2005.7.9

ピーストークマラソン、合唱祭・・・実ってきた今年の《EST》 そして世界の舞台へ

 「今が一番いい!」。《EST》で長年歌ってきたメンバー達の合言葉です。

 メンバーの出入りは、相変わらず激しいのですが、現在、メンバーは43名。過去最高人数です。『きめ細かな室内合唱』を維持できていてのこの数ですから、やはり、今までで一番充実した音楽ができます。

 一番嬉しいのは、ほとんどのメンバーが練習を休まないことです。これは指揮者にとっては大きい。加えて、パート練習の充実。個人レッスンの充実。たくさんの行事運営への確実な配慮・・・・・・やはり、挙げれば全てが軌道に乗っています。本当にありがたい、すばらしいメンバー達だと思います。

 若い新しいメンバー達も、この環境の中で、真っ直ぐな目で深く関わり始めています。入団した時のイメージは大きいですから、きっと、将来の《EST》を支えてくれることになると信じます。

 さて、そんな中、6月は、2つのステージを終えました。

国際貢献フェスタinみえ2005〜ピーストークマラソン 

 この行事は下記のようなものでした。

国際貢献フェスタinみえ2005
今日の私たちの生活は、諸外国との深いつながりの中で成り立っています。また、私たちが暮らす地球には、人権、環境、貧困、平和といった、人類に共通する課題があります。国際貢献というと、国がする大きなこと、堅いもののように思われるかもしれませんが、ちょっと意識しただけで普段できることから、地域や海外でできることなど、とても幅広いものがあります。あなたも、地球市民のひとり、国際社会の一員として、一歩踏み込んで、世界に目を向け、一緒に考え、理解を深めてみましょう。きっと何かを感じ、見つけることができると思います。
開催日:2005年6月11日 (土)・12日 (日) 11:00-18:00 場所:アスト津 3F・4F

   《プログラム》

○ エッセイコンテスト (国際貢献について日頃感じていること、考えていること、夢など)[応募者募集]
○ 世界への夢     (これまでの国際貢献活動の報告と、これからの夢の発表)[発表者募集]
○ 展示、フェアトレードカフェ・販売  (国際貢献活動団体の展示、販売) [実施者募集]
○ 古切手、使用済みプリペイドカード、書き損じはがき、外国コインの収集
○ワークショップ   (世界がもし100人の村だったら、アフガニスタンの女性と子どもなど)
○ しゃべり場     (ゲストを交えたフリーディスカッション)
○国際しゃべり場   (留学生を交えたフリーディスカッション)
○ピーストークマラソン((株)ミキハウス阪本氏、伊藤氏(アテネパラリンピック出場)、吉田氏(JICAエッセイコンテスト文部科学大臣奨励賞受賞)の講演、ピース俳句 [応募者募集]などを予定)
○ 写真展示     (藤原紀香氏がアフガニスタンで撮影した写真)

主催:国際貢献フェスタinみえ2005実行委員会・三重県  共催:(財)三重県国際交流財団・JICA中部

平和と国際協力の列島シンポジウム   ピース・トーク・マラソン2003-2007in三重

1人ひとりにできること。1人のためにできること

伊勢新聞社は全国地方新聞社連合会、国際協力機構(JICA)と共催で、平和と国際協力をテーマにした列島シンポジウム「ピース・トーク・マラソン2003-2007in三重」を開催します。
日時 2005年6月¥11¥日(土)午後1時開演、同4時30分終了予定
会場 アスト津(津市羽所町700番地)
内容 ビデオ上映、坂本達氏・伊藤智也氏講演、俳句(講評・歌人 田中章義)、合唱(出演:ヴォーカルアンサンブル《EST》)、パネルディスカッション「1人ひとりにできること。1人のためにできること。」パネリスト・東出直明氏(松阪広域消防組合)、遠藤オズワルド篤志氏(四日市市立笹川東小学校講師)、伊藤智也氏(NPO法人ゴールドアスリーツ理事長)、坂本達氏(株式会社ミキハウス)、コーディネーター・綿貫美希(伊勢新聞社経済部)等を予定
▼主催 伊勢新聞社、全国地方新聞社連合会、国際協力機構(JICA

  この日は、まず、『国際貢献フェスタinみえ2005』のオープニングで、《EST》スコラーズが演奏しました。県知事がすぐ隣に座られましたが、緊張することもなく、可愛いパフォーマンスも加え、ビートルズを2曲、とても楽しく演奏してくれました。新スコラーズの初ステージは、大成功でした。

 また、お昼からは、《EST》全員のステージ。平和を意識した選曲となりました。

エレミアの哀歌T(前半) タリス
4つのモテットU Durufle
Letztes Gluck(「Funf Gesange」から) Johannes Brahms
島唄 信長
El guyaboso Eguido Lopez-Gavilan(キューバ)

『島唄』は、もっとも聴衆の心の奥に入っていけた気がします。信長先生のアレンジもすごく感動的なのですが、やはり、平和を願う意識の強い聴衆の中で演奏したのも、良かったのではないでしょうか。

三重県合唱祭

 この行事は、三重県の合唱団が一同に会し、演奏を披露するものですが、毎年、《EST》は、プログラムの最後を任されています。この日も、聴きに来られた方々や、演奏を終えられた方々で満員となったありがたい環境の中で演奏させてもらいました。

 三重県文化会館は、何と言っても響きがいいのが幸せ。この日もその響きを存分に生かした演奏が出来ました。最後に歌った『島唄』がやはり感動的でした。大きな拍手は嬉しいものですね。

 三重県の合唱祭は、高校生が多いのが特徴です。若い高校生に感動してもらえる選曲と音楽作りを心掛けました。

 また、お昼休みに催される、祝祭広場での『屋外演奏のコーナー』には、《EST》スコラーズが登場。他グループがほとんど高校生・大学生だったこともあり、やはり、若い聴衆でいっぱい。振りの付いたビートルズの演奏を、喜んでいただけたようです。今年はジュースが無料サービスとなったり、なかなかサービス満点で盛り上がったコーナーでした。

飛躍の夏に向けて 

 《EST》始まって以来の、大変責任のある、飛躍する夏がやってきました。

 まずは、7月29日の“世界合唱シンポジウム”の中の“アフタヌーンコンサート”。中国、オランダの合唱団とのジョイントコンサートです。(京都コンサートホール) この日、《EST》は、千原英喜先生の『阿知女作法』と、鈴木輝昭先生の『情燐戯画』より“恋を恋する人”を演奏します。どちらも世界に発信すべく日本の最先端の現代音楽。世界の方々がどう聴いて下さるかが本当に楽しみです。

