2007.11.7

第15回コンサート『台湾からの贈り物』を振り返って

 2007年10月21日、ヴォーカルアンサンブル《EST》第15回コンサート〜台湾からの贈り物 が、三重県文化会館大ホールで催され、813名というたくさんのお客様に恵まれました。

 今回は、台湾公演の2週間後ということで、台湾での達成感をそのまま維持できたのが良かったと思います。前日当日のリハーサルも余裕を持って行うことが出来、楽な状態で本番を迎えられました。ただ、台湾の様子を映像とインタビューで紹介しようという企画は、期間が短かったこともあり、撮った映像や写真の編集に大変だったようでしたが。

 演奏曲は、オープニングの「翼」(武満)、《EST》スコラーズで歌ったアルゼンチン民謡「Arroz con leche」の他は、台湾公演と同じでした。ステージ順としては、ルネサンス作品を第1ステージに持って来ました。そして、日本の作品、ロマン派の作品、アルゼンチン・キューバの作品と続けました。

 台湾に比べ、落ち着いた雰囲気で演奏できました。リハーサルに時間が取れたこと、台湾での演奏を振り返って練習出来たこと、地元という安心感・・・・などが起因しています。いつもより、演奏後の疲れも少なかったように思いました。やはり、直前にどの曲も本番の経験が持てたことが大きかったです。

 だんだん県外のお客様が増えています。今回は、書いていただいたアンケートを全部読ませていただきましたが、北海道からと言うのは驚きでした。千葉や東京、静岡、関西や東海北陸辺りからもたくさんのお客様が見えていました。9歳から82歳までの方が書いてくれていました。例年より年齢層の高い方々が多く書いてくださっていました。

 アンケートを詳しく読ませていただくと、たくさんのお褒めの言葉に恵まれていることにまず喜びを感じます。さらに、どの曲にどういう感想を持たれるかという点では、「ああ、千差万別なんだなあ」と感じます。いろんな音楽的指向のお客様がお見えになり、いろんな楽しみ方をされている! また、書いていただいた文章の言葉の選ばれ方や筆跡などもじっと見ていると、何か一人一人のお客様の素顔に触れているような錯覚に陥り、幸せでした。厳しいアドバイスも頂きましたが、書かれた方のお顔を浮かべたり想像したりしながら、納得。

 所狭しと用紙から溢れるように書き連ねられたたくさんのアンケートの1枚1枚。「《EST》の音楽が生きる支えだ・・・」とまで書かれているのを拝見するに付け、私達の営み、音楽の力の大きさということを考えさせられます。「涙が溢れて止まらない」と言って下さる方々、「お金を貯めてまた来ます」と書いてくれている千葉の高校生・・・・・。これらのアンケートは、《EST》の、そして私の宝物です。よりよいコンサートを来年度催すことが出来る勇気が湧いてきます。本当にありがとうございました。

 打ち上げにも参加していただいたのは、神奈川の合唱連盟の金子さん、大阪の合唱連盟顧問の杉山さん。私や《EST》がとてもお世話になった方々です。“楽しいコンサートとは?”など楽しいお話に心弾ませました。また、打楽器(和太鼓、鉦、拍子木)をお願いした水谷さんとも楽しい時間でした。

 《EST》では、“定期コンサートは1年間の総決算”と位置づけています。それだけに、プログラムも張り、エネルギーの掛け方も半端なものではありません。このスタンスが今後どうなっていくかは別にして、この1年のいろんなステージでの経験をギュッと詰め込んで歌いきったコンサートでした。直後の打ち上げでのメンバー達の幸せそうなホッとした表情がこのことを物語っていました。
 

 いろんな懐かしい方や新たな方からメールも頂きました。また、翌日、職場に行くと、同僚の若い先生が『春に』のCDを私に見せ、「ロビーでこれを買って帰り、家で聴いて1曲目で涙しました」と。彼はリコーダー奏者としてコンサートもしている人。有難かったです。職場や周りのご理解に支えられているのを改めて実感しますね。

 さあ、コンサートは終わりましたが、今度は、全日本合唱コンクール全国大会。初めての大編成部門への参加です。たくさんの曲を歌いきるコンサートとは違い、たった3曲に絞ってのコンクール。もう一度、練り直し、音楽的な密度を上げての演奏です。4日後です。出来るだけのことをして来ようと思っています。


 





向井正雄のホームのトップへ




2007.12.24

大編成で“金賞”&特別賞〜今年の全日本合唱コンクール

 2007年11月11日、ヴォーカルアンサンブル《EST》は、東京文化会館で催された、第60回全日本合唱コンクール全国大会にて、一般B部門(32人以上の部)“金賞”“台東区長賞(2位)”を受賞しました。



AかBか


 昨年度は、イタリアでの国際コンクール参加のため、全日本コンクールには参加しませんでした。一昨年までA部門(32人以下)で参加していたこのコンクールでしたが、2年間で団員も40人を超え、しかも、団員の技術も上がってきています。『果たして、32人に絞ってAに出るのか。全員でBに出るのか。』皆で迷いにに迷いました。

 7月の申し込み締め切りぎりぎりまで、メンバー全員に意見を書いてもらったりしましたが、全く真っ二つに分かれ、私の決断次第という状況になりました。その時のメンバー全員の意見を私がまとめたものを下に記しておきます。

