2004年7月 〜なんでギリシャに2度も負けるかね〜
「Marvin Is 60」V.A
ブックオフにて。
モータウンが生んだソウルの巨人Marvin Gayeのトリビュートアルバムで99年リリース。お分かりの方も多いと思いますが、目当ては日本盤のみに収録の小沢健二です。マーヴィン・ゲイは「What's Going On」しか持ってません。原曲をほとんど知らない者が言うのもなんですが、みなさん多大なリスペクトを感じさせる丁寧なカヴァーが多いような気がします。リズムなどはヒップホップを通過した仕上がりの曲が多いけど、歌に関してはできるだけ原曲の雰囲気を損なわないように注意しているような気がします。こういう企画にありがちな豪華で派手な雰囲気がないところには好感が持てます。しかし、ジャネイのバックトラックにヴォーカルをかぶせただけの小沢健二が浮いてます。「Eclectic」に収録されてたら違和感ないとは思うけど、この面子に対抗するのは無理があると思いました、はい。
「Yesterday Tomorrow Today」Northern Uproar
“Sparkle EP”Marion
“Mary Quant In Blue”The Dylans
ベスト電器で行われていた中古CDセールにて、結果的にブリットポップ救出作戦と相成りました。
Northern Uproarの2ndアルバム。1stアルバムは全然好きじゃなかったのだが、以前試聴機で1曲目を聴いたときは結構いいかななんて思っていた。なかなか中古で安く巡り合わなくて、ようやく今回折り合いがついたわけである。個人的には前作とは比べ物にはならない。抑揚のないヴォーカルは相変わらずで、このヴォーカルが受け入れられない僕はこのバンドのファンにはなることはないだろうとは思う。しかし、メロディは前作より遥かに優れてポップであり、その変化に合わせるようにアレンジは多彩になっている。シングルとなった1曲目“Any Way You Look”ではホーンセクションを大胆に導入し、眩しい夏の太陽のような鮮やかさを持っている。ブー・ラドリーズなんかも思い出したりしたが、彼らに比べると無骨で垢抜けない。多彩なアレンジが過剰に感じられる部分も少なからずあり、このバンドとしてはこのアルバムが限界だったのかな、と感じてしまいました。
Marionもあまり好きではなかったブリットポップバンドの一つだが、彼らの2ndアルバム「Program」はジョニー・マーのプロデュースのおかげかかなりの力作だった。これはその「Program」からのシングルにアルバム未収録曲等を収録した日本特別企画盤。弾けるようなビートとギターサウンドが、彼らとしては非常に珍しいが、物凄くブリットポップっぽい5曲目“Our Place”が個人的には収穫。1stアルバムよりも格段に進歩した演奏能力が、そのまま作品のクォリティの上昇に繋がっている。なぜか打ち込みによるダンスミックスも収録してますが、そこはご愛嬌ということで。
これはブリットポップではないですが。マンチェスターとシューゲイザーの狭間に消えたバンドThe Dylansの日本編集盤。「見本盤」のシールもシールを剥がした跡もなかったのに、CD本体にはしっかりと「見本盤」の文字が・・・。やられた・・・。表題曲はスパイラル・ライフがカヴァー(?)したことでも有名な曲で、2曲目の“I Hope The Weather Stays Fine”とともに新しいミックスでの収録。2曲目はリミックスの効果が顕著だが、1曲目はちょっと音がすっきりした程度で物足りない。その他の曲はアルバム未収録曲ということだが、そこそこクォリティは高い。遅れてきたローゼズのような曲もあるが、彼らならではの甘過ぎるくらいのメロディラインが聴ける。コリン(vo)のメッセージが入っていたり、「ディランズと英語を話そう」という企画が載ってたりと、アイドルみたいな扱いに万感の思いです。
「Trompe Le Monde」Pixies
Pixiesを紙ジャケ再発にて1枚。これは91年発表の(現時点で)ラストアルバムで、ジーザス・アンド・メリーチェインの“Head On”のカヴァーを収録しているということでこれを選んだわけだ。実はちゃんとアルバムを買って聴くのは初めてだったりするのだが、ノイジーでハードなギターサウンドは、当時の英国シューゲイザーとは一味違い切れ味鋭く響く。メタリックなギターサウンドと、絶叫するブラック・フランシスのヴォーカル。こう書くとヘヴィメタルっぽいのかとも思ってしまうが、ヴォーカルは実はか細くて、楽曲は意外なほどメロディアス。9曲目の“Bird Dream Of The Olympus Mons”なんかちょっとメリーチェインっぽい。
「Dazzle Ships」Orchestral Manoeuvres In The Dark
“Brown Eyes Blue”Mohair
「Duran Duran」Duran Duran
「Hippotamomus」Momus
「Ai」Hypnotone
「Cloud Nine」George Harrison