 続いて、7月31日の“世界合唱シンポジウム”の中の“コミュニティーコンサート”。コンゴの合唱団と、奈良のクール・シェンヌとのジョイントコンサートです。(奈良・100年会館)
日本の古都『奈良』に響く《EST》サウンド。7月29日のシンポジウムコンサートとはとは対照的な選曲で、アットホームで温かなコンサートを目指します。古今のヨーロッパとアメリカ、キューバの作品を集めた【アンサンブルの世界地図】。新進作曲家、信長氏のアレンジ作品を中心に、日本の佳品を集めた【再発見!日本の心】。2つのステージが、世界と日本を結ぶ架け橋になることでしょう。祈り、夢、人生、民族、平和、踊り・・・音楽に込めたいテーマが溢れます。ヴォーカルアンサンブル《EST》のメッセージサウンドにご注目頂きたいと思います。

 8月6日は、第21回宝塚国際室内合唱コンクール。今回は、アコール《EST》(女声合唱の部)、《EST》メンズクワイヤ(男声合唱の部)、《EST》シンガーズ(混声合唱の部)の3チームとも、本選の出場権を頂いています。海外からは、ドイツ、オランダ、台湾から4団体。楽しみです。

 先日の合宿では、これらの行事の曲、すべてに当たることが出来ました。目処が少し付いた感じです。
“アフタヌーンコンサート”の成功のために、鈴木輝昭先生もお呼びし、貴重な時間を持つことが出来ました。現代音楽には、作曲家の立会いが絶対必要だと思います。特に、この作品が“MTL第2旋法”で書かれているというお話は貴重でした。

 メンバー達は、皆、希望に満ちた目で、今年の夏を見つめます。その目線の彼方に、まだ見ぬ、音楽の素晴らしさ、新しい自分、生きることの深さを見出すことが出来れば、こんな嬉しいことはありません。








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2005.8.12

第7回世界合唱シンポジウムin京都(2)〜アフタヌーンコンサートに出演

前日の練習


 2005年7月28日、《EST》のメンバー達は、午後6時に、京都のとある幼稚園に集合しました。翌日に京都コンサートホールで催される“アフタヌーンコンサート”の練習のためです。

 私は、国際会館でセミナーを受講し、途中で抜けて幼稚園に向かいましたが、ギリギリに到着。練習部屋に入ると、もうみんなで練習体制に入っていました。

 賑やかです。みんなギラギラしています。国内推薦団体に決まってから1年半。この日を楽しみに、普段取り組めないような日本の最先端の現代合唱曲に取り組んで来ました。作曲家とも交流を持ちながら、“世界に問う”を合言葉に、時間を掛けて取り組んできた2曲。

 1曲目の鈴木輝昭作曲による「情燐戯画」より“恋を恋する人”は、音程とリズムを正しく取るだけで大変な時間がかかりました。パートで正しく取れても全体の合わせでは、うまく行きません。いろいろな工夫をしながら、次第に形が出来てきたのがこの夏に入った頃でした。でも、明らかな不協和音なのに美しい! 鈴木作品の特徴ですね。耳のメモリがとても細かくなったような、浄化されたような気持ちです。音楽構成も、5年前に取り組んだ「詩華抄」に比べ、整理されているように感じられ、練習では、知的関心を煽られながらのエキサイティングな時間を過ごすことが出来ました。

 8種類の打楽器も魅力的です。世界に一つしかない“シデロイホス”や、車の解体屋にお世話になって調達した“スプリングコイル”などを含む、「音程のある」打楽器が、声と絡みながら色彩的なテクスチュアを盛り上げます。運送の手続きなどでいろいろと気を使いましたが、この日は、初めて全楽器が揃って、いよいよ練習開始です。

 3時間の練習の内、2時間以上をこの曲に割き、熱のこもったアプローチが出来ました。細かい練習と構成感を大きく捉えた練習とのバランスを大切に心掛けました。冷房のない幼稚園で大汗を掻きながらも、その空間には独特の響きが漂い、芳情に立ち上っていく情景が見えるようでした。みんな魅せられました。

 もう1曲は、千原英喜作曲による「阿知女作法」『阿知女作法〜あちめのわざ〜』…新しい響きを世界へ)。この作品は、ほとんど音程のない作品ですが、何度かステージに載せてきたため、本番、客席に入る動きを取り入れてみようということになり、京都コンサートホールを想定した練習となりました。同じ曲でも配置を変える事により、新たな響き、新しい演奏を生み出そうという実験です。この日のアフタヌーンコンサートのオスロ室内合唱団の客席一杯に広がった演奏がとても参考になりました。
 
 熱い夜の練習が終わりました。やはり仲間はいいですね。みんな意気揚々と食事に散らばっていきました。京都はおいしい店が多いようです。翌日はお食事どころの話に花が咲いたくらいでした。

十分なリハーサル 

 ドイツ、スペインで「いい加減だなあ」と失望し、今回「さすが日本だなあ」としみじみ思えたこと。それは、リハーサル時間の保障と、それが約束どおりに整然と行われることです。

 日本のたくさんのホールは世界に誇れるものだと思います。その代表的な京都コンサートホール。そのホールをスタッフ付ききりで50分間もリハーサルに使わせていただけるのです。(10:50〜11:40)さらに、20秒で山台がどうにでも変えられるということで、進行スタッフとのきめ細かな打ち合わせの結果、演奏する2曲の間に団員の解説アナウンスを入れ、その間に、山台の形を変えていただけることになりました。それぞれの作品の音響を考えての細かな配慮ができるのが嬉しかったです。

 リハーサルは、「阿知女作法」から始めました。客席のどこに立って歌うか、指揮は客席のどこで行うか、等等、音響を確かめながら進めました。ソロ8人が歌う人魂は舞台で、それを包む音響を客席で歌い分けようという目的です。最後の大祓詞のリズムを合わせるのにちょっと時間が掛かりました。

 「情燐戯画」より“恋を恋する人”
は、打楽器の置き場所と音量バランスの確認。左後ろに山台を高くしてもらって置きました。グッドバランス。後は、通しの練習です。みんな本番が楽しみになっていました。

 さらに、小ホールで 11:40〜12:30、 13:00〜13:20 の時間帯を練習に使うことが出来ました。贅沢贅沢。ちょっとトラブルかけたことが一つ。それは、中国の合唱団が「あと5分!」と私に言って、小ホールを延長で使っていたことです。進行スタッフからも「しょうがないねえ」という表情でお願いされてしまいました。でも、本当に後は整然と進行されました。

 12:30からの司会者との打合せ(曲目変更、曲順変更など)では、長谷川冴子先生自ら、本日出演の3つの合唱団にきびしい口調で「時間オーバーはないか?!」と尋ねられていました。昨日のトルコの合唱団によほど腹を立てておられたようです。