どちらを希望するか? 理     由
A部門 B部門
1 理想からいくと、全員参加ができる、Bなのかもしれませんが、参加状況を予測するならば、今までと同じ、Aで参加した方が、良い演奏が出来るとおもいます
1 現段階で、団員全ての人がシンギングコンテストに合格できるレベルに達しているなら、かつ出席できる人数が40人近くあるのならば、Bで良いと思います。ただパートバランスが悪かったりするのなら、考えなくてはならないと思います。ちなみに一昨年、私は全国大会客席組でした。非常に悔しかったですが、やはり《EST》の純粋な音が好きだったので、自分で懸命に納得していました。そうして競い合うからこそ質が高まっていくとも思いました。
1 団的にはBかなぁと思いますが、県・支部・全l国と3回チャンスがあるわけですしシンギングコンテストとかで選別があることで切磋琢磨できる部分も大きいのでAで。
1 全員で歌いたいからです。
1 課題曲は少人数編成向きではないかと思う為。<課題>・自由曲の1つである「Nunc Dimittis」の「声の厚さ」がある程度は無くなってしまう ・シンギングコンテストで人を選ばなければいけないということ。
1 B部門(大人数)でもESTの音楽が実現可能と考えている先生の意見により。
1 シンギングコンテストの質を高めて、Bで出場する。 理由:団員の意識レベルが上がってきたことに対する対応。個人的にはA、団のことを考えればB。
1 パートバランスはやっぱり大切だから。Aでたとえ自分が出られなくても、団としてよりよい演奏をしたい。
1 B部門では出場したことがないのでAでの出場とどちらが団にとってよりよいのか判断する基準がない。(来年度以降、そこまで急激な人数の変化はないと仮定すると)今後の判断のためにもB部門で出場してみてもよいと思う。課題曲G1に関しては32人でも多いと私は感じるので35人でB部門で歌っても大した違いはないかと。1人にせよ10人にせよ、シンギングコンテストを合格できるレベルの人がパートバランスや人数制限で歌えなくなるのは辛いので合格者が32名以上いるならB部門で出たい。ただ、質の高い音楽を目指す気持ちは当然あるのでB部門の場合、今以上にパートバランスを配慮する耳と自制心が必要・・・こりゃあ大変だなぁと思っている。
0.5 0.5 B部門で出場して皆で歌いたいですが、音楽的なことを考えたらA部門になるのでしょうか。
1 全員で歌いたいので
1 パートバランスはやっぱり大切だから。
1 イタリアでのコンクールに向けて、ものすごく技術レベルも高くなったと客観的に思いますし、Bグループで出場してもマンボを選択すればいい結果が出る予感。
1 ESTのメンバー全員で歌いたいと常に思っているからです。もしBの方向で行くのなら、大人数であることやパート同士の人数の差を埋められるような練習が毎週必要になってくると思います。しかし、練習にできるだけ多く参加することが不可能である方が多い、あるいは、室内楽的な音楽やパートバランスのことを考えるとやっぱりAの方が良いということになりましたら、Aの方向でいくべきでしょう。ESTとしてコンクールに出るからには、音楽の美しさやよりクオリティの高い演奏を常に保っていなければいけないと・・・。どちらに決まっても文句は言いません。自分のためにも周りのためにも、まぁこんなもんでいいやという演奏をしないように頑張ります。
1 室内楽という原点をくずしたくない。B部門は音楽的にも迫力が必要な気がするので、緻密な音楽をするにはA部門がいいと思う。
0.5 0.5 AでもBでも、載れなければ客席から応援させてもらう。
0.5 0.5 十分ステージメンバーとなりえる練習参加率、曲の理解度があるメンバーが32人をこえるのであれば人数制限で落とされる人が少しでも減るようにB部門で出てほしいなと思いました。
次に団員としての考えです。現在のパートバランスから考えるとB部門では音楽が壊れる危険性をはらんでいる気がします。またそれとは別に、東京カンタートなどのように全員参加できるステージの時のシンギングコンテストのように若干の甘えが出てしまう危険性があると思います。そしてなにより、B部門で参加すると40人弱では他の大編成の団体の迫力に負けてしまったり、曲の演奏が荒くなるのではないかと思います。私個人はESTの持ち味は曲に合わせた繊細な演奏や曲の核の部分に迫った演奏だと思うのでその持ち味がB部門では十分に表現できない可能性があると思います。なので従来どおりA部門での参加が団の方向としては良いのではないかと思います。
1 Aグループで出たいです。悩みましたが、いい音楽ができるなら、それが一番いいと思いました。もし出られなくても、悔しい思いをすると思うんですが、もっとがんばろうと思うと思います。
1 全員が出られないことを前提にしてしまうと、普段の練習から団員の気持ちが一つにまとまらなくなるのではと心配になります。今回はBに挑戦して、結果が出た後でその後の方向をまた皆で考えたらいいと思います。また、BでAのような演奏ができればすごく楽しいし、でき次第では全日本の舞台の上で今までと違った新しい風をおこせそうな気がします。
1 緻密でレベルの高い演奏がしたい。35名くらいしか全国大会に出れないのであればAにすべきでしょうし・・・40名以上可能であればBかな?と思ったり・・・
1 課題曲の曲想や《EST》の原点を考えれば、Aで出場するのが望ましい。しかし、コンクールの捉え方を結果重視でなく「これが《EST》だ!」という表現の場とするなら、他の行事と同じような過程を経てBで良いと思う。それが好成績につながったら言うことなし。
1 実際に出られるメンバーは36〜37名と考えます。大編成に臨むにはちょっと難しいのではないでしょうか。・B部門は、何となく迫力とダイナミクスが重視されているようなところがあり、私たちが普段やっている室内楽的なものとは少し異なる気がします。課題曲のパレストリーナもA部門に合った選曲と思います。団員個々のレベルが上がってきているとはいえ、きちんとした音程で歌えない人もいる。また主体的に音楽ができない人も少なくない。32名を選んだ方が、質の高い音楽ができると考えます。A部門の場合、舞台メンバーと客席メンバーに分かれるが、いつもその双方がよりよく影響し合い、良い音楽につながっているように思う。という理由からAが良いと思いますが、もしBになったらまた違った良い面もあるとは思っています。
1 ステージに乗る側、それを聴く側にわけることによるオンステできなかったメンバーのモチベーション低下がないことを望みます。毎週の練習にも必ず出席して、がんばっても報われないことの脱力感は想像以上です。コンクールでも何でも基本は全員参加で、いい結果も悪い結果もみんなで共有できたら最高だと思います。
1 Aで出場する場合、ステージメンバーと客席メンバーに分かれた時点で客席メンバーの気持ちはやはり少し離れてしまうとおもいます。一緒に練習してきたメンバーで同じ感動を分かち合いたいです
1 今年の曲や技術の細かさなどいろいろ考えたらAに傾きましたが、ESTの団員全員が聴衆に対していい歌をうたえる合唱団であってほしいので。
1 合唱団のあり方として全員参加が自然な姿ではないかと思います。ただし出演にあたっての条件を設定することに依存ありません。
1 課題曲がルネサンス期のものであり、やはり大人数で歌うのはどうかと思う。できる限りその当時歌われていたであろう人数や、雰囲気で歌いたい。課題曲に重きを置くならばAで出場したいです。
1 みんなでステージに立ちたいからです。昨年のアレッツォなどを通してみなさん技術的に高いレベルにあると思います。しかし、普段の参加状況を見ると、ちょうど忙しい方が多いのかBグループで参加できる人数ではない気もします。
0.5 0.5
1 選曲がA向き。30数人では苦しいのでは? 
1 今年は全員で舞台に乗れる台湾でのコンサートを活動の中心にしているので、コンクールは少数精鋭で望む方が音楽的にはいい効果が得られると考えます。個人的には、全員で臨みたい気持ちもあるのですが・・・。あと、選考基準を明確に示すことで、出場メンバーから漏れても納得できるように持って行くことが昨年の経験から必要なのかなと感じました
1 あの課題曲を大編成で歌うのにはやはり違和感がある。あと、室内楽的に、という原点の重視
1 バランスや出席人数にもよるが、音楽監督がB部門(大人数)でもESTの音楽が実現可能と考えているため。
1 団として全員がステージにのる、というのは原則なのではないかと思うからです。シンギングコンテストもあり、また先生もBグループで行く可能性を肯定してくださるのなら、EST全員で結果を出せる形に持っていければいいなと思います。
1 コンクール出場の意義は、ESTの音楽の質を向上させるためと理解してます。常に観客へ最高の音楽を届けるにはどうすべきかの視点で考える必要があると思います。編成は演奏する曲によって決めるのことが本来の姿ではないでしょうか? 少人数で演奏すると高い演奏効果を得られる曲を大編成で演奏するのは、観客に違和感を与えかねません。団員数が増えた、個々のレベル向上等は歌い手の都合のように感じました。課題曲にG1を選択したことと、自由曲に緻密さが求められることから、A部門としました。
0.5 0.5 Bで出たからといって突如ESTの演奏が「大編成」になるわけではないでしょうし、今後人数が急増でもしない限り、あくまでもESTの演奏にしかなりえないと思います。逆にBで出るからといって演奏を変える必要はないでしょう。B団体に混じってどういう風に評価されるのかというのは少し興味があります。Aの団体のほうが魅力的な団体が多い(と思う)ので、そこで切磋琢磨しあえるというのはAで出るメリットの一つ。
1 何のためにコンクールに出るのか?ビジョンと2月度議案書を確認しました。・金賞をとるためにやってるわけではありません。・バランスに不安はあるものの出席率は高いと思います。・個々のレベル向上も目を見張るとは言えないかも知れませんが、地道に向上してるのではないでしょうか?演奏で大きなダイナミックスと緻密さを兼ね備えた、中人数の室内合唱団を目指したいと考えます。 みんなの意見を見てて、より決心が固まりました。Bで出たいでなく、出るべきだと思います。みんなの言うとおりAの方が良い演奏をしやすい環境だと思います。バランスは良い、競争心も煽れ緊張感が高まる。Bで良い演奏をするにはこの点が大きなハードルとなるでしょう。しかし、あえてこの一段高いハードルにチャレンジしたいです。なぜなら!それは僕らは全員でESTであり、演奏会もシンギングコンテストを突破できた全員で歌うからです。演奏会であろうがコンクールであろうが、僕らにはよい演奏をする責任があります。なら、人数制限が無い状況でも良い演奏をできるようにするのは当然のことです。よって、Bでチャレンジするべきだと考えます。
Bでよい演奏をするにはAで出る以上に努力が必要になるでしょう。でも、やらねば!
1 ESTが十分に大編成の人数になり、そのような通常練習が定常化している状態になったとき、自然に大編成を選択することになると思います。今の状態はまだそうではないと考えます。
0.3 0.7 40人を超えるようなら大編成の方がいいと思います。 課題曲は小編成向きだけど、自由曲は多人数の方がいいと思うので。 前例があるかはわかりませんが、コンクールの規約を読むかぎりでは(B編成で出場者が32名を下回っても失格にはならない=審査対象)、課題曲のときに例えば20人で歌ってもいいと解釈できます。
0.7 0.3 限られた枠を競い合うからこそ切磋琢磨しあえる仲間こそが《EST》を支えているのだと考えます。もちろん全員で出たいという考えもあるのですが…。
1 無記入
1 ESTはこれまでBグループで出たことがない。今年は人数にも恵まれ、新たな舞台で演奏できるチャンス。Bグループで出ることも一つの経験・糧となり、より豊かな音楽体験になるのでは・・・。
1 みんなでステージに立ちたいからです。
1 音楽的な見知から。大人数の方がダイナミクスに幅が持たせられる分、少人数に比べて断然迫力(説得力)を持たせることができます。ただし、大人数ではどうしても雑になりやすい。指導者の腕の見せ所ではありますが、「うまくまとめたい」なら少人数が無難かと。ま、ESTは(というか、スコラーズは)少人数の方が得意と思います。
合唱「団」としての見知から。40人超で「ヴォーカルアンサンブル」といえるか(個人的には20人が上限)?また団創設の理念、選抜による切磋琢磨の意義、もあると思います。ただ、特別な理由がない限り、私は全ステージ"全員で"臨みたいです。なお、個人的にはAでもBでも音楽(曲)に向き合う姿勢は変えません(今年の目標)。
21.5 22.5

 結局、「《EST》の音楽を変えずにそのまま出そう!」と皆で団結し、私がB部門で提案し、全員で承認したのでした。上記の意見からも分かりますが、メンバー達は本当にSingerとしてりっぱな考え方を持ち、それを実践しようとしてくれるようになりましたね。現在こういったメンバーに恵まれていることが、《EST》を15年頑張ってきた一番の宝です。

