2002.10.10

今年も全国コンクールへ出場します〜第55回中部合唱コンクールで金賞

 2002年9月29日、Vocal Ensemble《EST》は
第55回中部合唱コンクール一般A部門にて、金賞を受賞し、中部地区代表として来る11月23日に滋賀県大津市で行われる全国大会への出場が決まりました

会場の広さ・音響に応じた演奏を 

 これが、8月、9月に努力したことのひとつです。宝塚コンクールが行われるベガホールは、室内合唱向きの素敵なホール。無理せずに響きを作ることができます。《EST》が向かっている発声にぴったりな音空間と言えます。ところが、全日本合唱コンクールが催される会場はとても大きく、大編成のグループ(高校の部では130人を超えるグループがあります)に対応することを第一条件に、選ばれています。私は、小編成の室内合唱に適した会場が、別に選ばれるべきだと思うのですが、現実問題としては、どんな会場でも、その会場にあった音楽をしていかねばなりません。その点、宝塚とは違ったアプローチを加えていかなければなりません。

 大きな会場に適した響き作りへの意識、オーダー(並び)の組み方、立体感ある表現、振り付けと音楽の関係などを考え、新たな音楽つくりを目指しました。そうすることで、一回り大きな音楽を実現しようとしたのです。

 中部コンクール一週間前に行ったホール練習で、目指す音楽の形ができました。やはりホールで練習することは大切ですね。狭い練習場でイメージしきれないことが、現実の響きとして体験できるのですから。

 そこで得たことは、やはり、体も心も精一杯使って、前へ前へ表現することでした。ややデッドな音響ホールでしたから尚更です。メンバーにとってはしんどい体験だったことでしょう。しかし、客席の後ろまで届くことが大切。この日の体験は大きかったです。

前日当日のすばらしい練習のひと時

 富山県まで、バスで7時間。《EST》のメンバーたちが宿に到着したとき、私は、ちょうど同じ宿で、宇治山田高校合唱部の全国大会出場を祝う打ち上げ食事会の真っ最中でした。《EST》のメンバーたちも心から祝福してくれました。その後、私が、打ち上げを抜けて練習会場へ着いたときには、アンサンブルトレーナーの加藤さんの熱の入った練習がすでに始まっていました。

 高校生の熱気を浴びて、ハイテンションな私。《EST》のみんなもすぐにそんな私に応じてくれました。音色がひとつにまとまり、ぐいぐいと積極的な表現になって来るのに時間は掛かりませんでした。いいひと時です。本番もいいですが、こういった本番前のスリリングな練習がたまらなくいいですね。この日は、早めに練習を切り上げることができました。ゆっくり休んで、いよいよコンクール当日の朝。

 朝の声の出はやはり今一歩でしたが、気持ちが入っている分、本番までには何とかなる!と確信が持てました。一週間に一度しか集まれない歌う我々には、やはり歌うことで高い志を実現するしかありません。夜も朝も歌い、仲間の息遣いを感じ、共に笑い、緊張し、自分たちの今の音楽を確認し合い、つまり、音楽する時間を大切にし合いながら本番までを過ごす。この時間がすばらしいのです。本番もいいけど、そこに向かうドラマがすばらしい。そんな実感を得た練習でした。

新川文化ホールでの気持ちいい演奏

 新川文化ホールは、音響のすばらしいホールでした。各小人数の団体も、歌いやすかったことと推察します。我々は、広く響かないホールを想定して練習をしてきましたから、安心して堂々と演奏することができました。“堂々と”と書いたのは、欲を言えばもう少し、室内楽的な繊細さが出せれば良かったかなあ、という意味も込めてです。

 今回、感動したのは、本番までの気持ちの持って行き方です。今まではワイワイ言いながら本番までの間を過ごすことが多かったのですが、今回は、皆、シーンとして、本番に向けて集中力を高めている姿が。この雰囲気は、今回の《EST》の得た新たな宝となるでしょう。本番への覚悟を静かに自分の内側へ作っていく。そのことが本番でのテンションにつながっていくからです。

 パレストリーナは、ノンビブラートを真摯に守りつつ、遅めのテンポでたっぷりと歌い上げる演奏でした。重厚な、そして健康的な演奏でした。響きの豊かなホールだとわかっていれば、もう少し、デリケートに、歌うより語るような演奏ができたのに・・・と思います。本番会場の響きによって臨機応変に音楽を変えていける柔軟性は、まだわれわれには足りないようです。それでも、後半のドラマは、いい動きで表現できました。

 マルタンは、いい出来でした。シェークスピアの喜劇性を前面に出した愉快な演奏だったと思います。英語の一つ一つの言葉の音色的な意味付けにさらに磨きをかけたいものです。フェリチアーノは、フィリピンの土俗性を出そうと思い切った演奏を試みましたが、少しアンサンブルに乱れが生じました。安定したサウンドの中で思い切ったユーモラスな表現をしたいものです。

 しかし、気持ちのいいステージでした。エネルギー溢れる爽快な、今までで一番充実した演奏でした。

審査結果はバスの中

 富山は遠い! というわけで、私を含むほとんどのメンバーが審査結果発表前にバスに乗り込み、帰途に。会場に残ったメンバーからの携帯電話のメールを、バスの中でドキドキしながら待っていました。メールが入ったとたん、みんな大喜び。全国大会でさらに磨きを掛けた演奏を!と新たな目標を立てることができたのですから。

 私は、初めての高校とのダブル受賞に、襟を正す気持ちで感慨に浸っていました。神戸で、滋賀で、たくさんの先生方や、合唱ファンの方々に聴いていただける。体調や仕事のやりくりに気をつけながら、精一杯音楽に取り組もう・・・・と。
 
 とにかく、楽しい合唱人生でありたいものです。そして、私のテンションが、メンバーに大きく影響します。少しでも、いい音作りを目指し、工夫を凝らした練習を提供したい。そして、この勢いで、10周年コンサートも乗り切りたい・・。考えることの多い中、心地よい眠りに誘われてしまったバスの中。まだまだ、三重県は遠くにありけりでした。

第55回中部合唱コンクール結果(三重県合唱連盟HP)

「特設:びわ湖ホールへ「いらっしゃ〜い!!」



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2002.10.23

『コンサート直前合宿』は新企画で楽しく

 2002年10月19日〜20日にかけての『コンサート直前合宿』。いつもの、コンサート曲の歌いこみに加え、新企画による楽しく有意義な合宿でした。


『おはようエアロビクス』 

 一つ目は、朝のエアロビクスです。名づけて“おはようエアロビクス”。夏合宿から始め、今回2回目でしたが、なかなか盛況でした。もっとも、今回は、私は出席できなかったのです(やちまた混声合唱団の練習です)。しかし、メンバーに尋ねると、前回より、にぎやかで楽しかったと言っていました。