本番と反響

 13:15 本番開始です。

 《EST》がまだ小ホールで練習している時に、本番は始まっていました。トップバッターの広東実験中学校合唱団(中国)の演奏は、全く聴くことが出来ませんでした。しいて言えば、小ホールで5分ほど。 普段なら、下手待機のときに聴こえてくるのですが、京都コンサートホールは、全く聴こえてきません。そう、完璧な防音です。すごいですね。

 3団体中2番目に登場のヴォーカルアンサンブル《EST》超現代曲2曲でしたが、練習の成果とたくさんの本番で培った集中力で、最初から最後まで、果敢に演奏できました。曲が曲でしたから聴衆の拍手も熱狂的なものではありませんでしたが、後からお声掛けしてくださった方々(海外の方々も含め)のお言葉はありがたいものでした。

 最後は、オランダ・ユース合唱団。この若い女声合唱団とは、8月6日に宝塚国際室内合唱コンクールで再会します。それだけに興味もありました。背が高く、声の響きの位置も高く、輝くような声を有しました。ただ、演奏された作品はオランダの現代作曲家の出来立てのもので、あまり完成度も高くなかったですね。ちょっと退屈な演奏でした。スタンディング・オーベーションとは行かなかったです。

 道で声を掛けてくださったインドネシアのパラヒャンガン・カトリック大学合唱団の指揮者アヴィプ・プリアトナ氏は、「打楽器に非常に興味を持った。メンバーはどうやって選出するのだ?」と、尋ねられました。「普通のアマチュア合唱団だ」と言ってもなかなか信じてもらえませんでした。

 関東在住で千原英喜作品を授業で取り上げている・・・というアメリカ人教師に地下鉄で声を掛けられました。彼は、「早速、阿知女作法の楽譜を買ったよ」とにっこり笑って楽譜を見せてくれました。

 初日から仲良くなったドイツ人のペティケ(?)氏とは、本番翌日に会うことが出来、「情燐戯画の楽譜を買ったよ」と。感想は?と聴くと「Difficult!」

 その他、「柔らかな声を有する」。「発声がとてもいい」などという感想も頂きました。

 滋賀県のあふみヴォーカルアンサンブルの“髪々の黄昏”さんからは、「阿知女作法もこれで3回目だったと思いますが、だんだんと自分なりに判って来た気がします。(今頃? (ーー;) 恋を恋する人も何回も聴きたいと思います。」という嬉しいお便りを後日頂きました。

 考えるに、シンポジウムということで、研究のための世界に問う曲を選んだわけですが、大半の聴衆は、もっと楽しみを求めていましたね。シンポジウムコンサートに出てくる他の合唱団の曲目も、BBSシンガーズ等の一部を除き、理解できる楽しい作品が多かったです。しかし、少数ではあれ、専門的な方々にも聴いていただけたのではないかと思うと、達成感が沸いてきます。これはこれでよかったのだと。

 その楽しさの部分は、翌々日のコミュニティーコンサートで、たっぷり発揮できました。その報告は後日。

P.S

 そうそう、曲間に入ったナレーションを紹介しておきます。《EST》のメンバー、鈴木君が、英語で行ったものでしたが、マイクを使わなかったため、ちょっと聞こえにくかったようです。ここに紹介し、お詫びとします。

皆さんこんにちは.今日は,このような暖かい聴衆の皆さんとこの場を共有できることを,非常にありがたく,また誇りに思っています.

本日,私たちは21世紀の日本の現代合唱曲を2曲演奏します.作曲者は2人とも若く才能にあふれ,日本の合唱界で有名で非常に人気のある方です.今日私たちが選んだ曲は,日本の現代合唱曲のコンセプトのふたつの潮流−国際化と日本への回帰−を代表しているものです.

今演奏しました,「恋を恋する人」のなかで,作曲者の鈴木氏は人造的なモード上に音列を積み重ねたりする現代的な手法を使い,詩の静的な持続を表現しています.この曲の中で,詩は象徴的な意味に使われ,逐語的な訳は重要ではありません.

それとは対照的に,次に演奏します「阿知女作法」では古代の詞を織り交ぜて作曲されています.古い神道の祓いは,キリスト教のレクイエムと異なり,魂の蘇りと生者との交流を描いたものです.この曲の後半部でそこここに魂が浮遊しているのをご覧になれます.ここで使用されている言葉は,非常に古いもので,日本人でも完全には理解できません.それよりも,私たちの音楽から原始的な祈り,天空からの光,古代のエネルギーといったものを感じていただければ幸いです.

用意ができました.では最後の曲をお楽しみください.



画像があります。ここをクリックしてください。








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2005.8.16

第7回世界合唱シンポジウムin京都(4)〜コミュニティーコンサートに出演

100年会館


 2005年7月30日、《EST》のメンバー達は、午後6時に、奈良の100年会館に集合しました。翌日の“コミュニティーコンサート”の練習のためです。

 100年会館は、ガラス張りで、ロビーや通路からもステージや客席が見えるのです。しかも、ステージ横にも客席があり、当日は私の指揮する顔を横から見られながらの演奏でした。割と近い距離だったので、始めは何となくやりにくかったですね。もっとも、すぐに音楽に没頭しましたが。
 
 響きはすごく良かったです。どこに座っても、同じように聴こえてきます。また、ステージ上にどのように並んでも聴こえてくる響きに差はなく、リハーサルであれこれ工夫する必要がなく、助かりました。いいホールです。

 前日の夜は、なかなかいい音楽が出来なくて、苦しかったです。私もみんなも疲れていたのでしょう。でも、当日の朝は、エネルギーに満ちていました。共演のラ・グラース(コンゴ)クールシェンヌの方々とも交流でき、本番に向かって気持ちは盛り上がっていきました。

 面白かったのは、お昼休みのラ・グラースとの珍交流です。「《EST》の女声の衣装と自分達のコスチュームを、交換して欲しい。」と、コンゴの女性達が私の楽屋を尋ねて言うのです。私は、「OK!」と言って、女性の部屋に案内しました。さて、女性達はどうするだろう。しばらく様子を見てたら、「宝塚で翌週に着なきゃいけないから無理。でも、打ち上げのときだけ交換しよ!」と言っています。「なるほど。Good idea!」と私は感心しました。かくして、打ち上げは、《EST》とラ・グラースの女性達は、衣装交換をして出席。なかなか、似合っていましたね。お互い。