本番までの道のり

 B部門初出場でしたから、県コンクール、支部コンクールと、相手ありのコンクールでした。県コンクールは宝塚国際室内合唱コンクールの直後、支部コンクールは台湾公演の直前でしたから、練習のバランスをとるのが結構大変でした。やはり、演奏に練習量は素直に出ます。なかなかきめ細かな音楽が出来てないジレンマが私にはありました。B部門という未知なるコンクールということもあり、少々の不安と開き直りの中でのステージでした。

 結果的に、全国大会へコマを進めることが出来てホッとしました。「全員で全国の合唱ファンに最高の《EST》をご披露できるぞ!」。

 第15回のコンサートも成功裡に終わり、いよいよ全国大会に向けての練習。課題曲・自由曲ともに、コンサートのステージに載せていましたから、後は、更なる細やかなアプローチです。でもこうやって何度も見直すことが音楽にとっては大切なことですね。たった2回の練習と前日当日のホテルでのリハーサルでしたが、3曲に絞っての質の濃い営みで、見違えるほどいい仕上がりになりました。

 この営みは、今年の総決算でもありました。課題曲のパレストリーナは、4月の東京でのルネサンスステージに向けてこの時代の演奏法をみんなで勉強し合ったことがそのまま活きていた気がします。また、自由曲のカモレットの作品は、アレッツォで作曲者ご自身からもらった、正真正銘の《EST》のオリジナル作品としての自負で頑張れました。自由曲2曲目のガビランも、アレッツォで出会ったキューバの合唱団の魅力に酔いしれながら楽しくアプローチを深めたのでした。「私達の作品」と思えたことが演奏に力を与えてくれたのだと思います。

「や、やばい!!」

 さあ、順調に向った本番ですが、演奏と言うのは本当に恐ろしい一面を持っているものです。課題曲をいい感じで振り終え、カモレットを始めて約2分後。「ん? ず、ずれてる!!」。

 展開部の12声のポリフォニーの難所。あるパートが、キッカケとなる旋律を半小節早く出たのです! その直後、2番目のパートがそのキッカケを聴いてこれまた半小節早く出ました。ところがその他のパートはそのまま歌い続けています。つまり、ずれたまま演奏しているのです。私は「や、やばい!!」と思いました。こんなことは練習で一度もなかったことです。とっさに私は半小節早く出た2つのパートに合わせる指揮を一生懸命しました。「付いてきてくれーーーー!!」と涙ぐましい努力です。

 本当に不幸中の幸いとはこのことでしょう。10秒後くらいに、大きなリタルダンド、そして、その次の小節からは男声と女声のフォルテッシモでの掛け合いのホモフォニーの部分を迎えたのです。指揮で全体を一つに出来る明確な箇所。私はそのところのリタルダンドを大きくとり、ホモフォニーの出を思いっきり振りました。「あ、合った!!」。

 その後のみんなの集中力はすごかったです。かくして演奏の恐ろしさとここ一番での集中力を同時に味わったカモレットの演奏が終わりました。最後の曲は、キューバのリズムで楽しく踊る曲。気のせいか、弾けきれない演奏。どこかでカモレットを引きずっているような・・・。でも、全員が一生懸命歌って踊りました。最後の決めのポーズに大きな拍手が来たのが救いでした!「終わったー!!」。

 おまけに、退場の際、間違ってドアと違う方向に歩いて行って引き返してきた私に会場から温かな笑い声が・・・。とほほ。

感激の審査発表

 直後の集まりで、みんな顔面蒼白。私は「これもみんな経験です。成長です。」というような話をしました。来てくれた方々からは、「キューバの曲は、6月の北トピアの時より声が遠い感じがした」「台湾で聴いたときが最高にエキサイティングだった」「とても良かったけど《EST》はまだまだこんなもんじゃないという気がする」といったショックな感想も多かったですが、会場の違いもあるということと、課題曲に関しては「すばらしかった」と多くの方が感想を述べられたことが救いでした。

 いよいよ、審査発表。祈る気持ちでした。「金賞ゴールド!」にホッとしました。そして、「台東区長賞(2位)!」「来年度シード団体!」という発表には、泣き出したメンバーも。大きな大きなシーンでした。

 表彰式で、すでに上がっている野田新代表とこの日を期にお産準備に入られる藤田さんの隣に上がって行きました(金賞は指揮者も登壇しなければならないのです)。後はもう成り行き任せでしたね。気が抜けたように、表彰式を終え、みんなと解散の集まりで挨拶をし、仲間と飲みに行きました。

沢山の合唱団と大二次会

 仲間との打ち上げや、懐かしい人達との再会も嬉しかったですが、今回は、「大二次会」へのお誘いに乗ってみたのが楽しかったです。これは、その土地の合唱団が持ち回りで主催していくらしいのですが、今回は大久保混声合唱団が取り仕切ってくれました。B部門の合唱団の方々200名ほどで、本当に賑やかでした。ちょっとした学生の大コンパです。

 そうそう、台湾からわざわざ日本のコンクールを聴きに来たイェンシャン曰く。「台湾にはこういうのはない。大変ビックリだ」(笑)。それほど、皆がハメを外し、昔からの仲間だったかのように飲んで歌って騒ぎました。私のところにもいろんな方々がおしゃべりしに来てくれました。私の29年前の学生指揮者としての全国大会での演奏を覚えていた方がみえて感激しました。「あの頃、向井という指揮者は必ず出てくると思っていた!」などと言われました。酔った勢いとは言え、嬉しかったのでここに記しておこうっと。

 同じ支部の岡崎混声のスタッフやノースエコーの団員、宇治山田高校の副顧問が学生時代指揮をしていた山口大学のOBの方とも。面白い話が沢山聴けました。

 コンクールを主催された東京支部の役員の方々も同席され、盛況でした。清水敬一氏も来られていましたね。

 コンクールは終わりました。《EST》の得たものはとても大きかったと言えます。そして、いろんな繋がりを確信した日でした。翌朝はイェンシャンさんと《EST》数人とで、浅草と美術館を回り、帰って来ました。イェンシャンさんは、「木下牧子先生と会う!」と言っていました。彼の卒業論文は「アンファンス・フィーニ」なのです。木下先生の代表的な男声合唱作品の詳細な分析です。「日本に学べ」パワーを感じました。論文を製本したものをプレゼントして頂きました。


 





向井正雄のホームのトップへ




2007.12.24

ラウンジコンサート ルバート〜《EST》スコラーズのコンサート
 

 Vocal Ensemble《EST》の核となるメンバーで構成された《EST》スコラーズ。6代目である2007年度のメンバーは、以下の通りです。

ソプラノ 長島 あかね  近藤 香織  細野 裕美子
アルト 常住 光子 / 中村 敬子 / 山羽 貴久子 /荒木 茉莉子
テノール 福本 三喜 / 松井 佑輔
ベース 常住 信教  寺田 昌樹  土井 誠 / 野呂 郷太 / 野村 能寛

 今年度のメインは、12月2日に三重県伊勢市のサン・アリーナで催された、『ラウンジコンサート・ルバート〜《EST》スコラーズ・コンサートでした。

 会場は、超高級ソファーが自慢という、補助イスを入れて百数十名がゆったり感覚で聴ける大きさ。ステージのバックは1枚の大きなガラスで、その奥には、芝生に石のモニュメント。それをライトアップされ、とても美しい空間となっていました。月に一度のコンサートをされているらしく、そのシリーズの12月分が、私達の出番となったのでした。チケット販売も舞台の照明などもすべて主催者がされ、歌に集中できるうれしい企画でした。

 午後7時開演の本番は、100名余りの素敵なお客様方に恵まれました。演奏も、私のもっとも信頼できるグループですから、即興的にテンポをゆったりしたりできました。アットホームで豊かな空間をお客様と共に創り上げることが出来、音楽的にも大変満足できました。

 その成功は、帰って行かれる方々とのお話に表れています。CD売り場を設けましたが、たくさんの方がCDを買っていかれました。「さっき演奏されたAlleluyaが入っているCDが欲しい!」という人や、「2枚持っているので3枚目を買います」という人。有難かったです。また、「“ふるさと”に涙が出た。私はサーカス小屋の受付をして全国を回っている。ふるさとになかなか帰れない。」という人。「アイルランドハープをやっています。声のアンサンブルに始めて触れた。自分のコンサートに生かしたい」という人。

 こういう方々と身近にお話できるのは、アットホームなコンサートならではですね。ステージとお客さんとが垣根なしに親密になれる感覚。

 《EST》スコラーズ以外の《EST》メンバーの協力も嬉しかったです。CD売り場の設定や、チケットもぎりのお手伝いなど、主催者に喜んでいただきました。誇るべき仲間たちです。

 コンサートを終えた後は、伊勢市内のお店で静かな打ち上げ。伊勢には雰囲気のいいお店がたくさん。夜遅くの落ち着いた打ち上げにはもってこいです。

 6代目《EST》スコラーズも、例年と同じく、《EST》全体を支え続けてくれています。毎回のパート練習や、各曲のパート分け、シンギングコンテストの審査などなど。私にとっては、同じ釜の飯を食べ続けているような感覚の仲間。それだけに、1年の集大成としてのスコラーズコンサートは、気持ちのいい大切なコンサートなのです。来年度は、伊賀市での、私の合唱講習とタイアップしたコンサートが決まっています。4月にメンバーを若干代えて発足する7代目スコラーズと、さらにさらにいいアンサンブルを創り上げて臨みたいと思います。