 合唱団でエアロビクスを練習する意義は何だと思いますか。歌うことは全身運動ですから、効果があるのは当然といえば当然ですが、リズム感を育てる、頭と体を直結させる、呼吸のリズムをつける、親睦を図る、思わぬスターが現れる・・・等等、いろいろな楽しみがあります。どれも、集団で音楽するのに欠かせない事柄ですよね。

 特に、楽譜の先を見ながら、前へ前へ、アグレッシブな音楽をしていくのに大変効果があると思います。次の次に体をどう動かすかがわかってないと次への体の移動がうまく行かないのが、エアロビクス。同様なことが音楽でも言えるわけですから、やはり、密接に両者はつながっているわけです。

 メンバーの中には、エアロの上級者が数名。綿密な計画を合宿前から立て、ノートにびっしり書き込んでのいざ本番。リードするほうも参加するほうもやりがいのある、ほほえましい小一時間でした。

『秋のアンサンブルフェスティバル』

 二つ目は、合宿の最後に催された、団内アンサンブル大会です。春の合宿でも行いましたが、今回は、企画担当がEST》スコラーズ、《EST》スコラーズと私が審査員、そして、《EST》スコラーズを除く27名のメンバーが4チームに分かれての競演でした。

 4チームの練習を見て回りましたが、どのチームも、合宿前から集まって練習。前日(合宿1日目)も夜遅くまで。この熱心さが、《EST》を支えます。スコラーズのメンバーが抜けているわけですから、なかなかまとめるのが難しいかな?と思いきや、どのチームも粘り強く練習し、本番にはいい演奏をしてくれました。ニューリーダーの出現、力を伸ばしてきたメンバー続出など、頼もしかったです。

 感動したのは、《EST》スコラーズが準備した賞品です。手作りの栗ケーキや、故郷の名産物など、メンバーへの愛情が感じられるものでした。司会進行もとてもユーモラスに進められ、私は、《EST》スコラーズが、技術面で核になっているだけではなく、メンバーへの愛・暖かさという点でも、《EST》をしっかり支えている!と思わずにいられませんでした。

合宿の締めは《EST》スコラーズの演奏で

 第10回コンサートの大きな特徴は、《EST》スコラーズのステージです。ルネサンスマドリガルを4曲、モテットを1曲演奏しますが、合宿の締めで、これらの曲を演奏してくれました。ユーモラスな即興も含め、大変楽しく仕上がっています。加藤さんのリードが光ります。みんな大喜びでした。各アンサンブルチームの目標にもなったことでしょう。コンサートでの演奏も楽しみです。

ヨーロッパカンタート参加決定

 合宿が終わるとその場で、全員臨時ミーティングです。議題は、バルセロナで行われるヨーロッパカンタートへの申し込みについてです。

 何ヶ月かを掛けて、話し合いを続けてきましたが、いよいよ、申込締切が近いということで、改めて全員の意思確認をしたのです。金銭面での補助、休暇を取りやすくするための方法、語学力向上法など、いろんな懸案事項を踏まえ、『何故、参加するのか』という根底を再確認しあいました。鈴木君(代表)の熱のこもった、しかも謙虚で落ち着いた司会進行が光ります。前向きな発言と、同意する頷き。結局、拍手で、来年度の大きな行事が承認されました。

 コンサート直前に、楽しい練習ができ、コンサート後の《EST》の進んでいく道筋も確認できた、最高に有意義な合宿でした。さあ、いよいよ、『10周年記念コンサート〜Best Of《EST》』(副題)へ向かってラストスパートです。




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2002.11.16

第10回コンサートは、テーマ通り『The Best of 《EST》』

 2002年11月10日、三重県文化会館での第10回コンサート『The Best of 《EST》』は、その名の通り、10年の営みの積み上げをBestな形でお聴かせできました。10年の間、理想を掲げ続け、新しい音楽を目指しつづけ、メンバーの入れ替わりを繰り返しながら、この日、33名のメンバーとともに、Bestな音楽を披露できたことは、大きな喜びです。

4人の先生方からのメッセージ 

 今回のコンサートがいかに特別なものか・・・という自覚は、以下の4人の先生方からの光栄なるご祝辞からも、生まれました。《EST》がお世話になった先生方からのお言葉です。プログラムの第1ページに掲げさせていただきました。

演奏会によせて

 

合唱指揮者 洲脇 光一

ヴォーカルアンサンブル《EST》創立10周年記念コンサート開催本当におめでとうございます。私が《EST》の演奏を初めて聞かせていただいたのは、1994年宝塚国際室内合唱コンクールの時でした。ジェズアルド、マレンチオ等の作品を演奏され、颯爽と登場されました。爾来毎年このコンクールに参加、着実に力を着け、レパートリーは現代曲へとその巾を広げ、2000年には見事、総合一位を受賞されるにいたりました。これは皆様が大きな目標を常に持ち、謙虚に努力を重ねられた結果であると思います。その後はドイツの国際コンクールにも参加、更に目標を大きく持たれ歩んでおられます。この常に前向きの姿勢が《EST》を輝かしていると思います。あのE.エリックソンによって確立され、世界の合唱団が目標としている、アカペラ合唱芸術を目標に、次への躍進をこの演奏会を第一歩として進んで頂きたいと願います。演奏会の成功を祈っております。

 

合唱指揮者 当間 修一

創立10周年おめでとう。《EST》に出会ったのは私が審査員を務めていた「宝塚国際室内合唱コンクール」でしたね。
 その時の演奏が印象深く、私のホームページ上で感想を書いたのを機会にお付き合いが始まりました。
 合唱団の技術に関する問題、運営に関する問題は年を重ねるごとに新たな課題を生み出していきます。〈発展〉とは自らの殻を破っていくことを意味するかもしれません。成長するためには脱皮もまた必要、ということでしょう。様々な個性が集まる合唱団。その個性を生かしつつ、その統合の結果としてのハーモニーをどう築き上げるか、それが合唱における困難さであり、楽しみです。合唱団固有のハーモニーを作る。これが活動を通じての醍醐味であり、また大きな喜びだと私は考えます。

 私の知り得る《EST》は目的に向かっての前進力に溢れた団という印象なんですね。これからも団固有のハーモニー作り、繊細かつ心のこもった音楽作りを期待したいと思います。益々の発展を!心からの応援メッセージです。

 

音楽評論家 日下部 吉彦

ヴォーカルアンサンブル《EST》は、例年の宝塚国際室内合唱コンクールの金賞常連団体ですが、今年の同コンクール入賞コンサート〈7月28日 宝塚べガホール〉は、感動的なシーンとなりました。
 総合1位(グランプリ)となったのは、イスラエルのモラン女声合唱団ですが、同2位の《EST》と、合同演奏しましょうと提案。モラン女声は、紛争が激化する地域の合唱団で、来日すら危ぶまれたのですが、それを克服して出場、見事、グランプリを獲得しました。その指揮者ファラン女子が、《EST》の演奏に感動、共通のレパートリーのコチャール《サルヴェ・レジーナ》を、いっしょに歌おうといい出したのです。
 肩を寄せ合っての演奏は、まさにすばらしいものでした。同コンクールでは、10数年前に、当時は不可能とされた中国(北東)と台湾(台北)の合唱団が、手を組んで演奏し、大きなニュースとなりましが、それ以来の感動的シーンでした。
 《EST》は、いまや日本を代表する合唱団で、そのハーモニーは、世界平和の音楽使節として迎えられています。悲しいニュースの多い昨今、《EST》の存在は、ますます大きくなりつつあります。今日のコンサートで、その時の《サルヴェ・レジーナ》が、再び聴けるのです。意義深いコンサートの成功を祈ります。