 おっと、打ち上げの話は後にして、本番の話を。

楽しかった本番
 
 プログラムは、下記のようなものでした。全24曲。3時間近くのコンサートでした。

第1ステージ クール・シェンヌ 指揮:上西一郎

 Sicut cervus 作曲G.P.da.Palestrina
 O Quam Amabilis Es 作曲P.Villette
 Exultate Deo 作曲V.Miskinis
 Ubi Caritas et Amor 作曲M.Lauridsen 


第2ステージ ヴォーカルアンサンブル《EST》 指揮:向井正雄

 【アンサンブルの世界地図
 The Lamentations of Jeremiah I 作曲Thomas Tallis
 Bitte Nicht 作曲Francesco Milita
 Letztes Gluck(「Funf Gesange」から) 作曲Johannes Brahms 
 Chichester Massより、Benedictus  作曲William Albright
 El guyaboso 作曲Guido Lopez-Gavilan 

第3ステージ ラ・グラース

  NGIELE NGIELE(進め進め) コンゴ民謡
 LOSAKA EFOLA(感謝の歌 赤子の誕生を祝って) テテラの民謡
 LUWA NDINGA(主の声を聞け) マニアンガ民謡

第4ステージ クール・シェンヌ 指揮:上西一郎

 小さな空 作詞・作曲・詞武満徹
 THE BLUE BIRD 作曲C V Stanford
 風になりたい 作詞川崎洋 作曲寺嶋陸也
 ヒスイ 作詞寺山修司 作曲信長貴富

 
第5ステージ ヴォーカルアンサンブル《EST》 指揮:向井正雄/ピアノ:加藤あかね

 【再発見!日本の心
 一番星見つけた (わらべうた) 編曲信長貴富
 島唄 作曲宮沢和史 編曲信長貴富
 空飛ぶうさぎ 作曲矢田久子 編曲西脇久夫
 別れの歌 作曲中田喜直 編曲信長貴富

第6ステージ ラ・グラース

 KEBA!KEBA!(主の言葉を聞け) 作曲 アンプロワーズ クア ンザンビ トコ
 KULULU KELELE(嘆きの歌) ンブンザ民謡
 BISO E BISO E(心をはげまし) 北コンゴ民謡

第7ステージ 合同演奏 指揮:池田光政/ピアノ:入江知子

 オラトリオ「メサイア」から 作曲ヘンデル
 ハレルヤ 

 クールシェンヌの美しくまとまった音楽はいつも通りの絶品でした。しかし、何と言っても、このコンサートを楽しいものにしてくれたのは、ラ・グラース。29日の京都での演奏の疲れも見せず、それ以上の躍動感とお国の音楽への誇りに満ち溢れていました。満員の客席も沸きに沸きましたね。

 《EST》のステージは、2つの副題を付け、海外の作品と日本の作品を音色や表現の違いを意識して演奏しました。

 【アンサンブルの世界地図】では、最後の2曲、現代アメリカとキューバの作品の演奏に大きな拍手を頂きました。Tokyo Cantatでも演奏したこれらの作品は、とても楽しく演奏できました、キューバの作品は、京都でのグアテマラの合唱団の演奏に触発されて、東京の時より、さらにテンポアップです。ルンバの激しさを前面に出すことが出来ました。それでもハーモニーをピタッと決めてくれる《EST》。頼もしいです。

 【再発見!日本の心】は、良く知られた日本の名歌を信長氏の魅力溢れるアレンジで。そして、“空飛ぶうさぎ”を加えました。“空飛ぶうさぎ”の演奏前に、客席に向かって一言しゃべらせて頂きました。(ピアノをセットするための時間を利用)

 「この作品は12歳の少女の作詞です。彼女は、全盲です。彼女は、“うさぎって空をとべる。私といっしょに飛ぶんだよ”と詞に書いています。この曲は、ボニージャックスの毎年の“車椅子コンサート”で歌われ、感動を呼んでいます。」

 そして、詞を語るように演奏しました。後から「あんなこと言うから歌いながら泣きそうになったよー」と私に抗議してくるメンバーもいたくらい、ステージも客席もしっとりとした空気に包まれました。ハンカチで目を押さえる方もおられたようです。

 最後の曲は、歌い手はステージの左右の前まで出て、ソロの加藤さんはまん中後ろに立ち、立体的な音響を実現しました。惜しみない拍手を頂きました。

合同演奏はすごいことに


 さて、クライマックスは合同演奏に。全員でハレルヤコーラス。指揮は、奈良県合唱連盟理事長の池田氏で。まあ、イベントとしての形を綺麗に・・・・。

 と、思いきや、上手にいた私の横に、何とラ・グラースの指揮者トコ氏が、何やらテンションを高めながら、じっと演奏を聴いています。一番盛り上がる所の手前で「ドアを開けてくれ!!」

 そして、何と、ステージに走っていくではありませんか。そして、理事長を押しのけ、指揮を始めたのです。すごいパフォーマンスです。演奏者は一人もそんな話を聞いていませんでしたから、演奏はどうなることか・・・・・。はらはらでした。

 そしたらそしたら、トコ氏が振り始めた途端、音量が2倍くらいになりました。すごいハレルヤです。そして、最後の小節に入る休符を思い切り長く取って、最後の「ハーレーーーーーールーヤーーーーーーー!!」

 決まりました。もう客席もステージも大喜びです。すごい演奏でした。即興の喜びに満ちた演奏。そして、その後、コンゴの踊りをステージで始めたラ・グラースの皆さん。《EST》クール・シェンヌのメンバーも踊り出します。上西さんも私もステージに呼び出され、いっしょに。あ、ラ・グラースのメンバーは客席に乱入です。お客さんをステージに上げようとしています。何人かは上がってきました。こtれ、いつまで続くの? 理事長さーん、ニコニコ笑って立ってないでいい加減取り仕切ってくださーい。(以上実況中継)

 ふーーっ!  というわけで、3時間弱のコンサートとなってしまいましたが、帰り行くお客様、みんな笑って帰られました。三重県からバスツアーで来られた方々、九州の講習会で知り合った福岡や佐賀から聴きに来られた方々にもお会いでき、コンサートの成功を称えて下さりました。本当に嬉しかったです。

打ち上げ

 打ち上げが盛り上がったのは言うまでもありません。これについては、私の文章よりも画像入りの《EST》のHPの「活動記録」を見て頂いた方がいいでしょう。ここをクリックしてください。








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2005.9.6

第21回宝塚国際室内合唱コンクール本選で総合1位を受賞しました


 2005年8月6日に催された第21回宝塚国際室内合唱コンクールにて、《EST》シンガーズは、混声部門金賞、兵庫県知事賞(国内団体第1位)、全部門総合1位に選ばれました。また、アコール《EST》は女声部門金賞に、《EST》メンズクワイヤは男声部門銅賞に選ばれました。2度目の総合1位、初の全部門入賞と、喜びに沸いた1日でした。

