私
鍛金・彫金を始めて35年になります。
父親が昔≪打ち物師≫≪白銀師≫といわれていた職人で、銀食器やカップ・トロフィー・置物などを作っていました。
仕事場で金槌の音の中でよく寝ていたそうです。
[結構リズミカルで均し(ならし)なんて自分で打ってても眠くなりますよ。]
勉強も、体育も、美術も、給食も嫌い。いわゆる学校が駄目、でも図工だけは好きだったかな。
芸大目指して3年も浪人しましたが叶わず、絶対あの仕事はやらないだろうと思っていたのですが、どうにも3年間を無駄にしたくないケチな性分が手近にあった鍛金の世界へと足を踏み入れることとなりました。
職人の世界ですから、いかに正確にキレイに落ち度なく作り上げるか仕込まれました。
ある日「現代工芸展」という言葉が目に入り「現代」と「工芸」という、私の中で相反すると思われていたものが一緒になった展覧会ってどんなものだろうと見に行ったら、今まで私の知っている工芸は窮屈なものでしかなかったものが「なんとのびのびと思い切りよく作っているのだろう」とビックリ!
目指すことになりました。
打ち物師の世界ではありえないグラインダー、溶接機、工業機械等でも作られる鍛金作品。
技法でもまたまたビックリ!
鍛金の品田慎一先生、山下恒雄先生、伊藤廣利先生。みんな故人となってしまいました。
技法は勿論のこと表現することを教わりました。
そして一緒に作業しているとき「鍛金って楽しいなー」の一言。これにはびっくりしました。
何しろ今までの自分は「いかに問題ないように」「欠点無いように」と緊張しっ放しで楽しいと思ったことなど一度もありませんでしたから。
これがきっかけで「作るって面白いんだ」を実感できるようになりました。
彫金のほうは鍛金の延長で鏨(タガネ)を使って花瓶に打ち出ししたり、箱物などの蝶番を作っていると
たまたま来た人がそれを見てアクセサリーを頼まれるようになって、そうなるとお金を頂く以上「変なものを作れない」と本を読んだり兄や知人に聞いたりして覚えていきました。
日本古来の技法を現代の作品に生かせないものかと[鍛金家の作るアクセサリー]を基に制作しています。
現在 現代工芸美術家協会本会員
文化服装学院ジュエリーアクセサリーコース専任講師