幕末動乱における長州藩死者数並びに長州藩諸事変に関わった他藩人死者

T.黒船来航
幕末、狂乱怒濤の事象は嘉永6年(1853)旧暦6月3日(新暦07/07)からはじまった。

黒船の来航である。やがて日本の沿岸各地に外国艦船が姿を見せ始める。 そして、自他の違いを知る。日本人であることを意識し始めた。日本人としてのアィデンティを求めた。 それが「皇国」であった。 それまで意識することもなかった刀を「日本刀」と呼ぶようになった。 やたら皇国を使い、やがて政治的スローガンが「尊皇攘夷」となってしまった。


U.幕藩体制
幕藩体制とは、極論すると武士階級による農民を対象とした不可触的租税収奪権と武力行使権であった。  幕藩体制は武士階級の全てと、商人は運上や冥加と呼ばれる特殊の場合を除き貢納はなかった。 また工人(建築技術職)は税金を払う仕組みさえなかった。 さらに土地(固定資産・地租)に課税する仕組みもなかった。
一方的に税金を課せられる百姓は、天保(1830)年間に入ると 天候不順による凶作が続き公租を負担していた彼らの階層分解が始まった。とりもなおさず 米貢納に頼っていた各藩の財政は徐々に破綻の破断界に向かっていった。 

V.糊塗弥縫
藩財政窮乏に対応するため 藩士への減封(借知・半知)そして商人への御用金や借金。 更に藩札発行で現状を糊塗弥縫(ことびぼう)した。
財政危機克服のための藩政改革は喫緊の課題であった。 そこにはどうしても踏み込まざるを得ない 部内改革(門閥打破)と財政改革が必要であっが、それにはあまり手を付けず藩権力強化策として 農民への一方的公租負担強化策を行った。   更に安政5年(1858)5月外国との通商が始まると内需完結型の国内物資が輸出され 生活必需物品までも市場に出まわらなくなり猛烈なインフレに見舞われることになる。  下層民や下級武士の生活は困窮の度を深め末期的状況に至った。 幕末大乱は下級士族と百姓階層の 経済的崩壊があったことによる。  このキーワードなくして幕末 は語れない。 組織論的に諸藩をみるとき 「対外的有効性の確保」「対内的有効性の確保」 が両輪として機能しない藩は劣敗藩となってしまった。
W.通算殉難者数
幕末前史、安政6年(1859)10月27日吉田松陰の刑死 (密航未遂、金子重助を含まず) を嚆矢とし明治維新までの全期間長州の関わった事件・事変をとらえた。  閉塞した時代を変革したい。主義主張を異にしても恐らくそのその志は 同じだったことであろう。  そして、諸事件・諸事変での死者 1,456人。  志を同じくした他藩人も106人にも及ぶ。

幕末全期間の死者数調査について
幕末維新殉難者名鑑、防長維新関係者要覧などの資料はあるが関係者要覧では同一人で 屋号と姓でダブル記載などがみられ、また各事件各事変別でなくあいうえお順であり 歴史素人の筆者での調査は限界を感じる。
データベース化し集計整理すれば可能だが年齢的に限界を感じています。
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No  事件・事変名 期    間  死者数
幕末前史 安政6年(1859)〜文久3年(1863)4月 12
馬関攘夷戦 文久3年(1863)5月〜 34
奇兵隊・先鋒隊闘争事件 文久3年(1863)8月
生野の変加徳丸事件 文久3年(1863)10月 18
池田屋事件 元治1年(1864)6月
禁門の変 元治1年(1864)7月 229
江戸藩邸没収事件 元治1年(1864)8月〜慶応2年(1866)4月 52
恭順事件(禁門の変) 元治1年(1864)9月〜12月 16
徳山藩内訌事件 元治1年(1864)8月〜慶応1年(1865)1月
10 大田・絵堂戦 諸隊 慶応1年(1865)1月 24
11     〃    萩軍    〃   40
12 明木権現原暗殺事件 慶応1年(1865)2月 10
13 内訌事件 (藩内権力闘争) 慶応1年(1865)3月〜慶応2年(1866)10月 15
14 倉敷・浅尾暴動事件 慶応2年(1866)4月〜 72
15 第二次幕長戦争 慶応2年(1866)6月〜 261
16 鳥羽・伏見の戦い 慶応4年(1868)1月 39
17 戊辰戦争(北越・東北) 慶応4年(1868)5月〜9月 389
18 函館戦争 明治2年(1869)4月〜 39
19 脱隊事件(常備軍) 明治3年(1870)2月〜 37
20   〃   (脱兵側)    〃   141
     小計   1,446
21 他藩関係者(禁門の変含む) 文久3年(1863)10月 80
22 他藩人 長州領内死亡   33
     小計   113
  合計   1,559

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