前日はホテルで練習

 
 宝塚のコンクールは3年ぶりです。一昨年はヨーロッパカンタートと重なってしまいました。昨年は、コンクール自体が開催されず、自主ジョイント公演“Friendship Consert in Vega”を開催したのでした。現メンバーで3年前のコンクール経験者はもう全体の半分。それだけに、非常にフレッシュな感覚でした。

 前日の金曜日夜、私たちが集まったのは、ホテルチボリ。宴会場をお借りして、20時から22時30分まで、1チーム50分位ずつの練習をしました。このホテル、大温泉やジムのある継ぎ足したような迷路のような大きな建物でした。早くから来た学生組は、温泉も済ませ爽快な感じでした。

 この辺りは温泉街なのでしょうか。私も練習の後、ゆっくり温泉三昧を楽しみました。京都、奈良、京都、伊勢、宝塚と、溜まりつつある疲れがスーッと取れていくようでした。

 ところが!!!!!!!!!!

 「部屋が暑い!」クーラーが全く効かないのです。《EST》のメンバーが泊まっているほとんどの部屋がそうなのです。“別館”全体がそうなのです。ちゃっかり、本館に鞍替えしたメンバーもいましたが、もうそれも満室らしく、結局その日は、1時間に一回目が覚めながら、汗びっしょりで寝ました。いや、眠れず、朝の5時ごろ、ジムのリクライニングシート(仮眠部屋)を探し当てて忍び込みました。もう、腹が立って腹が立って・・・。水しかでなかったスペインのお風呂の時は大らかな気持ちでいられましたが、この日はダメでしたね。ああ、3年前までのワシントンホテルが懐かしい!!

当日は3団体が分刻みで


 眠気を振り絞り、朝は、7時半から10時過ぎまで、3チームの練習です。温泉で取ったはずの疲れが、クーラー騒動でどっと。それでも、皆の歌声と集中力に助けられ、いい練習が出来ました。気持ちよく、コンクール会場に向かえました。

 本番は朝から、女声の部、男声の部、混声の部の順で進められます。プログラムに沿って、まずは、アコール《EST》

4つのモテットU Durufle
Bitte Nicht Milita(1967〜 イタリア)
Lauda Sion Orban

 2曲目のBitte Nichtは、スペインのヨーロッパカンタート出演の際、イベントの一つである作曲コンクールに出されていた作品です。絵を見るような楽しい楽譜に、グリッサンドや息を吸う音やシュプレヒコールなどが多用されているおもしろい作品です。この作品を挟むように、宗教曲の素敵な小品を演奏しました。細やかに、そして大胆に。女声ならではの表現の多様性に向かいました。ホールがよく鳴ってくれました。表現の深さという面からは、まだまだ課題が残ります。作品によってもっと音楽を変えられたら・・・、表現に余裕があれば・・・、と欲は出ますが、今のアコール《EST》として、持ち味がたっぷり出せた演奏でした。Lauda Sionの最後の決めも爽快でした。

 お昼過ぎに本番となった《EST》メンズクワイヤ

エレミアの哀歌T タリス

 500年前に生まれたタリスの名曲を精神性深く演奏しようと試みました。ルネサンス作品は永遠の課題です。ポリフォニックな線的な表現と、現代に蘇る情感の表現をどうバランスをとっていくかです。どうしても情感の部分が多くなってしまい、様式から逸脱しそうです。でも、それもいいじゃない! という気もします。どういう状態をバランスの取れた状態とするか!ですね。ただ、男声には課題が山積みです。響きの統一。ハーモニーの安定。その他諸々・・・。でも、一頃より大分よくなってきています。名曲「エレミア」に恵まれたことが大きいです。このまま、さらにいい響きに向かいたいものです。

 昼下がりに、《EST》シンガーズ

Letztes Gluck(「Funf Gesange」から) Johannes Brahms
Chichester Massより、Kyrie、Benedictus William Albright
El guyaboso Eguido Lopez-Gavilan(キューバ)

 ロマン派の名曲で始め、現代アメリカの宗教曲を経て、キューバのルンバのリズムを使った楽しい作品に繋ぎました。ロマン派作品をコンクールで演奏するのは勇気が要りますが、《EST》のレパートリーにしていきたい分野。あえて選びました。選ばれし20名は、さすがに安定した音楽をかもし出してくれました。キューバの作品は、とてもかっこよく決まります。演奏が終わったときの拍手に、達成感を感じました。とても気持ちのいいものでした。

審査発表は全員にメダル

 宝塚コンクールの良さは、もう衆知のとおりですが、表彰式の“歌い手全員がステージに上がってメダルを授与される”儀式は、一人一人を大切にされた本当に素敵なものですね。
 
 発表の瞬間の歓声、みんなで抱き合いながら、涙しながら席を立ってロビーに移動し、ステージに出て、拍手を頂いてメダルをかけて貰って、席に戻る。これを3回繰り返すメンバーもいます。新しいメンバーの高揚の涙。ベテランメンバーのしみじみと感じる喜び。昔も今も変わらない至福の時間です。いや、回数を経て、至福の重さが増していくようです。

 総合1〜3位の団体の表彰が最後に行われました。各団体2名の6人がステージに並びます。《EST》を代表して、加藤さんと細野さんがステージに並びます。その横に、オランダユース合唱団の女性たち。すごい背の高さです。見上げながら握手しているのが面白かったです。
 

 全34団体が参加した今年のコンクール。審査結果は、以下ののようなものでした  


総合1位 混声部門  《EST》シンガーズ(三重県津市)
総合2位 女声部門  オランダユース合唱団(オランダ ユトレヒト)
総合3位 混声部門  フォルモサ合唱団(台湾 台北)

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兵庫県知事賞 混声部門 《EST》シンガーズ

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女声部門

金賞  オランダユース合唱団(オランダ ユトレヒト)、Accord《EST》 (三重県津市)
銀賞  出雲北陵高等学校合唱部(島根県出雲市) 、フォルモサ合唱団(台湾 台北)
銅賞  浜田少年少女合唱団S&S(島根県浜田市)、Ensemble Daffodil(大阪府柏原市)、女声合唱団 杏(石川県金沢市)

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男声部門

金賞  フォルモサ合唱団(台湾 台北)
銀賞  創価学会関西男声合唱団 (大阪府大阪市)
銅賞  《EST》メンズクワイヤー (三重県津市)

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混声部門

金賞  《EST》シンガーズ (三重県津市)、フォルモサ合唱団(台湾 台北)
銀賞  Choeur Chene (奈良県橿原市) 、Unmarked Singers (大阪府高槻市)
銅賞  カンマーコール ミヒャエルシュタイン(ドイツ ワイマール) 、TWILIGHT BELLS (大阪府大阪市)




