く使われると聞いていたので、その質問をぶつけると「本物の円銀を溶かしているので、銀質では看破は困難である」と。本物を溶解してしまうのはいささかもったいない話である。だが、台湾などの地で埋納や特殊用途に使用された銀貨は状態の悪いものがまま存在し、この写真のようなものもあったのかもしれない。最近聞いた話しだが、かつて国外流出した円銀が日本へ里帰りで戻る際、流入する前に「修正」が施されたという。100枚単位で円銀を仕入れたという人物も「修正は中国で行われている」と断言した。
 現在、コインブームが去って久しく、中国にかつてのような量の円銀が眠っているとは考えにくいが、「精巧」な修正品は増加の一途である。過去にシミのような変色、あるいは細かいこすり跡で見分けていたものだが、龍図などの複雑な突起部なども生き生きと、復元修正したものまで見受けられるようになった。純度の同じ銀貨などが、修正時の原料となっているのかもしれない。

 数あるへんてこりんな円銀の中で、ひときわ目を引いたのはこの一枚である。詳細に観察すると表面の「てかり」の原因は「銀」によるコーティングであることに気づく。メッキと呼ぶにはチョッと厚いように思う。土台は鋳造品か、加熱などで変質した本物かどちらかである。重量がやや軽いので前者かもしれない。圓の字の上にはぽっこりと銀ロウ?が盛ってある。細かいところを修正するにはこれを盛って、後から削っていくのである。これは盛りすぎだが、興味深いのは加熱の加減によって銀と銅が分離したと見え、ロウの中に銅の粒が混入している事である。(左上拡大写真)
 鋳造品や、修正品の表面加工について実験したものであろうか。





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