 





向井正雄のホームのトップへ




2008.1.17

「新春・歌の発表会」

 2008年1月5日、ヴォーカルアンサンブル《EST》は、三重県文化会館第1リハーサル室にて、「新春・歌の発表会」を催しました。

 ソロとデュエットを中心に、ほとんどの団員が出演。加えて、私達が“団友”と呼んでいる、団員と関わりの深いメンバーの友情出演も得て、当日は、3時間半の発表会となりました。

 今回の会は昨年に続いて2回目ですが、一人一人の歌唱力が1年間でさらに伸びたと感じられたのが嬉しかったです。何事も継続が大切。1年に1度しか出来ませんが、それでも、昨年より、みんな堂々と演奏できました。来年はもっと貫禄(?)が出てくるのでしょう。

 『皆で歌うことと、一人で歌うこと』。これも車の両輪です。合唱しか体験していなかったメンバーはソロの発表会で新たな楽しみを感じ、ソロ経験の豊かなメンバーは合唱によってソロに磨きがかかって行きます。そして、そんなメンバー達の奏でる今年の《EST》サウンドがどうなっていくか。考えるだけで楽しくなります。

 新春の挨拶を音楽で! を合言葉に、この会を継続していきたいです。「反省会」という名のもとに催された新年会も楽しかったです。

 では、お客様の感想と、当日のプログラムを下記に掲げておきます。

2008年度 新春 歌の発表会 一般アンケート集計(全体)
・ いつもすばらしい歌声を聞かせて頂きありがとうございます。豊かな気持ちにさせて頂きました。(佐藤さん)
・ 前半の人はソロになれない様子で、緊張感が伝わりました。さすが後半の人は舞台なれた様子で堂々と声量も豊かで素晴らしかったです。39番アルトがテナーに挑戦したのは初めて聞きましたが、よかったです。合唱は非常に美しいハーモニーを間近に聞き、世界のESTを実感いたしました。ありがとうございました。幸せです。
・ 昨年に続き、楽しませてもらいました。私たちと一緒に歌ったメンバーも少なくなりましたが、みんなずいぶんと上達した感じがします。普段きくことのできないESTのソロ(個々の歌)を楽しく聴くことができ、嬉しいです。毎年、信念のこの時期であれば、帰省がてらに聞きに来れるので期待しています。
・ 今年も年の初めに楽しませていただきました。おひとりおひとりが、こんなに素晴らしい力をお持ちで、それで合唱になれば、お互いの声を感じとりながらああいうステージになるのだと、あらためて感動しました。最後の全員合唱では、またまた感激しました。ありがとうございました。ありがとうございました。(山本静香さん)
・ いい歌をありがとうございます。ひとりひとりがいっしょうけんめいに歌う姿はとてもいいものです。(稲垣達哉さん)
・ 今日は本当にありがとうございました。久しぶりに「ふるさと」の合唱もしたりして、とても楽しかったです。(稲垣みゆきさん)
・ 皆さんのピアノ、歌、本当に素晴らしいものばかりでした。それぞれの良さが出ていました。ただ、緊張や体の体調などで十分力を出せなかった人もいたような感じ、少し残念でした、知っている曲や楽しげな曲も多くあり、笑わせてもらうところもありました。かと思うと、淋しい美しいはかない曲も多く、大変心打たれました。2部はさすがスコラーズ!!と思ってしまいました。大変勉強になりました。本当に楽しい発表会でした。ありがとうございました。(東さん)
・ 皆さんよく勉強されていて素晴らしかったです。充実した時間を過ごさせて頂きました。礼(曲の始め、終わりの)をしていない人がいたので、やはりきちんと礼をしたほうかよいです。ソロで歌うときはやはり皆さん暗譜した方がよいし、音楽も伝わると思います。Lilyが素晴らしかった。(沙織さん)
・ EST、新しく入ったメンバーが多いですね。私が知らないだけだったかもしれませんが。長時間なのにあっという間でした。(川端さん)


演奏曲 曲目解説
〜第T部:《EST》団友と《EST》団員による演奏〜

1. Ombra mai fu (largo)(樹木の蔭で [ラルゴ] オペラ"Serse")

作詞:Nicolo Minato 作曲:Georg Friedrich Handel(1685〜1759)
演奏:大山瑞紀 伴奏:加藤あかね

Recitativoの前半では柔らかさを、後半では強さ、激しさを表現し、伝えたいです。そしてAriaでは、また違った雰囲気で包まれるような音楽をしたいと思います。最後まで自分の音楽を忘れずに歌いたいです。

2.Wenn ich tanzen will(私が踊るとき)

作曲:Shlvester Leavay
演奏:森下美穂

ミュージカル「エリザベート」に使われている曲です。
オーストリア皇后であるエリザベートと、彼女の中に存在するトート(死)という存在の相反する思いを精一杯、表現したいと思います。それでは、楽しんでお聞きください。

3.『即興曲Op.90-2』

作曲:F.P.Schubert(1797〜1898)
演奏:山岡千草

シューベルトの即興曲でも一番有名な曲です。三連符の軽やかな流れと反面に、挿入部では感情が荒々しく交差します。ピアノの世界に足を踏み入れ始めたばかりの私ですが、この場で演奏できる事に感謝し、今の力でできる最大限の音楽ができたらと思います。

4.「La Clemenza di Tito」よりAh perdona al primo affetto(歌劇「皇帝ティートの慈悲」より昔の愛情に免じて)

作曲:Wolfgang Amadeus Mozart(1756〜1791)
演奏:向井希,野瀬真理子 伴奏:長島あかね

時代は紀元1世紀のローマ。皇帝ティートの妃選びにまつわるお話です。
演奏する2重唱はアンニオが妃に選ばれたセルヴィリアに別れを告げようと決意します。
セルヴィリアは困惑しますがアンニオに「あなたはいつまでも、私の心の中にいるでしょう。」と告げ、2人は変わらぬ愛を誓います。

5.A Sera(夕べに)

作詞:L.M.コニェッティ 作曲:F.P.トスティ(1846〜1916)
演奏:橋本文子 伴奏:向井公子

 A Sera(夕べに)はやさしい夕べの舟歌である。6/8拍子のバルカローレのリズムに乗って、しろがねの月の光のもと、波のさざめきの上で恋人へのセレナードが歌われる。
 voghiam(漕ごう)voghiam(漕ごう)と繰り返し歌われるメロディーに、波にゆれる小舟の様と恋人をいとしく想う気持ちを乗せて表現したい。
最後の部分の旋律の高いイ音の持続は、原譜にはないものだが、普通上げて歌われるので記譜されている。高い方が無理な人はそのままの方が音楽的によいということだが、挑戦してみたいと思う。




6.V'adoro,pupille(優しいまなざしよ)

作曲:Georg Friedrich Handel(1685〜1759)
演奏:向井希 伴奏:野瀬真理子

オペラ『エジプトのジューリオ・チューザレ』で、クレオパトラが歌う曲です。
美しい旋律にのせ、抑揚をもって歌いたいと思います。ヘンデルの作品の中でも特に大好きな一曲なので、頑張って歌います。




7.Amor,ch'attendi?(愛の神よ、何を待っているのですか?)

作詞:Ottavio rinuccini? 作曲:Giulio Caccini(1545〜1618)
演奏:川波悦子 伴奏:松下千恵

この曲はギリシャ神話を題材にした曲で、Amorという子供の姿をした愛の神が、神々の王であるゼウスや太陽神よりも力があり崇められるべきだ、という曲です。
子供の姿をした愛の神をイメージさせるような、軽やかでかわいらしい旋律を、のびのび歌えたらな、と思います。



8.Star Vicino(側にいることは)

作詞:Salvatore Rosa 作曲:Salvatore Rosa(1615〜1673)
演奏:脇山茜 伴奏:山羽貴久子

この曲では、『愛する美しい偶像の側にいることは一番すばらしい愛の歓びだ。恋焦がれる女から離れていることは一番つらい愛の苦しみだ。』と歌います。
同じ旋律を二回繰り返しますが、前半では朗々と充実感に満ち溢れたように、後半では緊張感をもって苦しみの重さを伝えられるよう、歌詞の対比を音色やフレージングでうまく表現したいと思います。



9.Nina(ニーナ)

作詞:作詞者不詳 作曲:Giovanni Battista Pergolesi(1710〜1736)
演奏:東峯雅敏 伴奏:林真里

Ninaはイタリアの作曲家ペルゴレーシによるカンツォーネです。彼は、オペラブッファの様式を完成させ、後の古典派音楽への道筋を示しました。結核によって26年の生涯を終えた彼の楽曲は、死後高い評価を受け、現在も歌い継がれています。
 この曲は長年「ニーナの死」と呼ばれてきたが、ニーナが床に臥しているという描写があるのみで、明確な死は書かれていません。床に臥して3日経過したニーナに眠りから覚めてほしいと、恋人が笛、太鼓、シンバルに願いをかけるという内容のこの曲は、楽譜が2ページしかない、短い歌曲となっています。