翌日のコンサートの打ち合わせでオランダユース合唱団と

 全日程が終了し、レセプション会場に移動。審査員や海外団体との大交流会。これがあるから楽しいのですが、《EST》はちょとお預けです。「もう一度コスチュームに着替えてください!」との指示を受け、ステージに。実は、次回のコンクールのポスター写真を撮るためなのです。そういえばそうでした。2000年度も同じことがありました。総合1位の団体のステージ姿が、次回のコンクールのポスターになるのです。(実は、密かに2001年のポスターが家に貼ってあります。見てみると今いるメンバーは7人。加藤さん、藤田さん、常住さん、中村さん、森本さん、土井氏、野田氏。5年前も今も《EST》を支えるメンバーです。)

 私と加藤さんと北田氏は、翌日のコンサートの打ち合わせ会に出席です。本番の順番、リハの時間、曲目などが決まります。

 さて、私は打ち合わせ会で思い切った提案を試みました。オランダユース合唱団アコール《EST》がコンクールで同じ曲(
4つのモテットU、Durufle)を演奏したので「合同演奏しませんか?」と切り出したのです。身長の差だけでなく(笑)音楽的にも大変おもしろい企画だということで、快く取り入れていただきました。

 オランダユース合唱団とご一緒できるのが楽しみだった理由は、他にもありました。というのは、アコール《EST》がこの日演奏した2曲目のBitte Nichtは、この合唱団が初演した作品なのです。あれは、一昨年のバルセロナでの作曲コンテストでのこと。この合唱団がモデルとなって、何曲か演奏して、作曲賞を決めたのです。Bitte Nichtは、その時「斬新で面白い!」と私の印象に残りました。そして今回の選曲に繋がったのです。

 また、偶然、京都でのシンポジウムコンサートで一緒にステージに上がったのもオランダユース合唱団でした。その時、4つのモテットU(Durufle)を聴き、「宝塚で合同で歌いたいなあ」と思ったのでした。背はとてつもなく高いのですが、若くキュートな美しい女性ばかりの合唱団。合同演奏が決まったことをパーティーで告げたとき、《EST》の男性たちが一斉に「ずるいずるい」とごねた事は想像するに易しいことですね。

 その『パーティー』と翌日の『入賞団体による演奏会』は、次回に記していきます。

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2005.9.17

第21回宝塚国際室内合唱コンクール〜夜のパーティーと翌日の『入賞団体による演奏会』、そして・・・


 前回の続きを記したいと思いますが、すでに、40日も立ってしまっています。記憶のおぼろげな事も多々出てきていますが、40日立って振り返ってみて、未だ心に強く残っていることを中心に記してみたいと思います。

パーティー
 
 まずは、パーティーの賑やかさです。打ち合わせを終えて駆けつけたときは、もうたけなわでした。海外の方々も、審査員の方々も、勿論国内のコンクールに出演した方々も、みんな入り乱れて談笑しています。司会は洲脇先生。歌のお呼びが掛かります。ドイツの“Kammerchor Michaelstein”の端正な演奏、台湾の“The Formosa Singers”の力強い演奏、オランダユース合唱団の美しい演奏・・・・ 《EST》にもお呼びが掛かりました。オランダユース合唱団と合同で4つのモテットU(Durufle)を。この時は私が指揮を。その後、《EST》単独で、El guyabosoを演奏し、最後に、クール・シェンヌと、を演奏しました。El guyabosoは、台湾の方々にとてもエキサイティングな感想を頂きました。やはり、キューバのルンバのリズムは世界共通だと確信しました。

 世界合唱連合のラポス先生が、パーティーにまで参加されてたことはとても感激しました。ラポス先生は、ドイツやスペインでも、お話させていただけた方です。大柄なのですぐわかります。京都の世界合唱シンポジウムでもお会いできました。そして、この日のコンクール会場にも来てみえたのです。その度に私にブラボーブラボーと言っていただきました。そしてこのパーティーでは、何と抱き上げて頂きました。(彼は翌日のコンサートにもみえました。)

 松原千振先生に呼び止められ、いろんなアドバイスを頂戴しました。先生の音楽観に触れたような気がしました。日下部先生や、洲脇先生にも。そうそう、パーティーに向かう道で偶然、この日の審査員の礒山雅先生にもお会いしたのでした。ルネサンス・バロック時代を専門とされている礒山先生からの「タリスのエレミヤ哀歌は、音楽を超えたメッセージがあってとても良かった。1位を付けたよ。」とのお言葉は、一緒にいた北田君をとても勇気付けるものでした。(彼は男声だけが銅賞だったことに落ち込んでいたものでしたから…)

 宝塚の夜、楽しい国際交流の夜、パーティー会場は、いつまでも熱気溢れるものでした。
    
『入賞団体による演奏会』

 単なるコンクールに終わらないという、素晴らしい企画だと感じるのが、この演奏会です。昨年の「
Friendship Concert in Vega〜宝塚国際室内合唱コンクール出場団体による演奏会〜」の立ち上げもこの演奏会から端を発したものでした。今回、《EST》は、最終ステージを受け持つことが決まり、その責任を果たすこととなりました。

 プログラムは、前日の演奏曲に加え、「島唄」「空とぶうさぎ」「別れの歌」。また、1曲目はオランダユース合唱団と合同です。30分ほどのステージを歌いきりました。途中、鈴木君の英語での解説を入れました。海外の方々が聞いてくださっていたからです。振りながら、感無量でした。《EST》は、紛れもなく、ここベガホールで育てられました。古いメンバー達は“聖地”と呼んでいます。新しいメンバーにもこの感覚は受け継がれていきます。ここでこうして音楽する喜びをいつまでも持ち続けたい。そんな気持ちで振り続けていました。1週間前の奈良とはまた違ったしみじみとした惜しみない拍手を頂きました。

「台湾に来て欲しい!」


 終わって着替えている時です。台湾メールクワイヤの指揮者の方が、楽屋へ来られ、「《EST》台湾に招待をしたい」とお声掛けいただきました。1年に一度、台湾に海外の合唱団を招待し、コンサートや勉強会を持つという企画だそうです。「今年はポーランドとドイツの合唱団を招くので、ぜひ来年!」と。そして、《EST》のCDを手にしてニヤリ。

 これには、驚くやら嬉しいやら。「日時はお互いの相談で」と具体的なお話まで頂きました。OKする方向で、来年10月の3連休を中心とした公演日程を第1希望として、メールでやり取りしています。「勉強させて欲しい」なんて言われるのは大変おこがましいのですが、襟を正して、来年の夢に向かって《EST》は歩み始めます。