 

合唱指揮者 本山 秀毅

ご来場のみなさまは、コンクールや最近の演奏会で聴かれた洗練された《EST》のサウンドを期待されていることでしょう。もちろん彼らはそれに見事に応えてくれることと思います。実は私はこのグループの黎明期のトーンにもかかわっていたことがあります。
 今ほどの音の充実もなく未熟さも顔をのぞかせる練習でした。しかし音楽に対するメンバーのひたむきさ、真摯な情熱は当時からのものでした。何よりその頃からの向井さんの謙虚で向上心あるれる姿勢には今も教えられるものが大いにあります。今日の発展は決して運や偶然ではなく彼らの日々の歩みの結実なのです。
 10年は記念する年であるかもしれませんが、同時に単なる通過点です。プログラムを拝見すると気負いなく率直なメッセージを送ろうというスタンスがうかがえます。明るく気持ちを晴れやかにしてくれる音楽がホール一杯に鳴り響くことを願っています。


 10年の軌跡をしっかりと受け止めてくださっている先生方。私を、《EST》を育ててくださった先生方です。このお言葉に答えるぞ!!とメンバーそれぞれが決意した様子は、想像していただけることと思います。さらにさらに、洲脇先生が、ご来場いただけることにもなったのです。宝塚国際室内合唱コンクールの入賞団体記念コンサートで、いつもインタビューをしてくださった先生でもあり、みんなの気持ちは、そのときのように引き締まり、コンサート本番となったのです。

各ステージに特別な想いを込めて

 パレストリーナを歌いながら蝋燭(実はペンライトで作りました)を持って入場し、コンサートは幕開けとなりました。第1ステージの教会音楽は、東京カテドラルやドイツの教会で歌う姿や、今年7月のイスラエルの合唱団との思わぬアンコール合同演奏などの画像を、スクリーンに映し出しての演奏でした。ノンビブラートのすっきりとした響きに熱い祈りを加えての演奏に、指揮をしていて心から満足しました。特に、倍音が豊かになり、広い会場が例年より狭く感じられるような実感があり、今年の特徴である男声の充実した響きが、祈りの深さをかもし出していました。ロッティや、コチャールの大いなるドラマがステージいっぱいに存在しました。教会音楽は、《EST》のレパートリーとして、完全に定着した感がありました。

 続いて、《EST》スコラーズによるマドリガルステージ。お招きしたギターの橋本氏の“グリーンスリーブズ”に始まり、ラッソ、モーリー、トムキンズの作品を歌いました。繊細かつユーモラスにルネサンスの世俗の世界を描いてくれました。少人数ですがやはり倍音が豊かに鳴り響きます。《EST》スコラーズは、アンサンブルの核をなすメンバー達です。その誇りが感じられる頼もしいものでした。

 第3ステージは、近現代の調べを3曲。歌詞をスクリーンに映し出してのステージでした。過去の思い出のステージからのリニューアルでしたが、シンプルな響きで誠意あふれる演奏でした。ただ、発音面でのアプローチの問題が残ったように思います。

 第4ステージは、木下牧子アカペラ・サウンド・コレクション。2曲の披露のあと、2年半前に急逝したメンバーのお話をさせていただきました。

 『さて、音楽に心があること。歌う私たちの生きる姿勢が、お客様方とのコミュニケーションとして誇れるものであること。この願いが、今の《EST》の音楽を支えております。歌い続けることと生きることとを結びつけて音楽できるようになったのには、あるきっかけがありました。それは、《EST》の団員であった、服部一成君、カズーの突然の事故死でした。カズーは、三重大学合唱団の指揮者もつとめ、前途有望な若者でした。2000年6月末の出来事です。「カズーは、私たちの歌をいつも上のほうから聴いていてくれる。」これがその後の私達の合言葉でした。カズーが逝ってしまった後の初めての練習で、私たちは、カズーのことを思って、木下作品“夢見たものは”を歌いました。あの時から、私たちの演奏は変わりました。私たちの生きるメッセージが、音楽に強く込められるようになりました。「カズーは、私たちの歌をいつも上のほうから聴いていてくれる。」カズーの大好きだった木下作品もう3曲演奏します。』


 そして、カズーの写真をスライドに写し、「夢見たものは」「ロマンチストの豚」「鴎」を。「夢見たものは」は、涙をいっぱい溜めての演奏でした。私もこぼれる涙をこらえながらの指揮。客席からも涙するお客様の姿が感じられ、特別な空気に包まれました。ステージ最後、振り向く前に、とても大きな拍手が来たのが印象的でした。カズーも、上のほうで笑顔を見せてくれてるような気がして、私は拍手を受けながら天井を仰いでいました。

 ここで、洲脇先生をステージにお招きしてのインタビュー。ありがたいお言葉をいただきました。「最後に、宝塚のように私たちを紹介していただけませんか?」と申し上げると、「そんな話、聞いてないですが・・・」と言われながらも、宝塚の再現のように曲目の紹介をしていただきました。本当にありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 第5ステージは、マルタンの“シェークスピアの「嵐」の妖精の5つの歌”。難曲でしたが、さわやかに歌い上げることができました。やはり、ハーモニーがよく決まってくれました。今回のコンサートの特徴ですね。安定感に繋がる大きな要素です。軽い振り付けを加え、楽しい演奏になりました。毎日世界のどこかで、シェークスピアが演じられていると言われます。しかも、舞台装置などはどんどん奇抜になっているようです。そんなシェークスピアの魅力を歌で演じることができた実感があります。思い切りよくハーモニーを決めることができ、満足しています。

 アンコールは、グアムのネイティブ・タングの方々とのジョイントコンサート(2000年7月)でいただいたオリジナル楽譜で「ふるさと」。日本の名歌が、南国グアム風にアレンジされ、《EST》の個性がさらにアレンジを加えます。アカペラコーラス風にささやくように歌い上げました。新しいサウンドを心地よく聴いていただけたのでは。

 2曲目は、ドイツで一番喜んでいただいた「赤とんぼ」をしっとりと再演。途中の休符のフェルマータを長く取ったためか、そこで拍手をされた方がお見えになったのが印象的でした。そして、アンコールのラストは、フィリピンの曲「パムグン(雀)」。歌って踊ってユーモラスに。最後までエネルギーは衰えませんでした。会場は笑顔で包まれて終演を迎えました。あっという間の2時間10分でした。