10.Ave Maria(アヴェ・マリア)

作曲:Franz Peter Schubert(1797〜1828)
演奏:山田桂子 伴奏:山羽貴久子

 シューベルトが28歳のときに作曲したもので自身も好んで歌ったとされます。
 「エレンの歌第3番」という名前も持っています。あるイギリス詩人の書いた「湖上の美人」という詩でつづった物語のうち、シューベルトは7曲に歌をつけ、このアヴェマリアはその6曲目にあたります。
 主人公の女性、エレンが湖のほとりの岩の上で、マリア像の前にひざまずいて、エレンの父の罪が許されることを祈る歌です。
 今回の歌の発表会が初のソロです。高い音をうまく出せなくて苦労しつつ、少しでも皆様の心に伝わるものがあれば、と思い練習してきました。どうぞお聴きください。
11.Caro mio ben(いとしい女[ひと]よ)

作曲:Giuseppe Giordani(1743〜1798)
演奏:加藤寛隆 伴奏:山羽貴久子

作曲者のG.ジョルダーニはイタリアのオペラ作曲家である。学校の授業でも取り上げられ、イタリア歌曲の中でも良く知られている曲です。
 僅か33小節の短い曲ですが、愛しい人に振り向いてほしい気持ちを切に歌ったこの曲を、みなさまに伝えられたらと思っています。




12.Londonderry Air(ロンドンデリーの歌)

作詞:Katharine Tynan 作曲:不詳(アイルランド民謡)
演奏:平山眞 伴奏:長島あかね

誰もが耳にしたことがあるはずのとても有名な曲です。ダブリン出身の考古学者にして民謡蒐集家のGeorge Petrie(1789-1866)という人物が1930年代にロンドンデリー地方を訪れた際にJane Ross(1810-1879)に教わったメロディであり、Petrie編で1855年に出版されたアイルランド民謡概説書に収録されたことで世に知られるようになりました。今回披露するのは、この曲に初めて"Londonderry Air"という名が付いた1894年に詩人のKatherine Tynan(1861-1931)がこの曲に付した"Irish Love Song"という歌詞を持つ版となります。



13.Amarilli(アマリッリ)

作詞:G.B.Guarini 作曲:Giulio Caccini(11550〜1618)
演奏:林真里 伴奏:長島あかね

この曲の作曲者、カッチーニはルネサンス後期のモノディー様式と呼ばれる詩(歌詞)
の意味する内容や詩の言葉そのものを正しく表現する音楽様式を確立した人物です。
 この曲は、「アマリッリ、私の愛が真実だと信じておくれ」という内容の歌で、グアリーニの詩の語の抑揚を生かし、また語の情念に即しつつ、アマリッリへの切々たる愛情を歌うその旋律は素朴ながら美しく叙情的です。この曲を歌っている思い詰めた男性の姿や心を開かないアマリッリの姿を思い描いていただけるよう歌いたいです。


14.Tu lo sai(あなたは知っている)

作曲:Giuseppe torelli(1658〜1709)
演奏:東美沙 伴奏:林真里

 この歌詞の意味をネットで調べてみたところ、「これは浮気のいい訳だ」という意見がありました。そういう観点でこの歌詞を見直してみると、この曲は浮気したことをひたすら後悔している歌ということになります。
 時にはつらく苦しい"恋"。そんなひたむきな想いを表現できたらと思います。





15.Deh vieni alla finestra(ドン・ジョヴァンニのセレナード[窓辺においで])

作曲:Wolfgang Amadeus Mozart (1756〜1791)
演奏:橋爪大輔 伴奏:松下千恵

今年もMozart!(*昨年は「フィガロの結婚」から「Cavatina」を演奏しました。)
 この曲は歌劇 「ドン・ジョヴァンニ」 の 第2幕で演奏されます。ドン・ジョヴァンニが 「窓辺においでよ私の恋人よ、私の嘆きを慰めにおいで」と甘く誘惑するように歌います。構造もシンプルで取り組みやすい曲ですが、私はlegatoで歌うことが苦手なので良い教材となりました。
 どうぞお聴き下さい(そして忌憚のないご意見を!)。



16.Ombra mai fu (largo)よりAria(樹木の蔭で [ラルゴ] オペラ"Serse"よりアリア)

作詞:Nicolo Minato 作曲:Georg Friedrich Handel(1685〜1759)
演奏:奥田奈穂 伴奏:長島あかね

今年度の選曲を考える際、まず考慮したのは、
・今現在の自分の音域や所属パートとしての声にあっている曲であること
・昨年とは違い、イタリア歌曲から選曲すること
の2点でした。そこでこれから歌っていく音域を培うのにはどの曲がいいかとヴォイストレーナーに相談したところ今回の曲を薦めていただきこの曲に取り組む事に決めました。
 この曲では樹木の蔭で感じる心地よさ、また安心感や包容力みたいなものを少しでも表現できたらと思います。音楽的な部分では一年間の成果として少しでも音程・リズム・言葉の抑揚に注意し、歌い上げていけたらと思います
17.Ave Maria(アヴェ・マリア)

作詞:『聖母マリアの祈り』より 作曲:G.Faure(1845〜1924)
演奏:佐藤結 伴奏:長島あかね

この曲は、「聖母マリアへの祈り」という祈りの文からきています。
マリアがイエスを身ごもる時、天使がマリアを称えて唱えた言葉です。
<訳>恵み溢れる聖マリア、主はあなたともにおられます。 主はあなたを選び、祝福し、あなたの子イエスも祝福されました。 神の母聖マリア、罪深い私たちのために、今も死を迎える時も神に祈ってください。
 今年は、「自分で『音楽』を動かす」事を目標に歌ってきました。 聞いてくださる皆さんに、少しでも私なりの「聖母マリアへの祈り」が伝わればと思います。



18.恋するニワトリ

作詞:谷山弘子 作曲:谷山弘子(1956〜現在)
演奏:稲垣ちひろ 伴奏:東美沙

 NHKの「みんなのうた」で流れていたので、もしかしたらご存じの方も多いのではないでしょうか?『ココ コココ…』のフレーズが楽しいこの歌は、私が小さい頃から大好きな歌です。ニワトリがあるモノに恋をするのですが、その相手とは?果たして、その結末は…?
また、今回の歌の発表会では、この曲が唯一の日本語曲となります。絵本をページをめくるように、「みんなのうた」のあのアニメーションが浮かぶように、歌詞を丁寧に歌おうと頑張りますので、どうぞ温かい目で見守っていてください。


19:Les Contes d'HoffmannよりBarcarolle  (ホフマン物語より舟歌)

作詞:Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 作曲:Jacques Offenbach(1819〜1880)
演奏:角田奈々・大西智歌 伴奏:東美沙

今日歌うBarcarolleは『ホフマン物語』という4幕のオペラの中でも、もっとも有名な曲です。この曲は、主人公ホフマンの友人ニクラウスと、ホフマンが恋をするジュリエッタの2人で歌われます。オペラの中で一番有名な曲ではありますが、オペラのストーリーに直接関係がある内容ではありません。しかし、ジュリエッタを取り巻く環境のゴージャスさ、そして艶かしさを演出するには、舟歌はなくてはならない曲なのです。思いを込めて歌うので、すこしでも、華やかさ、賑やかさを感じてもらえると嬉しいです。

20:An die Musik (音楽に寄す)

作詞:Franz von Schober 作曲:F.P.Schubert(1797〜1898)
演奏:田邊和士 伴奏:松下千恵

シューベルトによる1817年作曲の歌曲(D.550)
歌詞は、シューベルトの友人フランツ・フォン・ショーバーの詩から採られています。ショーバーは自分の家にシューベルトを寄宿させていた時期もあり、『音楽に寄せて』以外にもいくつか自分の詩をシューベルトに提供しています。
内容は、世間の荒波の中で音楽が癒しの時を与えてくれたというものです。素朴ながら味わい深い和音に支えられて敬虔な祈りのようにも聞こえます。
日頃何気なく接しているものが、実は大きな力を秘め日々の支えになっているのかも知れません。音楽の存在を改めて認識せれられた曲です。


21:Sebben,crudele (たとえ、つれなくとも)

作詞:不詳 作曲:Antonio Caldara(1670〜1736)
演奏:角田奈々 伴奏:東美沙

Sebben, crudeleはアントニオ・カルダーラによるオペラ「裏切りに打ち勝つ愛の貞節」の中で、羊飼いが、心変わりした彼女に困惑する思いを歌うアリアです。本来は男性から女性へ歌う曲ですが、今日は、その困惑した思いが伝わるように歌いたいと思います。





22:O mio babbino caro (お父さまにお願い)

作曲:Giacomo Puccini(1858〜1924)
演奏:染川めぐみ 伴奏:山羽貴久子

『O mio babbino caro』(お父さまにお願い)は、プッチーニ作曲のオペラ「GIANNI SCHICCHI」の中に登場するアリアです。このオペラは1299年のイタリア・フィレンツエが舞台で、大富豪ヴォーソの遺産をめぐり親戚一同が画策する喜劇の物語です。親戚の一人である知恵者ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタが、父にリヌッチオとの結婚を請う場面で歌われます。