お別れ会

 いつもなら演奏会が終わって解散となるところなのですが、今年は、ベガホールの隣のレストランを借り切って、「W夫妻のお別れ会と加藤さんのウィーンへ旅立つ会」の開催です。

 副代表と内政マネージャーを夫婦でこなされていたW夫妻。この度関東に転勤です。また、トレーナーの加藤さんはピアノとコーラスを勉強しに翌日にウィーンへ旅立ちです。京都に始まった音楽の旅もこの日で一段落と言うこともあり、会はとても盛り上がりました。W夫妻とはまた何年か後に一緒に音楽できることを期待し、また、加藤さんがますます大きくなられてウィーンから無事帰って来ることを祈り、時間の限り歌って飲んで…貴重な時間でした。

 翌週の、《EST》ミーティングで配布された“審査員講評”の後書きに、福本君が書いている文章(抜粋)を掲げて、終わりたいと思います。私はこの福本君と同じ気持ちでこれからも、《EST》の仲間達と夢を追い続けたいと思っています。

 ・・・・・・・・・さて、「音楽は瞬間芸術で、その演奏は一期一会だからとても貴重なものである。だから思いを込めて歌おう。」というのはよく言われる、というか知っておかなければならない言葉であろう。しかしながら、頭で分かってもなかなか心まで沁みない。
 繁栄を手に入れた人がなぜ感動を求めるのだろう。それは、人が何らかの形で「別れ」と隣り合わせであるからではなかろうか。広く言うと「死」にもつながりはしないか。友人との別れ、恋人との別れ、肉親との別れ、郷土との別れ、時代との別れ、生との別れ・・・。
《EST》のメンバーは入れ替わりが激しい。かけがえのない時間を共有した仲間がそれぞれの事情で一人、また一人と去っていく。創立メンバー始め、古株はこの「別れ」を多く知る。それが故、みんなとの瞬間の感動への希求は古株ほど強い。続ける意味はここにあると思う。たくさんの仲間とのかけがえのない時間の共有。たやすく言葉で伝えられないが、これを機会に考えてみてはどうか。入れ替わりが激しいのは仕方ない、とドライな考えではこの気持ちもなかなか蓄積されないであろう。自分の力ではどうにもできない「別れ」。これを知ること、ならばこの今をかけがえのないものにしよう、という想いが《EST》で歌い続ける一つの所以である。・・・・・・・


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2005.10.4

今年も全国コンクールへ〜第58回中部合唱コンクールで金賞・全日本理事長賞

 2005年9月25日、Vocal Ensemble《EST》は
第58回中部合唱コンクール一般A部門にて、金賞・全日本合唱連盟理事長賞(全部門総合1位)を受賞し、中部地区代表として来る11月19日に“りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール(新潟市)で行われる全国大会への出場が決まりました

前日当日の練習のひと時

 長野県まで、バスで6時間。《EST》のメンバーたちが宿に到着したとき、私は、ちょうど同じ宿で、宇治山田高校合唱部の全国大会出場を祝う打ち上げパーティーの真っ最中でした。三重県合唱連盟のスタッフでもある《EST》の土井氏が、打ち上げ会場に顔を出してくれました。満面笑みで生徒達に「おめでとー!!」。生徒達も大喜びでした。

 打ち上げを抜けて隣の練習会場へ。さあ、気持ちを切り替えて練習です。宇治山田高校の生徒達数人が見学に。

 “Letztes Gluck”(Johannes Brahms)は、精神性を濃く投影することを目的にしました。深い詩です。心の深いところで捉え、沁み入るような音を出したい。その音がブラームスの音構造の中に再び染みていく・・・。いい時間でした。こういう練習は集中力が欠かせません。求めるものをしっかりと捉えなければ。じっくり時間を掛け、新しい音像が立ち上ってくる充実感がありました。

 「情燐戯画 」より“恋を恋する人”(鈴木輝昭)は、3度目のステージになりますが、こなれてきたとは言え、まだ、すっきりと表現できないところがあります。そこを明確にする練習でした。もどかしさもありますが必要なこと。現代音楽ではこういったパーツパーツをすっきりさせていく練習が最後まで欠かせません。

 翌朝も同じ会場で練習しました。ブラームスの最後の解釈がすっきりしないまま終わってしまった事もあり、少々ナーバスになってしまいました。後は、本番。みんなを信じるだけです。

 前日当日と最高の盛り上がりを見せた前日の宇治山田高校生と違い、大人ですから、同じようなものを求めてはいけないとわかっていながらも、何か注意散漫な雰囲気を感じ、私の気持ちはしっくりとしませんでした。そこで「一人の時間を持とう」と思い、周辺を歩いたり、食事を取ったりしました。気持ちがスーッと安らかになっていくようでした。指揮者ってこういう時間が必要なのでしょう。

本番

 リハーサルはびっくりでした。渾身の思いで振り出した私。その私が欲しかった音楽が返ってきます。嬉しかったですね。みんな何かしら考えてのことだったのでしょう。本番に向かう一時をこんなにも集中し合えた《EST》の仲間達を「すごい!」と思っていました。

 本番に向けても、私はほとんど口を開きませんでした。集中したかったのです。ブラームスの音楽は集中力で決まる! 内容の深い音楽をするための心のあり方を厳しく自分に課していました。他のメンバー達も同じように本番を待っていたように思います。

 そして本番。
長野県民文化会館中ホールは音響のすばらしいホールであることが前日の宇治山田高校の演奏でわかっていましたから、気持ちはとても充実し、不安はありませんでした。

 “Letztes Gluck”(Johannes Brahms)は、音楽が呼吸しているような豊かなサウンドだったと思います。特に旋律となることの多いソプラノが良かったと思います。表現過多の一歩手前くらいまで行けたと思います。次のステージに向かっては、今回のような集中力ある演奏に加え、冷静な面(パートバランスやパートの更なる一体化)を加え、ますます磨いていきます。

 
「情燐戯画 」より“恋を恋する人”(鈴木輝昭)は、三重県コンクールとは明らかに違う客席の反応を感じることが出来ました。数日後に作曲家ご自身のアドバイスも頂くことが出来ました。独特の世界をさらに色彩感豊かに仕上げて行きたいです。

 課題はあるにせよ、何と言っても、集中し、音楽に没頭できたことが満足でした。


審査結果はバスの中

 長野は遠い! というわけで、私を含むほとんどのメンバーが審査結果発表前にバスに乗り込み、帰途に。会場に残ったメンバーからの携帯電話のメールを、バスの中でドキドキしながら待っていました。