 各ステージに特別な想いを込め、10年の営みを携えての私の指揮でした。33人のメンバーのうち、女性2人、男性7人が、定期コンサート初登場でした。にも関わらず、過去のコンサートにはなかった、響きの安定と精緻なハーモニーを実現することができました。《EST》の音楽の個性をこれほどはっきりと出せたことに、私は、大きな喜びと、メンバーの努力への感謝の気持ちでいっぱいです。

「録音を早く聴きたい」

 コンサートから5日経ちました。うれしいコメントがたくさん。特に、宇治山田高校の生徒たちが感動してくれたのはうれしかったですね。疲れがスーっと昇華されていくようです。

 「録音を早く聴きたい!」というのが、今の私の正直な気持ちです。というのは、録音を聴いたメンバーから、次のようなコメントを目にしたからです。おなじみ、初コンサートメンバーで、《EST》スコラーズのメンバーのH君。彼はコンサート前、持ち前の穏やかな笑顔を失うくらい緊張していました。心配になるくらい。ですから、彼のコメントに出ている喜びは、私をホッとさせました。下記のコメントです。

演奏会おわりましたね。 投稿者:凄腕Daddy 投稿日:2002/11/13(Wed) 23:37 No.215  
bear.gif  正直、終わった直後は疲れ果ててしまって、あまり喜びは湧かなかったのです。この1年間自分の力不足から迷惑をかけまくってしまって、特にスコラーズとテナーの皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
 でも、翌日に録音を聴き始めてから、素晴らしい演奏会をみんなと一緒に作ったんだと実感することができるようになりました。何だか妙にうれしくって、2日間で5回くらい(向井先生のトークも含めて)聴いてしまいました。何回聴いてもまた聴きたくなるなんて驚きです。CDを作って売りたいくらい。残念なのは、カメラのシャッター音が気になるのと、携帯のベルと、赤とんぼの途中で拍手が来ちゃったこと。
 全体を聴いて、僕が一番いいなあと思ったのは、第1ステージでした。どの曲も素晴らしいのですが、特にCrucifixusは圧巻でした。1ページ目、キリストが十字架を背負ってゴルゴダの丘へ向かっていく様を描いているように感じました。それも天からの声に導かれて最後に向かっていくのです。その後も天の声は聞こえ続けました。いや、マリアの悲しみ、あるいは民衆の叫びなのかもしれません。
 それから、感動したのは「夢みたものは」でした。歌っているときはみんなの声が他の曲より小さくなったように聞こえて、どうしたんだろうと、舞台の一番前にいて不安でした。音程もおかしいな?と思ったとこもあったり。みんな泣いていたんですね。みんなと同じ気持ちになれなかったことを後で寂しく思いました。でも録音を聴いて、とても感動して涙が出ました。この曲は木下牧子さんが友人の結婚式のために作った曲だという先入観が吹き飛ばされました。ESTにとってはこの曲はレクイエムなんですね。早逝した立原道造とKAZU君の姿が重なり、詩がすっと心に入ってきて涙がこぼれました。
 ここに書かなかった曲もどれもホントに素敵で、聴衆としてあの場にいたかったかも、と思ってみたりもしましたわ。

 さて、いいことばかり書いても自画自賛になってしまうので、課題も書こうと思います。
 全体としては、ダイナミクスの差がもっとあってもいいのではないか、と思います。赤とんぼであれだけのppができるのですから、他の曲でももっとできたように思います。みんながきちんと申し合わせを守ればもっとよかったのに、と思う部分がありました。
 次に、男声の発声のことです。特にfになると響きがなくなるように感じます。僕は、合唱って全体で一つの芸術だと思うんです(当たり前か)。各パートが自分の旋律を正しい音で歌ってもそれだけではいい合唱にならない、それはのど自慢や大声自慢になりかねないということ。ベースがしっかり根を張って、テナーやアルトがそこから栄養をソプラノまで届けて、ソプラノが花を咲かせて実を結ぶ(ポリフォニーとかでは違うかも)。パート間をつなぐのに必要なのが倍音をたくさん含んだ発声なんだろうなと思います。楽譜に書いてある音だけじゃなくて他にも音が出ていたらそれだけで音の厚みが増すように感じませんか?テナーはまだまだ響きに天井のある声が多いみたい。もっと突き抜けたいね。やっぱりもっとファルセットを混ぜないといけない。4月に当間先生が来られたときにおっしゃってましたが、こんなんでは歌ってる気がしないという声の方が美しいし、実は遠くによく飛んでいくということにみんな気付いてほしいです。喉は楽で、体はつらい、そんな発声がいいみたい。とりあえず全国大会までに、マルタン3番のEach one tripping on his toeの部分、セカンドとトップの違いがあまりないようにしたいですね。

長くなっちゃった。

 
動きつづけること 

 今回のコンサートが終わり、メンバーたちはそれぞれにホッと息をつき、いろいろな想いにふけっている事と思います。特に、若い新人の達成感ある喜びは、想像以上の大きな力となってこれからの活動を支えてくれることでしょう。逆に、仕事や家庭生活に忙しくなっていくベテランメンバーの悩みも、想像に余りあるでしょう。コンサートは、メンバーの人生にとって節目です。ほとんどのメンバーが喜びの通過点ですが、ゴールと捉えて身を引いてしまおうと考えるメンバーも出てくるかもしれません。各々の横顔に様々なサインを感じつつ、私もこれからを考えます。

 「動きつづけること」。これしかないと思います。私と共に音楽の道をさらに楽しんでくれるメンバー達と。そして、このコンサートをきっかけに仲間になってくれる、まだ見ぬ未来のメンバー達と。
音の芸術は、一瞬一瞬のもの。過去を携え、未来に理想を託す営みなのですから。

 『常に新しく、常に始まりでありたい!』

 音楽におけるこの願いは、来週の全日本合唱コンクール(滋賀)、来月の日中友好30周年記念ジョイントコンサート(北京)、次年度のヨーロッパカンタート(バルセロナ)へと繋がっていきます。
メンバーの入れ替わりや、成長のための脱皮を繰り返しながらも、「生きる姿勢」が、聴衆の方々との「良いコミュニケーション」として誇れるものであり続けられるよう、動きつづけたいと思います。《EST》の“これから”に、ご注目下さい。

レセプションの画像




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2002.11.30

琵琶湖に届く歓声〜第55回全日本合唱コンクール全国大会で金賞・特別賞(2位)

 2002年11月23日、Vocal Ensemble 《EST》は、第55回全日本合唱コンクール全国大会において、一般A部門金賞・滋賀県知事賞(2位)を受賞し、来年度の第56回全日本合唱コンクール全国大会へのシード権を頂くことができました。

すばらしい景観

 この日は、快晴で暖かな行楽日和。そのせいか、高速道路が朝から渋滞です。それでも、10時過ぎに会場入りし、大学の演奏をいくつか聴くことができました。滋賀県芸術劇場びわ湖ホールは、すばらしい景観でした。ガラス張りの向こうに見えるのは琵琶湖と山並みのゆたかな自然。一歩外に出てほとりの水際を歩いてみると、現実を忘れてしまうようなおおらかな気持ちになれます。湖や山々とぴったり調和するこのホールで全国大会が行われることに、演奏者の一人としてとてもうれしい気持ちでした。