23:Me voglio fa 'na casa (私は家をつくりたい〜船乗りの恋〜)

作詞:不詳 作曲:Gaetano Donizetti(1797〜1848)
演奏:森本りえ 伴奏:長島あかね

『私は家をつくりたい』は、19世紀前半に活躍したイタリアの作曲家、ガエターノ・ドニゼッティの1837年に出版された歌曲集『インフラスカータの秋の夕べ』の1曲です。別名「船乗りの恋」とも言われるこの曲は『私は海の中に孔雀の羽で飾った家を建てたい/金と銀の階段をつけて宝石を飾ったバルコニーも作りたい/私のナンネッラが顔を出すと、皆「今 お日様が出た」と言うだろう』と、ナポリの船乗りが、愛しい人を想いながら夢を語っている軽快で楽しさに溢れたカンツォネッタ・ナポリターナです。



24.Piacer d'amor(愛の喜び)

作曲:Jean Paul Egide Martini (1741〜1816)
演奏:三木茂輝 伴奏:林真里

〈訳(一部)〉 愛の喜びはただ一日しか続かない。愛の苦しみは生涯続く。…
 
某パートリーダーから「おまえはこれ」と渡された曲でした。こちらも深く考えず、「あぁ、わかったよ」受けたまでは良いのですが、メロディー聞いて「しまった!みんな知っている曲だよ!」と後から冷や汗をかきつつ取り組みました。調べてみると、かのプレスリーもカバーしたとか?
 粘らず、さらっと表現できるか、がポイントの様です。歌詞が未練たらたらに感じる部分と、いやいやシルヴィアにも事情があったのだよ、と養護する気持ちとあり、実に複雑な気分です。


25:Ave Maria(アヴェ・マリア)

作曲:G.Caccini(1545〜1618)
演奏:大西智歌 伴奏:東美沙

カッチーニは、イタリア・ルネッサンス後期からバロック初期の時代にかけて活躍した作曲家です。メディチ家の統治下であるフィレンツェの宮廷歌手を務めながら、ハープ奏者、オペラ作曲家としても活動していました。ところで、今回歌うカッチーニのアヴェマリアですが、1990年代に突如として世に現れたため、カッチーニの作品ではないとの見解もあるようです。なにはともあれ、この美しい旋律でこれまで多くの人を魅了してきたことに変わりはないので、今日、その一端でも表現できたらと思います。

26:Segreto (秘密〜ひめごと〜)

作詞:Lorenzo Stecchetti 作曲:Francesco Paolo Tosti(1846〜1916)
演奏:野田肇 伴奏:松下 千恵

美しい女性を密かに愛する男性。しかし彼はその思いを心に秘め、決して打ち明けることはない。彼女を見かけるたび心は乱れ、「愛している」と叫びたくなるが、心が震え、目を上げて彼女の顔を見ることもできない。秘めた恋の切なさを歌ったトスティの名曲である。短調から長調に移り変わるにつれて、言いしれぬ哀愁を漂わせ、曲の美しさが増していく。最後ははじめの歌詞をつぶやくように繰り返して終わる。




27.Qui sedes ad dexteram Patris(ロ短調ミサ「グローリア」より父の右に座したもう主よ)

作曲:J.S.Bach (1685〜1750)
演奏:中村敬子   伴奏:長島あかね

バッハはカトリック教会の権威を否定したルター派に属していましたが、いろんな経緯を経て最後の晩餐を再現する完全なミサ曲を作りました。1724年にSanctusを作曲してから亡くなる前年の1749年にこのロ短調ミサは完成しました。
Qui sedes ad...は1733年にKyrieと共に作曲されたGloriaの7曲目にあたり、アルトソロと主にオーボエの伴奏で構成された曲です。Gloriaの他の曲が長調であるのに対し、Qui tollis peccata mundiとこの曲はロ短調で書かれています。主への請願の祈りを表す時に、バッハはこのロ短調にこだわったのではないかとも言われています。


28.Non t'accostare all'urna(墓に近寄らないでほしい)

作詞:Jacopo Vittorelli 作曲Giuseppe Verdi(1813〜1901)
演奏:松下千恵   伴奏:長島あかね

組曲『六つのロマンス』の一曲目です。
『墓に近寄らないでほしい』という題名からもわかるように、一曲を通して、とても淋しく胸が締め付けられるような歌詞です。劇音楽を手掛けたヴェルディらしく、メロディーは大変美しい。泣きのメロディーが、何箇所もあり、歌いながら、涙が出そうになる。
 そんな、切なく、なんともいえない想いを表現したい。


〜第U部:《EST》スコラーズによる演奏〜

29.O del mio dolce ardor(ああ 私のやさしい熱情が)

作曲:Christoph Willibald Gluck (1714〜1787)
演奏:荒木茉莉子  伴奏:山羽貴久子

ああ私がやさしく熱く憧れるひと女よ、貴女の呼吸する空気を私はついに吸えるのだ。
私がどこに眼を向けても 愛は貴女の美しい姿を 私の中に描き出す。
私の想いはみずからに この上無く喜ばしい希望を創り出す。
そして私の胸をこのように満たす希求のうちに、
私は貴女を求め、貴女を呼び、希望を抱き溜め息をつく。


30:Caro laccio(いとしい絆よ)

作曲:Francesco Gasparini(1668〜1727)
演奏:野呂郷太 伴奏:林真里

私の想いを縛り付けた
いとしい絆、やさしい結び目よ、
私は、自分が苦しみながらも楽しんでおり、
捕われの身に満足していることを知っている。
という歌詞から、少しマゾッチックな部分が見え隠れしているような気がします。そう感じるのは、私だけでしょうか。では、聞いてください。



31:Se tu m'ami(もし貴方が私を愛してくれて)

作詞:不詳 作曲:Giovanni Battista Pergolesi(1710〜1736)
演奏:近藤 香織 伴奏:林 真里

 今年もこの舞台に立たせていただけることに大変感謝しています。それとともに、一層、自分の身が引き締まる思いがします。
今回は悲しくも切ない恋の歌をうたいます。日々の生活に追われ、恋をする時間もないような毎日ですが、いつも『感じる力』―自然を感じ、自然といっしょに生きる気持ちを味わうこと―を大切にしたいなと思っています。EST入団3年目。一つ自分の中で何かが変わり始めている、そんな感じがします。今の気持ちにぴったりな曲です。出会えてよかったなぁ。

32:「Die Zauberflote」よりPa-Pa-Pa (歌劇「魔笛」よりパ・パ・パ)

作詞:Johann Emanuel Schikaneder 作曲:W.A. Mozart(1756〜1791)
演奏:細野裕美子・山羽貴久子 伴奏者:松下千恵

オペラ「魔笛」の中で歌われる2重唱。パパゲーナ(♂)を探すパパゲーノ(♀)のもとに童子たちがパパゲーナを連れてくる。「パパゲーナ!」「パパゲーノ!」と呼び合って「お前は俺のもの」「私はあんたのものよ」と幸せを喜び「おまえは俺の女房、神様2人に子供をお授け下さい、たくさんの子供は親の喜びです」とパパゲーノが言えばパパゲーナもそれに応える、という2重唱である。
男性と女性の2重唱であるが、今回は女性2人でチャレンジします。連呼する"パ"がうまく言えるかどうかが問題です。がんばります。                      



33:Dolente imagine, di Fille mia(フィッリデの悲しげな姿よ)

作詞:不詳 作曲:Vincenzo Bellini(1801〜1835)
演奏:土井 誠 伴奏:松下千恵

ベッリーニ作曲の有名な愛の歌(「三つのアリエッタ」第2曲)です。
失われた愛の悲しい歌です。第3曲Vaga luna を昨年歌いましたが、それに続く気持ちを歌います。
ここ数年の私のテーマは、『いかに「何もしない」で歌えるか』です。自分の癖とか、その場しのぎの勢いとかを我慢しながら、演奏したいと思っています。



34:Nessun Dorma (誰も寝てはならぬ)

作曲:Giacomo Puccini(1858〜1924)
演奏:松井佑輔 伴奏:長島あかね

この曲はプッチーニ作曲のオペラ『トゥーランドット』の第3幕で登場するアリアです。冬季トリノオリンピック女子フィギアスケートで金メダルを獲得した荒川静香選手がフリーの演技で使用し、大きな注目を集めました。劇中では、王子がある謎解きを仕掛けた後に歌われる曲で、王子は心を許さない姫に「もし今晩中に私の名前を当てることができたら結婚は諦めます」といいます。姫をはじめ、家来たちが一生懸命探す中、姫は、「誰もねてはならぬぞ(Nessun Dorma!)」と歌います。非常に美しい曲ですが、とても難しい曲でもあります。ひたすら頑張って歌います。声が裏返らないように頑張ります。

35:Historia der Auferstehung Christi SWV50から(「イエス・キリスト復活の物語」から)