「速報!金賞!代表!」

「知事賞も獲得!」

「総合1位!全日本合唱連盟理事長賞も獲得!」

「全員の審査員が1位をつけてる!!」

 4回に分けてのりアルタイムメール。その度にバスがみんなの万歳で揺れるようでした

 私は、3年ぶりの高校とのダブル受賞に、感慨に浸っていました。広島で、新潟で、たくさんの方々に聴いていただける・・・・・と。

 いい音楽を目指す営みというのは何て素敵なのでしょう。人をこんなに幸せにし合う音楽。私の人生は、音楽を携え、人と関わり、深いところで感じあえる仲間達と共にこれからも在り続けます。《EST》をこれから支えていく仲間たちも同じことを考えてくれていることでしょう。

 コンサートが待っています。ガラリと雰囲気を変えての楽しい出会いが待っています。そして近未来の合唱団を瞼の裏に想像しながら、楽しい疲れが・・・・・・ZZZZZZZZ
(_ _)zzZ








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2005.11.14

第13回コンサート『アンサンブルの世界地図』が無事終わりました

 2005年11月6日、ヴォーカルアンサンブル《EST》第13回コンサート〜アンサンブルの世界地図 が、三重県文化会館大ホールで催され、732名というたくさんのお客様と、至福の時間を過ごすことが出来ました。

 シデロイホスを作成された陶芸家、原田和男さんをお迎えしてのコンサート。氏を交えたインタビューや、《EST》のメンバーも入っての氏制作の楽器の即興演奏、新潟被災地への募金、CD予約に販売・・・などなど、バラエティーに富んだ2時間10分でした。

エレミアの哀歌T タリス
レクイエムより、Kyrie、Sanctus&Benedictus、Agnus DeiT,U&V ヴィクトリア
Letztes Gluck(「Funf Gesange」から) Johannes Brahms
Uti vor hage Hugo Alfven
Onnelliset Leevi Madetoja
4つのモテット Durufle
Chichester Massより、Kyrie、Benedictus、Agnus Dei William Albright
情燐戯画2 鈴木輝昭
一番星見つけた 信長貴富
Bitte Nicht Milita
Buenos Aires Hora Cero(深夜12時のブエノスアイレス) Piazzolla
Lauda Sion Orban
O nata lux Morten Lauridsen
Chili Con Carne Edenroth
Calambre(しびれ) Piazzolla
島唄 信長貴富
El guyaboso Eguido Lopez-Gavilan
Put vejiini Raminsh
別れの歌 信長貴富

 上記のプログラムで開催させていただきました。さまざまな客層からなるコンサートですが、今回は、純粋に我々の大好きな作品を並べました。アンケートでは、「《EST》の響きがたっぷり聴けた」というありがたいものが多かったです。「日本語の曲や知っている曲が欲しい」というものも勿論ありました。また、次回は考えて行きたいものです。アンケートは、打ち上げの時やコンサート後の練習でみんなが少しずつ読んでいます。たくさん書いていただきました。お礼に代えたいと思います。

 さて、今回は、ライブCDを制作することが大きな目標でした。そのために、前日もたっぷり歌いました。CDのクオリティーを上げるため、ライブ演奏に傷があった場合に備え、前日もCD録音を行ったからです。その結果、非常に充実したリハーサルが出来ました。音楽を真っ直ぐに捉えた素晴らしい時間を持つことができたのです。そのことが本番を支えました。各曲の本番での質がいつものコンサートより高かったと思いました。

 あるオーケストラの指揮者をされてみえる方から、

  昨日は素敵な演奏をありがとうございました。
どの曲も完成度が高く、美しく、知らない曲が大部分であるのにもかかわらず、2時
間半を十分に楽しませていただきました。(私にとっては、めったにない体験です)

という勿体ないメールをいただきましたが、普段日本で演奏されないような作品を多数盛り込んだにも拘らず、それを《EST》のものとして十分に消化して、自分達の音楽として演奏できたような気がします。

 作品によっては、もっともっと深くアプローチしたいものもあります。ブラームスなどはその一つです。そんな次への欲求も生まれる演奏会でした。

 昨年のコンサート(10月24日)の朝、新潟では、大変な災難に見まわれました。あれから1年。縁があって新潟に行くことが決まり、ある団員の発案で、募金を計画しました。アンコール曲Put vejiiniを演奏した後、「音楽には力があります。《EST》のメンバーとここにいらっしゃるお客様とが一体となれた証として、新潟への募金を募ります。」と話させていただきました。結果として、86,326円も集まりました。この額は、昨年のコンサートでご協力いただいた世界シンポジウムへの寄付金の額を大きく上回っています。《EST》で責任を持ってお預かりし、もう少し募らせていただき、新潟へ持っていくつもりです。
 
 この1年は、大変ステージの多い年でした。おかげ様で今回のプログラムは、これまでのステージですべて演奏してきたものでした。滋賀や東京や京都、宝塚などでの1曲1曲への一生懸命なアプローチが蘇ってきます。それに新たなアプローチを加え、充実した演奏が出来たのだと思います。メンバー達は、コンサートの最後のアンコールまで、落ち着いた気持ちでしっかりと表現できたのではないでしょうか。

 勿論、残念なこともありました。期待のテナー、《EST》スコラーズ
の松井君が赴任先の学校の文化祭と重なって欠場だったのです。また、この日の朝に身内を突然なくしたメンバーもいました。気丈にも最後まで歌いきってくれましたが。風邪も流行っていました。仕事で本番間際にしか駆けつけられないメンバーも。しかし、そんな中、企画運営にもみんな大変よく頑張ってくれました。もっとも頼りとなる代表北田氏の下、大変なエネルギーでコンサートをやり遂げられました。『人間力』の集大成という言葉がピッタリです。おかげで私は、今までのコンサートの中で一番音楽だけに集中させてもらえました。メンバー達に感謝したいと思っています。

 楽しみなのは、どんなライブCDが出来るかです。たくさんの方々に聴いていただけたらと思います。CDジャケットは、《EST》の誇る団友の
イラストレーター中村友美さん。今回のチラシ・ポスター・プログラムでも大変素敵な作品を描いて下さいました。原田氏の“鉄の響き”もCDに盛り込みたいと思っています。

 コンサート後の打ち上げパーティーが、たくさんのゲストの方々をお迎えして盛り上がったのは、言うまでもないことですが、2次会では、「ヨーロッパへ行こう!」と、お酒の勢いもあってかなり白熱しました。来年のメインイベントになりそうな予感です。想いが“末広がり”になるコンサートだったのだと思うと、とても幸せな感覚です。

 関係の皆様、お客様、本当にありがとうございました。


 





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