本番の演奏は「楽しかったー!」 

 2週間まえにコンサートを終えたばかりの《EST》。コンサート後のお客さんの高揚した雰囲気がとてもうれしかったこともあり、この日も、「聴衆の心と一体になるような空間を目指そう!」と誓い合ってステージへ出ました。コンサートのような楽しい時空を求めたのです。

 課題曲のパレストリーナは、広いホールを豊かな倍音で満たしていくものでした。そこにたっぷりと精神性を注ぎ、一つ一つのフレーズの線を丁寧に描いていこうとする意思のはっきりしたものでした。自由曲は、一転して、シェークスピアとフィリピン民衆の世界を楽しく描きました。振り付けと歌が一体となり、ステージ上は華やかです。最後は、大きな長い拍手に包まれて笑顔での退場となりました。

 ステージ袖で、退場してくる各メンバーと握手をしました。みんな口々に声を弾ませ、「楽しかったー」と。「演奏の途中からお客さんがどんどん和んでくるのがわかった。コンクールを忘れてしまうような楽しさで歌えた!」と。

 メンバーの感想として、翌日に団内掲示板に書かれたものからひとつ紹介します。


コンクールって、選曲がすごく大事だなあと思いました。
聴衆を引きつける魅力のある曲でないといくら上手くてもいい点はつかないかも知れませんね。
全国に出てくるような団体はみんなそんなこと分かってるんでしょうけど、パムグンは聴衆に楽しんでいただくには抜群の曲でしたね。今年のESTの評価が、パムグンという曲に対するものでないことを祈ってます。パフォーマンス系合唱団と思われるのはちょっと嫌な感じなので、来年の全国大会が正念場ですね。ESTのパフォーマンスを期待していたお客さんが感動で涙してしまうような、期待を裏切る演奏をしたいです。

ところで今まで、合唱連盟のコンクールにはあまりいいイメージを持っていなかったのですが、
今回ガラッと変わりました。あの大きなホールが全国の合唱ファンでいっぱいなんですもの。
そんなお客さんの前で演奏できる機会なんて日本では他に考えられませんよね。
しかも、あの割れんばかりの拍手。鳥肌立ちそうでした。全国大会に出るのはそれだけですごい価値のあることだと思いました。


「金賞」コールに客席が沸いた!

 長い長い審査のあと、審査発表に入ったのは、夜の7時半を過ぎたころだったと思います。それまでの時間、大学生たちが次々と客席で歌います。また、審査員のスント氏の即席の合唱講座も楽しかったですね。すかさず、2005年に京都で開催される世界合唱シンポジウムのコマーシャルも。

 そして、審査発表です。「ゴールド!」と発表されたとき、固まって座っていた《EST》のメンバーたちは、全身で喜びを表現しました。客席が揺れるくらい。私も、たくさんのメンバーと握手をしました。「シード団体!三重県代表・・・・・」このときもさらにヒートアップ。これで、来年度の全国大会に無審査で進める事になったのですから、うれしさもひとしおです。

 私が、金賞受賞指揮者として壇上に進もうとすると、横から、辻正行先生が握手の手を差し伸べてくださいました。すっかり痩せられた先生の手でした。私が15年以上前に、先生の下でお家にも泊めていただきながら勉強させていただいた記憶がよみがえり、涙が出そうになった一瞬でした。

 壇上では、私の左に松下耕先生、右に高嶋昌二先生。表彰式の間中、楽しい話に花が咲きました。ひんしゅく・・・・。そして、表彰は、《EST》の若いメンバーと3人で受けることに。賞状・盾・メダルを会場のメンバーたちに向かって高々と上げると、みんな拍手でそれに答えてくれました。

「楽譜やが尋ねるのも変なのですが・・・」

 ロビーで、パナムジカの方に呼び止められました。いつもお世話になっている楽譜店です。「パムグンの楽譜の出版元を教えていただけませんか。こんなこと楽譜屋のほうから聞くのも変なのですが・・・」。そりゃそうです。逆ですね。「実は、ドイツでごいっしょしたフィリピンの方々から譲り受けたのです。」といいつつ、楽譜を差し出すと、何やらメモして見えました。「《EST》の演奏のあと、注文が殺到しているんです。」と言われました。これには「へーっ!」と思いました。熱心な合唱愛好家の方々にも感心しましたが、われわれの演奏によって、そんな一コマが作られたんだと思うとうれしかったです。


聴いていただいた方々のご感想


 いろいろな方々から、直後にもご感想をいただきましたし、メールや掲示板にもいただきました。印象に残ったのをここに留めておきましょう。

まずは、
作曲家、長谷部雅彦氏のHPから。

●すごい!一般A
 最終的には一般Aの部だけが演奏の完成度の高さという点で圧倒的に他の部門を凌駕していたと思います。
そして、その中にはやはりトレンドリーダーとも言うべき団体がいくつか存在しているのです。松下氏率いるVOX GAUDIOSA, Brilliant Harmony は関東大会でも聴きましたが、やはりその実力の高さは圧倒的。それから向井氏率いるESTも、今年は宝塚で一度拝聴させて頂いていますが、今回はAグループMAXの32人で登場。あの聴いているだけで楽しくなる「すずめ」もう一度楽しませてもらいました。
 同じく、宝塚で名前が目立っていた奈良のクールシェンヌも気持ちよい作品・演奏を聴かせてくれました。
賛否両論はあるかと思いますが、あるレベルをクリアしてしまった合唱団が、ステージとして人を楽しませるエンターテインメント性を持ち出すようになるのは悪いことではないと思います(度を越さなければ)。確かに、コンクールという場ではあるのですが、演奏することの根底には常に観客に対して何かを伝えようとする意思が必要です。


 続いて、私に届いたメールより。

 去年の宝塚とは声が全く変わっていることに驚きました。これがヴォーチェ・ディ・フィンテという発声なんだ・・・と思いました。初めて実際に聴きましたが、とてもきれいな発声方法ですね。
 エアリエルは本を読んだ時の感動を思いだして感激しました。
「テンペスト」を支えるのはシェークスピアの人生へのまなざしだと思うのです。人間の人生ははかなく幻のようなもの。最後はエアリエルまで大気の中に飛び去ってしまいます。エアリエル小僧が活躍すればするほどかわいくて、別れが切ないのですが、目には見えなくても風の中にたのしくたのしくくらしている・・・もしかしたら人間もそうなのかも。。。プロスペローの寛大な許しも、シェークスピア自身を思わせる幕引きのエピローグもこの人生のまなざしの上に成り立っているように思いました。そして、マルタンは見逃さず音楽に掬っているように感じました。
 《EST》のみなさんは、この戯曲のすばらしさを理解されていますよね。3番の出だしは本当にすばらしかったです。5番も「今通った風の中にエアリエルがいたんだな」って思いました。コンサートで全曲聴けなかったのが本当に残念!当日は合唱をしたことがない妹と聴いておりましたが、3番の出だしが一人の声に聴こえてびっくりした、一番感動した演奏だった、と申しておりました。