作曲:Heinrich Schutz(1585-1672)
演奏:福本三喜 伴奏:山羽貴久子

シュッツの名作「イエス・キリスト復活の物語」の冒頭部分です。ルターの宗教改革で聖書はドイツ語でも読まれるものになりましたが、この曲のテキストは、聖書の言葉そのものではなく、「マタイ」「マルコ」「ルカ」の3つの共観福音書の異同を正し、完全なイエスの伝記を作ろうという試みの結果生まれたものです。ドイツ・オラトリオ最初の傑作であるイエス復活のシーンがドイツ語の語感によってダイレクトに伝わってきます。




36:「La Boheme」よりDonde lieta (歌劇「ラ・ボエーム」よりあなたの愛の呼ぶ声に)

作詞:Luigi Illica,Giuseppe Giacosa 作曲:Giacomo Puccini(1858〜1924)
演奏:山羽貴久子 伴奏:長島あかね

一緒に暮らしているお針子娘のミミと詩人のロドルフォ。ミミは嫉妬深いロドルフォに疲れ、ロドルフォは友人に浮気者のミミとは別れると言います。しかし本当は、病気のミミにお金のない自分は薬を買ってやることもできない。日に日に衰えていくミミをこれ以上みていることはできない。という理由からでした。
彼の苦しい胸の内を知ったミミが歌うアリアです。「別れましょう。私の荷物はまとめておいてください。クリスマスにもらったプレゼントは私との愛のあかしに持っていてください。」


37.Spirate pur, spirate(どうか吹いておくれ)

作曲:S.ドナウディ (1879〜1925)
演奏:長島あかね 伴奏:林真里

この作品は、現在学生の受験選択曲の中に含まれることが多く、自分もチャレンジしてみようと思い、選びました。風にのって、いとしの人から自分への愛のメッセージがあるといいなぁ・・・という内容です。





38.Et in Spiritum Sanctum(ロ短調ミサ「クレド」よりわれは信ず、主なる聖霊・生命の与えぬしを)

作曲:J.S.バッハ(1685〜1750)
演奏:常住信教   伴奏:山羽貴久子

ロ短調ミサ「クレド」第7曲のバスアリア。イ長調、6/8拍子。本来は2本のオーボエ・ダモーレによるオブリガートを伴う。
 重苦しいキリストの受難(Crucifixus)、そして喜びに満ちあふれた復活(Et resurrexit)というドラマティックな場面に続き、軽快なリズムと穏やかな落ち着いた音楽で、三位一体のうちの聖霊に対する信仰、そして公教会への信仰を謳う。

39.オペラ「L'elisir D'amore」よりUna furtiva lagrima(オペラ「愛の妙薬」より人知れぬ涙)

作曲:Gaetano Donizetti (1797〜1848)
演奏:常住光子 伴奏:長島あかね
オペラ「愛の妙薬」のあらすじは、純粋な農夫の青年ネモリーノが農場主の娘アディーナに、恋をするが、告白できず、アディーナはベルコーレ軍曹と結婚を決めてしまう。ネモリーノは、薬の行商人に、「相手を惚れさせる薬はないか?」と聞く。いんちき薬売りのドゥルカマーラは、安ワインを1日経てば効能がでる惚れ薬だと言って売りつける。そこから軍曹もからむ三角関係の物語となり、叔父の遺産が入ったネモリーノにアディーナはとうとう「愛している」と打ち明けハッピーエンドとなる。
この曲は、第2幕 第2場 でネモリーノが歌う有名なアリアである。テノールのアリアとして、一粒の宝石のような美しさと評価されています。今回、アルトの音域でなく、楽譜通りのテノールの音域での挑戦です。男役になりきって歌うことができるでしょうか?

40.Minnelied/Fruhlingslied(愛の歌/春の歌)

作詞:Ludwig Cristoph Heinrich Holty/Emanuel Geibel 
作曲:Johannes Brahms(1833〜1897)
演奏:寺田昌樹 伴奏:長島あかね
最初に演奏するMinnelied「愛の歌」は美しく叙情的なヘルティの詩に、幾度もの恋愛の末、生涯独身だったブラームスの、文字通り愛をテーマに作曲した作品です。「彼女がいなければ全てが死んでしまう。花も草木もしおれ、春の夕焼けも僕にとっては美しくも楽しくも無い。いとしい恋人よ、決して逃げないでくれ、そして僕の心も、この草原のように歓喜して花を咲かせてくれ!」と歌われています。
次に演奏するFruhlingslied「春の歌」はブラームスの比較的晩年の作品です。 この頃には自身の人生と向き合いながら哀愁の漂う歌曲を多数作曲しています。しかし、この曲ではエネルギーに溢れた春の自然の中にたたずみながら「老いたる心よ、お前は燃え尽きる前に花や木と一緒に、もう一度花を咲かせたいのだ。」と歌われ生き生きとした音楽が展開されています。
 内向的でありながら、流麗な音楽を持つブラームスの歌曲の魅力を引き出すことが目標です。

41.ESTスコラーズによる合唱
・Mottetti Latini  "Hodie Christus"(作曲:La Cour)
・Put vejini(作曲:Laminsh)

42.EST団員による合唱
・The Lily And the Rose(作曲Bob Chilcott)
・故 郷(作曲:信長貴富)

43.全員合唱  
「故 郷」 作詞:高野 辰之  作曲:岡野 貞一
編曲:信長 貴富

 





向井正雄のホームのトップへ




2008.1.29

合唱季刊誌『ハーモニー』や、ある方のHPに見た《EST》


全国大会の審査員座談会
 
 2008年1月発行の『ハーモニー』第143号に、全国大会の様子が特集されました。
このコーナーでは、音楽史学者の那須輝彦先生と、合唱指揮者の長谷川冴子先生が一般B部門を担当されていました。《EST》の演奏について、まず、那須先生。

 《EST》の課題曲は今回のパレストリーナのValdeを歌った団体の中で1番。
ラテン語の歌い方も良かった。
Valdeというフレーズが出てくるごとにビルドアップしていくのも見事でした。
難を言えばソプラノの音程。
あと、40名近いならもうちょっと音量が出てもいいかな。
自由曲1曲目はクラスター系で、また違うサウンドを出していた。
トゥッティでDomineというクライマックスに圧倒されました。
2度で16分音符が細かくトリル風に動くところが一個一個歌われてる感じがしたんで、こぶしとか(笑)、工夫が出来たんじゃないかな。
自由曲2曲目はアクションつきで、打って変わってシンコペーション物。
持てる力を出す選曲も勝因の一つだと思います。

 続いて、長谷川先生。

 課題曲のテノールが非常に素直に出てきたところがいいですね。
ソプラノの高音が重いのがもったいない。
ただ、Qui Christusの発音は抜群に上手かった。
Virginiからこだわりを持って歌っていたのもなかなか良かったんじゃないかな。
自由曲の1曲目は美しい音が混じり合うクラスターがとても良かった。
特に母音唱法が浮世絵のように出てきたのがすばらしい。
2曲目は94〜102という指定なんですが、ちょっとスキップしすぎちゃった。
音楽として伝えたいものがすっ飛んでしまった印象。総体的に少し粗いかな。

 御二方のメッセージが一致するところと正反対なところがあるのが、勉強になりますね。9人の審査員全員のメッセージがあればいいですね。ちなみに長谷川先生が「94〜」と言われているのはテンポだと思うのですが正しくは「124」。他の団体と勘違いされたのかなあ。

ある方のHPに

 最近は、ネット上での演奏批評も増えてきています。批評や感想をネットに上げるのは、ある意味、大きな責任を背負います。そのことも充分考慮され、すばらしい批評を書き続けて見える方がいます。今回は、その方のお許しも得ましたので、全国大会での《EST》についての有難いご批評を掲載します。もちろん、他の方々のHPも、素晴らしいのですが、今回は、この人。ぜんぱくさんです。

14 ヴォーカルアンサンブル《EST》(混声36)
(G1/E. Camoletto
   “Canticum Simeonis Riflessioni attorno a un motteto di J. desprez”
   G. L. Gavilan“El Guayaboso”)


今回の一般Bグループの団体で、わたしが一番注目していたのはESTかもしれない。
ドカンドカンと激しい音楽を繰り広げる一般B部門団体の中で
以前の一般Aの覇者が、どのような演奏を聴かせるのか?
#ジュニアヘビー級の選手がヘビー級と闘えば、技の多彩さや空中戦では勝てるけど
#キックやチョップ1つ1つの重さがやはりヘビー級とは違うのではないか…と。

しかしこれはわたしの大きな認識違いでした。
そもそも、合唱はプロレスではない。。(大汗)

結果は金賞2位という事でしたが、そういう結果よりも
何と存在感のある演奏を聴かせてくれた事でしょう!!
ちゃんと音楽をしていれば、どこへ行っても何の問題もない…という
全く当り前の事を再認識した次第。(おれはアホか…)

イントロが長いですがもう1つ、
演奏を聴いていて、自分たちをどう聴かせるか?(見せるか?)
どうすれば魅力的に客席に音楽を届ける事が出来るか?という事を
メンバーがとても良く知っていて、常にそれを意識している事を感じます。
海外で演奏する機会や国際コンクールへの出場機会から
学ばれる事が非常に多いのだと思います。