「Orchestral Manoeuvres In The Dark」Orchestral Manoeuvres In The Dark
東京に行った際、タワーレコード、新宿ディスクユニオン中古センター、渋谷ディスクユニオン、HMVと回った結果がこれ。
Orchestral Manoeuvres In The Darkの旧譜はデジタルリマスターされて再発されている(日本盤はなし)のだが、いかんせんCCCDなので買えないでいる。これはデジタルリマスター前のもののようだが、CCCDにするくらいなら旧譜で十分だ。解説がないので詳しくは分からないが、83年リリースの4作目だと思う。1stから順に聴いているわけではないのだが、後期のペット・ショップ・ボーイズにも通ずるポップさに比べると、やはりニューウェーヴの陰りとエキセントリックさが感じられる。音数は少なめで整理されており、ラジオ風のサンプリングなど実験的な試みも多く見られる。特に後半はダークで沈み込むような展開をみせ、一つの楽曲だけでなくアルバム全体をを一つの流れとして聴かせる完成度の高い作品だと思う。世界の時報(日本語もあり)をコラージュした“Time Zones”などもあり、聴き手を飽きさせない。
去年シングルを買ってちょっと気になっていたバンドMohairのニューシングル(セカンドシングルの模様)が出ていた。まだアルバムが出ていないようだが、事を急いでは仕損じるというわけでじっくりやっていくのもいいんじゃないかと思う。そんなセンセーショナルなバンドではないようだし。前作は悪く言えば勢いだけとも思えたが、今作で彼らは確実に進歩している。バンジョーを用いて軽快に転がっていく表題曲はそんな彼らの成長をうかがわせる1曲だ。分厚いコーラスは新人さんにしてはクォリティが高い。アコースティックな音を十分に活かしたポップソングを作っている。ちょっと渋いかもしれないが、この調子でいいアルバムが完成することを祈ってます。
Duran Duranのデジタルリマスターがなぜか中古デジパックにて転がっていました。勿論非CCCDです。この1stアルバムは“Girl On Film”や“Planet Earth”のヒット曲を収録した81年の作品。この後もMTV時代の潮流に乗りヒットを飛ばすことになるが、この作品には81年という時代ならではのニューウェーヴの歪さが残っている。エレクトロニクスを用いたホワイト・ファンクという路線は変わらないが、彼らには似つかわしくないようにも思えるダークなサウンドが出てくる。ラストの“Tel Aviv”はヴォーカルすら省き、ストリングスとエレクトロニクスで美しくも不安を煽るような楽曲に仕上がっている。デュラン・デュラン? と一笑に付すには惜しい作品だ。
ついでにMomusの91年作品を中古にて。名前はよく聞くものの、ちゃんと作品を聴くのは初めて。元はアコースティックな音楽を演っていたようだが、この作品はエレクトロニクスをふんだんに使っている。ハウスと呼んでもいいのかもしれないが、必ずしもダンス向きなアルバムじゃないと思う。柔らかい打ち込みのビートにモーマスの囁くような声やピアノの音が重なる非常に品のよい音である。あくまで音。歌詞はセクシャルで、“I Ate A Girl Right Up”なんてタイトルの曲があるように、倒錯的な歌詞も多い。おそらくは意識的に、こういった文学的な歌詞を書いているんだと思う。自分の心情を吐露するのではない、非常に英国らしいポップミュージックだと思う。当然セルジュ・ゲンズブールといった名前も出てくるけど、そのへんは勉強不足なのでよく分かりません。個人的にはこれをもっと下世話にしたらパルプになるような気がした。
5月に1stアルバムを買ったHypnotoneの2ndアルバム(91年発表)を中古にて。硬質で冷たいダンスビートがリードする曲もあることにはある。しかし印象に残るのは、非常にノスタルジックでレトロな雰囲気を持った楽曲のほうだ。木琴のような柔らかい電子音が、聴き手の郷愁的な気持ちを呼び起こし、それは神秘的ですらある。不思議な揺らぎを持ったこのサウンドは、10曲目のタイトルにも使われているようにアンビエントミュージックと言ってもいいだろう。従来のダンスナンバーも音は抑え気味で、クールでありまた求道的にも聴こえる。1stアルバム収録の“Dream Beam”も同様の雰囲気を持った曲に生まれ変わっているが、これはちょっと余計だったんじゃないかな、と個人的には思った。
割引セールの中にGeorge Harrison、しかも非CCCDがあったので購入。87年リリースのこの作品からは“Got My Mind Set On You”が全米No.1ヒットを記録しており、リンゴ・スターやクラプトン、エルトン・ジョンが参加するなど話題性も豊富なアルバムだ。非常にポップな作りで、イントロのスライドギターが印象的なタイトルトラック“Cloud 9”から始まり、60年代のようなギターサウンドが特徴的な“Fish On The Sand”等を挟み、意図的にビートルズ的なサウンドを織り込んだ“When We Was Fab”まではポップでありながらどこか上品さを感じさせるジョージらしさに溢れている。後半はちょっとダレるが、最後(その後ボーナストラックあり)の“〜 Set On You”だけでもロックンロールの楽しさが十分に伝わってくる。結果的には生前最後のオリジナルアルバムになってしまったが、前向きな姿勢が感じられる作品である。