 次は、掲示板より。

 会場の様子はというと、演奏前と演奏後でばっちり評価が変わったみたいでしたよ。コンクール常連の団体が出てくると、指揮者の姿が見えたとたんに拍手がば〜〜っと鳴るんですが、その点は始め控えめでしたが、演奏後の拍手たるや・・・
他団体と全く違いました。
 普通、指揮者が退場する頃合いで拍手が鳴り止むのですが、ESTの場合は、全ての団員が退場するまで、拍手が続いていました。舞台上で気がつきましたでしょうか?会場の雰囲気が一変したのは間違いありません。名演でごじゃりました。

 そして、こういうご意見も。

 本当に、うらやましく思いました。あんなパフォーマンスをしながら、ちゃんとしたサウンドを聴かせるのは、我々には到底無理です。難しそうな曲にもかかわらず、わかりやすくて魅力的な演奏でした。ただ個人的にはパフォーマンスが大きくなるのはあまり好きでは無いので、何か去年ほど素直に聴けなかったような気がします。曲を知らない人にとってわかりやすくなるのはとてもいいことなのですが。


コンクール考

 コンクールの功罪や、将来像が語られて久しいですが、やはり、全国の合唱ファンの前で演奏でき、喜んでいただけるというのは、とてもうれしいことです。それがきっかけで、活動の場が広がり、質の深さも増すとなれば、何とか肯定的に捕らえたいものです。

 考えたいのは、現状のコンクールという型の中での議論ではなく、音楽する場としての広いそして時代の先を読んだ議論でしょう。“音楽樹”が何年か前に催した、模擬国際コンクールは、大変興味深いものでした。また、何よりもドイツで経験したあの楽しさ! あの時に、日本から参加されたアンサンブル・プレイヤードの仁階堂氏(今回は、松下先生指揮するVox Gaudiosaで歌って見えました。)と、「日本のコンクールも、聴衆も、こういう風に変わっていきたいもんだね。」としみじみと語ったことを思い出します。

 まず、我々の演奏が変わること。そして、それが聴衆と新鮮な感覚で手を繋ぎ合えるものであること。それには、聴衆の耳も新しい潮流を吸収しようとする柔軟性を持ちうること。いろいろ考えは止まりませんが、今回の大きな拍手と、金賞に選んでくださった審査員のかたがたに感謝し、励みにしつつ、さらに、『新しい音楽表現のあり方』を考え、実践していきたいと思います。

画像集 




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2002.12.31

2002年の締めは忘年会にスキー旅行


 充実した活動ができた2002年でしたが、来年も今年以上に活発なステージ活動ができそうです。
依頼ステージがたくさん。活動のバランスを確保するために、地元での3月の『津市民音楽祭』をご辞退しなければならないほどのうれしい現象です。

 そんな中、今年は、忘年会もスキー旅行も盛り上がりました。

 忘年会は、企画担当のD井氏とK尻さんによる、『《EST》の十大ニュース2002』コーナーが光りましたね。○○氏の衣装忘れ事件に始まり、団員のお子様誕生話や、二日酔いネタなども含め、《EST》の今年の歩みを大きな紙で発表していく企画。それぞれの張本人(笑)が目を隠しながら言い訳をさせられるのですが、どのニュースも懐かしいもので、みんな大笑い。楽しい1年を振り返ることができました。同時に、新たな団員には《EST》の本当の姿が暴かれ、これまた仲良くなれました。(ちなみにこの1ヶ月で5人の新入団員を迎えています。)第2位が『全国大会金賞!』。「ん?」「じゃあ第1位は?」「これ以上のニュースがあるの?」みんなは口々に言いながら、T氏とIさんをひやかします。そして第1位!『T氏とIさん電撃の結婚発表!!』「わーー!」「おめでとう!」会場は最高の盛り上がりです。《EST》を支えるお二人の結婚発表に。この後、忘年会がどうなっていったかはご想像にお任せします。(ご想像どおりです。)

 さて、スキー旅行は、元団員のY氏の多大なる貢献が光りました。彼の計らいで特別にバスをチャーターし、徹夜の運転までしていただき、さらに、彼の行きつけの民宿を3日間、借り切っていただいたのですから。おかげで、夜の11時に出発してから3日後の夜8時の解散まで、笑い一色の楽しい旅行でした。参加メンバーも20人と今までで一番多く、私の次女(高校生)、D井氏のお子様(小学生)を含み、大学生メンバーもほとんど参加するという、ヤング中心。音楽活動でお互いの気配りの精神もできているので、心打ち解けあうすばらしい3日間となりました。

 行き先は、野沢。長野県北部の新潟に近い所ですね。スキー場もすばらしかったですが、温泉もまた格別でした。3日間で5箇所の温泉に行きました。町のいたるところにある小さな建物。戸を開けるとそこはすぐ脱衣場と湯船。無料でいつでも入れるのです。しかも、それぞれが温泉の成分、色、においまで違うんです。行きはぶるぶる震えながら行きましたが、体の芯からあったまり、帰りは薄着です。感動の温泉旅行でした。

 肝心のスキーは、1日目は晴天。すばらしい景観でした。2日目は一転して、2月のような雪。吹雪いています。私はファンスキーでおしゃれ(?)に。若い連中は、ボードで果敢に上級コースのこぶに挑んでいました。私がよく言う“アグレッシブに”を合言葉に。

 夜を徹してのトランプ。トランプでこんなに盛り上がったのも久々でした。20人近くで2つのトランプ計108枚を用いての“大富豪大貧民”。貸切の民宿は深夜まで笑いが絶えず、持ってきたお酒類もがんがん減っていきました。

 合唱団での、合唱抜きの企画って楽しいですね。笑って遊んで仲良くなって、またそれが音楽に生かされてくるんでしょう。歌うことは自分をさらけ出すこと。お互い、相手のさらけ出した姿を尊重し合えること。そんなアンサンブルの営みを続けて、より豊かな生き方が出来るようになっているメンバーたち。その生き方が、こういった楽しい企画でも生かされているのでしょう。心豊かな仲間たちとの楽しいやさしい幸せなひと時でした。

 さあ、来年は?