何となくですが、
聴いていて「全日本合唱コンクール色」では無いモノを感じました。

課題曲、出だしのテノールが明るいサウンドでスパーーンッと入ってきてちょっとビックリ。
しかし、何と迷いのないサウンドな事か。
個人的に、ESTのサウンドと再会出来た事がうれしかった(涙)。
最初の1ページぐらい、曲後半のようなしなやかさが
もう少し感じられても良いと感じました。立ち上がりがやはり難しいですね。
そこから先は、明るいポリフォニーの世界。
言葉と精神を表現したい意欲にあふれたパレストリーナ!
弱音に落とした十字架の場面も美しく、清潔感あふれる。。
ユラリと終わる終止には、懐の深ささえ感じさせられる。

自由曲、1曲目でドカーン!と音世界が広がる!!
音量では人数的な比較をすれば劣るのだろうけど、
一瞬にしてESTサウンドで会場が満たされる。
やはり、音楽はそこに込めたニュアンスが正直に音に出るのですね。。

自分たちの音楽の間合いというか、
「これしか出来ない…」という音楽じゃなくて
「これもあれも出来るけど、今はこうだ!」
と感じさせられる演奏。合唱団が「いち個性」を持って語りかけてくるような。
それと途中、さりげなくホーミーっぽいのがありましたよね??

2曲目は振り付けも入って、もうノリノリの世界!
いったい何なんでしょう?「こう動かなきゃいけない」じゃなくて
「こう動きたい!」「こう動けば効果的に音楽に繋がる」
と考えているのが、ステージから感じさせられる。
それが、全く無駄なく音楽表現に結びついている。


聴いていて、まるで外国の合唱団のコンサートにいるような気分でした。
もちろんESTは日本の合唱団なのだけど、日本の合唱団の持つ空気感と一味違う。
自己表現に優れているというか。
本当に素晴らしいですね。脱帽。。。。。。。


----


ESTの個性溢れる雰囲気と高い音楽性の両立は、本当に素晴らしかった。
何よりも、楽しかった。。。

 全日本合唱コンクールというのは、CDになることも含め、日本の聴衆の方々に、最も広く聴いていただけるイベントでしょう。そして、今後の日本の合唱団のレパートリーや、声の方向性にも影響を与えていく。その意味で、大変な責任を感じます。実際、コンクールで《EST》が初めて取り上げた作曲家に、フェリシアーノやウィテカーらがいますが、瞬く間に、たくさんの合唱団のレパになっています。今年取り上げたカモレットやガビランなども、同様の広がりを見せるかもしれません。また、《EST》の音楽が、上記の方のように、従来の日本の合唱団とは一味違うと感じられていることも、大変光栄です。だんだん、『日本のスタンダード』ではなく『世界のスタンダード』を目指す合唱団が増えていくなら、こんな嬉しいことはありません。

 よく、「一度1位をとったのに、それ以降もコンクールに出続ける意味があるの?」というようなことが言われますが、たくさんの合唱団の方々が我々の進み行く音楽的方向性に大きな関心を持っていただけている間は、コンクール出場も意義深く感じます。


海外レポートのコーナーにも

 さて、季刊誌『ハーモニー』143号には、毎回、いろんな合唱団や指揮者や団員の、海外での体験が掲載されます。今回、《EST》の団員による『台湾での招待演奏』のレポートが掲載されました。全文を掲げます。

 台北メールクワイアとのジョイントコンサート「スーパー・グッド・フレンド・コンサート」

 去る10月7日、《EST》は、海外から初めての招待演奏の機会をいただきました。2005年の宝塚国際室内合唱コンクールの際、台北メールクワイア(以下、TMC)の団員である聶?庠(ニェー・イェンシャン)氏から、「是非《EST》を台湾に招待し、演奏会をしたい」とお声をかけていただいたのですが、2006年は、アレッツオ(イタリア)のコンクールに出場予定だったため実現できず、2年越しのラブコールを受け、TMCが海外から合唱団を招待している演奏会シリーズ「スーパー・グッド・フレンド・コンサート」第4弾として、今回実現しました。
 
 会場は台北市の文化中心地区にある国家音楽庁。このホールは、中正記念堂前の巨大な広場の中に位置し、広場内には双子のように建てられた国家戯劇院という文化殿堂もありました。中国伝統の宮殿式建物も見学を堪能させていただくことになり、団員は一同、「こんなに素晴らしいホールで演奏できるなんて!!」と大はしゃぎでした。

 演奏会の構成は、《EST》が4ステージ、TMCが1ステージ、計2時間の内容でした。アンコールのうち1曲は、信長貴富氏編曲の「島唄」を台日で合同演奏しました。「島唄」のリハーサルでは、指揮者の向井がオーバーアクションで日本語の発音の指導も入れ、言語の壁を越えた合唱交流ができました。

 客席は満員。今回は諸事情によりフルメンバーによる現地練習がたったの2時間半。約20曲もあるため全曲通しはできず、ままならない状態での本番でしたが、日本での精一杯の練習の成果は出し切り、無事私達はステージを終える事ができました。中でも印象的だったのは、キューバの曲ばかりを集めたステージ。振り付きで歌うと、リズムに乗って笑顔になるお客様が多く見受けられました。また、中国語で歌う「Diu Diu dang ah」は、タイトルコールの段階で歓声が沸きました。中国語版汽車ぽっぽのこの曲のイメージに合わせ、1人1人汽車になり踊ると、手拍子も起こるほど。客席との一体感が生まれました。

 アンコールを2曲披露し、拍手の中、壇上にTMCのメンバーをお呼びし、さぁ「島唄」!というところで、メンバーが1人1人手に何かを持って上がってきます。すると、手にはお花のマスコット!それと、《EST》メンバー各々の名前が彫られた印鑑が渡されました。まさに寝耳に水。すると今度は、「ハーッピーバースデー」のメロディがどこからともなく聞こえてきます。サプライズ第2段は、当日台湾のステージで誕生日を迎えることになったトレーナーの長島のもとへ、同行して下さった旦那様が花束(くまのぬいぐるみ付き)を持ってシテージ下手から現れました。喜びと驚きで腰が砕ける長島(笑)新婚のお二人にはこれ以上ない記念日になったことでしょう。全て、イェンシャン氏を始めTMCの粋なはからいでした。

 私個人の率直な感想は、「観客がアツイ!!」に尽きます。日本では、合唱という分野ではなかなか味わうことができない、演奏する側と聞き手側との一体感がありました。海外で演奏をした時、いつも感じる日本との相違点です。日本人が苦手とするのは、感動を表すということ。感動を表すというのもそもそもおかしなことですが、いわゆる「ブラボー!」に当たる言葉が日本語には存在しない。ホールという特殊な空間においてのみ発するという点で、肌に合わないと抵抗を感じるのが"日本人の感覚"だと思います。

 さて演奏会を終え、空港でいよいよお別れとなった時、「最後のプレゼントがあります」とイェンシャン氏。1人1人に箱が手渡されます。全員で一斉に開封しました。すると中から、コンサートホールで撮影した集合写真が印刷されたマグカップが…!最後の最後に皆で涙を流し、別れを惜しみました。お礼にと、「夢みたものは」を歌い、空港を後にしました。

 余談ですが、今回私達は台風とともに台湾に行くことになりました。折しも10月6日、台風15号(現地名クローサ柯羅莎)が台湾に上陸。中心付近の気圧が926hPaと猛烈な強さの台風が台北を直撃しました。私達は台北に5日着の第1陣と6日着の第2陣に分かれて向かう予定でした。台風の影響を受けた第2陣は飛行機が欠航となり、中部国際空港内の会議室で急遽練習をし、第1陣16名は現地でTMCの事務所で練習と、日本と台湾に分かれて、それぞれが台風の脅威におびえながら練習をしました。そのため、7日のコンサート当日、リハーサル中に第2陣が無事舞台上に現れた時は、感動の再会となりました。なにはともあれ、メンバーが揃ってこその音楽だと痛感した良き思い出です。

 また演奏会の前後には、国立歴史博物館、西門町、台北101、士林夜市、国立故宮博物館、淡水の観光もしましたが、それもTMCメンバーがまるでツアーコンダクターのように案内役をこなしてくれました。心のこもったおもてなしと、ハプニングがあっても笑顔で迅速に対応してくれたTMCのメンバーに、本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう!!

 今回の訪台演奏は、私達にとって、言葉は通じなくても合唱というキーワードで繋がり、わかりあえる仲間を得ることができた事は、大きな財産として私達の心に深く刻まれ、今後も世界的な視野で合唱仲間と過ごしていきたい!!そう感じる演奏旅行であった事は間違いありません。

 昨年の《EST》の2つの大きなイベントが、こうやって、季刊誌に取り上げられたりすることは、光栄なことです。今年も、さらにいい年にしたいですね。





P.S.《EST》の写真が、『ハーモニー』の44ページ、63ページ、98ページ、138ページ、139ページに載り、一同大喜びでした。





向井正雄のホームのトップへ