ジョージと同じくHMVにてOrchestral Manoeuvres In The Darkが80年にリリースしたデビューアルバムを。こちらはデジタルリマスター&非CCCDだ、偉いぞHMV! デビュー作ということでもっとニューウェーヴっぽいのかなと思ってたが、思いのほかポップで驚いた。もともとポップなメロディを書けるってことなのかな。粗くチープな電子音、ほとんどそれだけで作り上げられた楽曲は、今の音に比べると非常にシンプルだ。この音を出すことが重要だったのかもしれないが、実験的ではなくポップミュージックとしてちゃんと聴けるのが素晴らしい。無表情なはずの電子音すらメランコリックに聴こえるのがなんとも不思議で心地よい。
「moon risin'」JUN
“Speeder”Motorworks
シングルのリリースから間が空いていたのでプロジェクト打ち切りかとも心配していたJUNの1stアルバムがリリースされた。先行シングルと同様80年代のエレポップを基本にしたダンスミュージックアルバムである。作詞はほぼ他の人に任せ、吉村潤自身がその作り上げられたJUNを演じることを楽しんでいるように感じる。しかしそんな中他の曲と質感が異なる楽曲がある。SUGIURUMNと吉村で作られた6曲目“Apple”とラストを飾る“Lion”がそうだ。前者はサニーデイサービスの“Wild Wild Party”に通じるブルーグラスっぽいダンスチューン。そして後者が崇高な雰囲気さえ持つミッドテンポのシンプルな楽曲で、WINOラストライブの夜をモチーフに作られたものだと言う。この2曲がいいアクセントとなってアルバムの完成度を高めている。WINOのファンもWINOのことはちょっと忘れてこの濃密な約55分に身を委ねてみてはいかがでしょうか。
石田ショーキチ・黒沢健一・田村明浩・ホリノブヨシという、個人的にはスーパーグループ(世間的には知らん)と呼べるバンドMotorworksのデビューシングル。石田作曲の楽曲を黒沢健一が歌うというのは、ずっと僕が希望していたことだったが期待が大きいだけに不安もあった。スクーデリア・エレクトロ「Track」〜「Flamingo」あたりに近いギターサウンドが強い作品で、うねるベースラインが曲の勢いを後押しするように鳴り響く。楽曲としては及第点といった感じだが、アルバムへの期待は十分抱かせてくれる。
「U.F.Orb」The Orb
「Cha Cha Cha」EMF
「On The Floor At The Boutique」Lo Fidelity Allstars
福岡バスセンターで行われていた中古セールにて。
プライマル・スクリームの「Screamadelica」に参加したことでもお馴染みのThe Orb92年作品。言ってみればアンビエントミュージックで、平気で1曲10分超えてくる。メロディなんてものは当然なく、ダンスビートすらないままプチプチと電子音が続くこともある。電子音がときには自然の音のように響きながら空間を作っていく。たまにすごくいいなと思える瞬間があったりするのだけれど、家や通勤中に普通に聴くのはちょっと辛いかも。酔ってたり(他にもシチュエーションはあると思うけど)すると気持ちいいんだろうなとは思うけどね。
全米No.1ヒット“Unbelievable”でお馴染みEMFが95年にリリースした3rdアルバム。ダンスビートとギターロックの融合と書いてはみたものの、彼らにはロックにありがちな変な生真面目さがない。ハードなギターサウンドはあるのだが、ヘヴィ過ぎずスポーティな軽やかさがある。ストリングスを大胆に配した曲や、ギターのみで歌われるスローな楽曲など、彼らにとっての新境地も垣間見えるが、多分やりたいことをやりたいようにやってるだけなんだろう。別に悪い意味で言ってるわけではなくて、ジーザス・ジョーンズのマイク・エドワーズにも彼らのようないい意味での気楽さが欲しかったくらい。ま、マイクの生真面目さも僕は好きなんですけどね。
意外に好きなLo Fidelity All StarsによるミックスCD。彼らはビッグビートと呼ばれた中でもロック寄りなサウンドを1stアルバムでは出していた。その彼らのルーツを垣間見ることが出来るこのミックスCDではあるが、1stアルバムにあったロック的な要素はここには見当たらない。前半がヒップホップで後半がハウス、大雑把に区別すればそんなところだろう。ロックは勿論サイケデリックな要素もほとんど見当たらない。それらの特徴は1stアルバムのみで脱退してしまったフロントマンの嗜好だったためここでは出てこないのだ。そんな状況ではあるが、前半よりは後半の流れがより彼ららしく、ハウスからブレイクビーツまで強靭なビートで攻める展開が気持ちいい。