2002年忘年会 in金鍋
2002年スキーツアー in野沢温泉



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2003.1.16

合唱季刊誌『ハーモニー』に見る《EST》

 2003年1月発行の『ハーモニー』第123号に、全国大会の様子が特集されました。また、毎回の〔演奏会評〕に、《EST》の第10回コンサートの批評が掲載されました。

全国大会の審査員座談会

 このコーナーでは、合唱指揮者の有村先生と本山先生が一般A部門を担当されていました。《EST》の演奏について、まず、有村先生。

 各声部がクリアで、フレーズの作り方もバランスも良かった。ポリフォニーの歌い方として非常にいいものを持っていると思います。自由曲は英語の発音が気になりました。最後のフィリピンの曲はおもしろいですね。パフォーマンスも見ていて楽しめました。

 続いて、本山先生。

 声作りに統一感があったと思います。響きの多い声で、ホールがよく鳴っていました。パレストリーナの解釈も、いい方向性で、丁寧な表情づけ。自由曲はシェークスピアの曲にパフォーマンスをつけることで、これは劇の中の場面だった、と認識させてくれたのが非常に新鮮でしたね。よく曲の本質に根ざしたことを考えたなと。是非論はあるでしょうが、ぼくはよかったと思います。コンクールを楽しむという要素が少ないとすれば、このグループにはパフォーマンス賞をあげてもいいですね。最後の曲は動いたことで和音が少し上ずったけど、舞台を一番広く使っていたのはこのグループです。

 御二方とも、《EST》の努力や工夫をよく感じていただけたなあ・・・とうれしい気持ちです。特に、本山先生に、新しい発声の方向性を評価していただいたのが。さらに、パフォーマンスの目的まで汲み取っていただいた本山先生に、感謝したいと思います。

演奏会評のコーナーに

 ここには、毎回2つか3つのコンサートの批評が載ります。今回、洲脇先生が、《EST》の創立10周年記念第10回コンサートにお越し頂き、評論していただいたのでした。全文を掲げます。

 ヴォーカルアンサンブル《EST》は、今まさに順風満帆の中で10周年を迎えている。演奏会を聴いていても、隙がない。
 The Best of 《EST》のてーまのとおり、これまでのレパートリーのベスト曲をルネサンスから現代まで並べ、@聖堂の響き、A楽しい世俗曲、B近現代ヨーロッパの調べ、C木下牧子ア・カペラ・サウンド・コレクション、Dマルタンのシェークスピア「嵐」より妖精エアリエルの5つの歌、の5ステージ構成。演奏は全員の混声ばかりでなく、Accord《EST》(女声)、《EST》 Men's Chor(男声)、そして今回新しく編成された《EST》Scholars(数名のアンサンブルグループ)の曲目が入ることで変化がある。
 両ステージ袖のスクリーンには訳詞が演奏と同時に映し出される。曲間に指揮者が解説して10年間の思い出の写真を見せ、聴衆をひきつける。
 それにしても総勢33名中アルトが5名と極端に少なくアンバランスな編成であるが、それを感じさせない豊かな響きで全ステージを聴かせた。
 よかったのは5ステージのマルタン。一人一人の技量が要求される作品だが、音程、リズムが正確。その上、男声とくにバス声部の充実で終始安定した響きの中、シェークスピアのウィットを歌い上げた。欲を言えば、邦人作品で日本語の発語と響きが気になったことが今後の課題であろうか。
 この11月のコンクールシーズンに記念リサイタルを設定することは常道ではないが、《EST》は今やそれを乗り越える自力を持った合唱団であり、今後の発展を証する、心に残る演奏会であった。

 大変ありがたいお言葉でした。しかも、身の引き締まる気持ちになりますね。「今後の発展を証する・・・・」と書かれたように、今年もがんばりたいと思います。

 合唱団は人の集まりです。人が、時間により成長・変化していく限り、“昨年と同様に”は成り立ちません。新メンバー、新体制で、しかも、私の音楽性も進歩していなくては。すべてを新たに、始まりとして、謙虚に活動していきたいと思います。

P.S.《EST》の演奏写真が、『ハーモニー』の2ページ(カラー)、28ページ、48ページに載り、一同大喜びでした。





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2003.2.4

車の両輪としての合唱“団”作り

 「2003年度の《EST》を作ろう!」を合言葉に、3月の総会に向けて、いろいろな営みが行われています。
まず、ヴィジョン作り。現在、初心者を含む8名の新入団員をお迎えし、新たな雰囲気で練習を行っています。いつも、コンサート後に、メンバーの出入りが多いのですが、今回は、最高に多い人数です。こういうときこそ、《EST》の原点を語り、将来像を浮き彫りにし、そこに向かう志を同じくすることで、新たな構成メンバーで息を合わせていきたいものです。

 次に、ヴィジョンに沿って、組織を作り、行事を決め、練習計画を立てます。大切なことは、全員ミーティングです。すべてを全員で決めていくのです。そして、意見はすべて文章化し、確実に残していきます。したがって、毎回の練習時の配布物が多いのも《EST》の特徴だと思います。

 1〜3月まで考えたことが、3月の総会の場で承認され、その後1年間の活動に向かって《EST》は、動き出します。新たなたくさんの団員とともに、志ひとつにして。

 『合唱作り』と『合唱団作り』は、車の両輪だと思います。特に、息を合わせ、気持ちを合わせ、その充実した積み重ねを目指していく室内合唱においては、細やかな運営と血の通ったたくさんの心掛けが必要です。高い音楽的な志を持ち合えるような、すばらしい仲間つくり。

 1年単位で見たときに、それぞれのメンバーの、声の伸びや音楽的な成長、活動意欲の現れなどには、顕著なものを感じます。同時に、生活環境の変化などで、一歩引かざるを得ないメンバーも出てきます。一人一人を大切に考えながらの合唱団作りです。昨年と同じという発想ではなく、今のメンバーをしっかり把握した上での新たな合唱団作りが大切です。

 さて、どんな《EST》が生まれていくでしょうか。今一生懸命取り組んでいることがOKか否かは、4月からの活動が証明していきます。しかし、毎回の練習のみんなの生き生きした姿は、私自身の、理想に向かうエネルギー源になっていることは確か。この姿がある限り、これからもいい活動ができそうです。




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2003.2.13
楽しいのがいい!〜第14回三重県合唱アンサンブルコンテスト&フェスティバル



 2003年2月11日に催された
第14回三重県アンサンブルコンテスト一般の部にて、《EST》は3グループが出場し、金賞(2位)、金賞(3位)および銀賞を受賞しました。審査員は、雨森文也先生、伊東恵司先生、小林史子先生でした。

  最後に雨森先生と偶然出口でお会いでき、お話をさせていただきました。「向井さんがあんなに面白い人だとは思わなかったよ。"やちまた男声"と"《EST》スコラーズ+α"とが同点で並んじゃってね、最優秀をどっちにしようかと相談したときに伊東さんが、じゃあ"やちまた"の方の評価を上げるよ、僕・・・と言われて決まっちゃったの。もう、あのやちまたの踊りに大笑いしちゃって!」 そう言っていそいそと去っていかれたのでした。

 "《EST》スコラーズ+α"は、ビクトリアのモテットと信長氏の『村の鍛冶屋』をシリアスとユーモラスの両面から、大変器用にまとめていました。特に『村の鍛冶屋』では、音が空間を飛んでいく姿を軽い振りを付けながら、音楽構造を視覚的に表現していて、面白かったです。ただ、やちまた男声の、私を含むおじさん集団がなりふり構わず踊る姿に、会場も審査員も受けてしまったんですね。馬鹿受け最優秀といったところでしょう。でも、こういうことって大切ですよね。ある意味、ショーとしての時空をみんながどこかで期待しているのだと思います。勿論、基本的な技術がきちんとした上でのことですが、あまり難しい曲を難しそうに歌ってはつまらないですよね。

 《EST》メンズクワイヤは、3つ出た金賞の3つ目をゲット。雰囲気よく、丁寧に練習した成果といえましょう。ブストのモテットと、木下さんの『ロマンティストの豚』。本番ならではのN呂氏の演技が笑いを呼んでいました。やはり、宗教的喜びと庶民性の両面で、客席の雰囲気もガラリと変わってよかったと思います。言葉の伝え方に工夫を加え、響きの統一ももっとしていきたいです。ただ、核であるスコラーズのメンバーが抜けても、音楽的な次のリーダーがたくさん出てきそうな男声陣。これからも期待できそうです。

 アコール《EST》は、ブストのモテット1曲でステージに上がりました。出番が1番目だったこともあって、少々緊張気味でした。宗教的な美しさが丁寧に描かれてはいましたが、その世界がステージの中だけで終わってしまい、聴衆が感じるところまで行ってなかったような気がします。核であるスコラーズメンバーが抜けたときに真面目になっちゃうんですよね。(スコラーズが不真面目というわけではありません!!) ただ、洗練された音色は持ち合わせていますから、これからの課題は音楽に、そして聴衆に体ごとぶつかって行く事でしょう。これは私の役目でもあります。

 客席から、メンバーを見ることのできる少ない機会でした。どんなときに聴衆の心を掴むかということもよく感じられました。結論は、『楽しいのがいい!!』。パフォーマンスなんですよね。歌いがいのある、そして、イベントの場にふさわしい選曲や演奏も心掛けていきたいですね。



 ◆審査結果はこちら





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2003.2.25
本当の音楽が生まれるとき〜メンバー同士の結婚式を終えて



 それは結婚披露宴でのひととき。《EST》のほとんど全員が祝福の演奏に駆けつけました。新郎は、常さんこと常住信教氏、新婦は、みっちゃんこと常住(旧姓稲垣)光子さん。共に、《EST》を支えるメンバーです。お二人に笑顔で声を掛けながら、会場に大きく広がってスタンバイする《EST》のメンバーたち。その真中にお二人が進み出て、いよいよ演奏開始です。

 アベ・マリア(ブスト)の何と柔らかな音色!何と溢れる響き! 私は前で指揮をしていて感動に包まれました。目の前には、お二人が涙を浮かべていっしょに歌う姿が。そして、列席されている方々が、息を呑むように集中して下さっているのも伝わってきます。

 続いて、鴎(木下)の演奏では、一つ一つの言葉が意思を持った生き物のように次々と空間に舞い、力強いメッセージで会場を満たしました。「おめでとう!!」の気持ちを演奏に載せて、一期一会の名演になりました。ふと常さんを見ると大粒の涙。本当に感動のひとときでした。

 お二人の喜びはもちろん、《EST》のみんなにとっても大きな喜びでした。言葉では言えない位のお二人への祝福の気持ちを、音楽に載せて伝えることのできた喜び。しかも、培ってきた技術を発揮しての名演を生み出すことができのですから。

 「本当の音楽」とは、こういう時に生まれるのですね。伝えたい気持ちが体の中から溢れてくるんです。カズーを思っての時もそうでしたし、過去の結婚式のときもそうだったでしょうが、最近の《EST》は、そんな機会に名演を生み出す力を備えてきたように思います。これは技術だけでは成し得ないものです。普段の純粋な営みと、仲間を愛する精神、人の喜びや悲しみを自分のことのように感じ取る繊細さ、などなどのバランスが整うことが必要なのでしょう。

 アンコンの審査をされたある先生が《EST》に向けて以下のようなメールを下さいました。

「《EST》は現在日本で一番上手く言っている合唱団ではなかろうかと思っています。非常にシステマティックに上手になっていってるように思います。つまり団のあり方や活動の方向性が非常に論理的で無駄がないのです。三重という土地の側面が、合唱団の全員をピュアに一定の方向に向かわせているようにも思います。しかも、インターネット時代、敢えて外から技術的に最先端のものを取り入れていることや、適宜的確なアドバイスを受けられる謙虚さが、ESTの音楽をさらに向上させています。文化としての合唱を見た場合、関西や東京の状況とは少し違う、“ピュア”“真摯”なものを感じました。」

 照れくさかったですが、客観的な視点で《EST》を見ていくための大変ありがたいお言葉でした。披露宴での名演も、こういった背景から生まれたのかもしれません。

 常さんからは、あの合唱について、「いままで合唱を続けてきて、何度かあのような場所で他の方を祝福する歌を歌わせていただきましたが、自分が歌っていただく身になるまで、あれほど感激するものだとはちょっと思ってもみませんでした。皆さんの暖かい気持ちに包まれて、声も途切れがちで、半分も歌えていたかなあ?」と。

 《EST》の掲示板に届いた“奥様みっちゃん”と、メンバーのさおりんからのメッセージの一部を記念にここに掲げておきたいと思います。

Re: いい披露宴、いい演奏でした。 あなたのみっちゃま - 2003/02/24(Mon) 17:43:41 No.2120 
ありがとうごさいました。本当に感動の連続でした。沢山の方々に雨の中 パラデュー夢まで来ていただいて感謝感激あらどうしましょう〜って感じでした。。。○もぞーまでいたのでちょっとびっくり 資○さんのケーキにも、キャンディーズを知らない世代が歌った♪「年下の男の子」にも、パパーズがアンサンブルしてくれた♪「君いつ」にも、桐○ママの歌♪にも大感激でした。本当にありがとうございます。
昨日は、挨拶回りと後かたづけでてんてこ舞いして練習にいけずにもうしわけありませんでした。
今後とも相変わらずご贔屓に〜 つね&みつ

私達の粗宴に際し、いろんな方の優しさ思いやりを痛感しました。。。ありがとう!という言葉以外思いつかない今日この頃です。。。

Re: いい披露宴、いい演奏でした。 さおりん - 2003/02/24(Mon) 21:41:35 No.2121 
つね様&みつ様、先日はありがとうございました、そしてお疲れさまでした。素敵な披露宴と楽しい2次会でとても幸せな嬉しい1日でした。
合唱のすばらしさもなんだか改めて実感した感じで、自分自身これから
も合唱を大切にしていきたいなと、そんな気持ちにもなりました。
うまく言えませんが、ESTで自分が歌うということと、その貴重な時間をたくさんの仲間と共有しているありがたさを感じました。

あーでも結婚式っていいよね。もう1回したいわ〜。(相手は同じで)


 お二人は、「《EST》でこれからもガンガン歌って合唱バカップルとなることを誓います。ペコリ」と宣言してくれています。このことがなんと言ってもうれしいですね。お二人の人生に我々もお付き合いさせていただくことを誓います。みんなでバカップルーーー! (失礼)





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