2003.11.26
ホール一杯の響き〜第56回全日本合唱コンクール全国大会
Vocal Ensemble《EST》は、2003年11月22日、第56回全日本合唱コンクール全国大会に出演し、金賞および文科大臣賞を受賞しました。同時に、来年度全国大会へのシード権をも頂きました。
昼の練習
コンサートを終えて2週間。気持ちの高揚を保ったまま迎えたこの日。メンバー達は、例によって、練習開始の1時間以上も前からパート練習を開始。練習すること自体を楽しみとしていることをこの日も実証してくれました。一方、声の疲れが治りきっていないメンバーがいることも事実。精神と肉体のバランスをとりながら練習を進めようと、私は思いました。
地元、津市でのコンクール。ホールの響きはコンサートで知り尽くしたはず。練習も、いつもの幼稚園で。この環境は音楽する安心感に繋がっています。私もメンバー達も、とてもリラックスして最後の練習に臨むことが出来ました。
さらに、はるばる岡山県から「練習を見学したい」と駆けつけて下さった方が、練習を盛り上げてくれました。(《EST》は来客者が来られるとハイ・テンションになります。)
練習は、そんな彼女からのお土産、岡山県名物のお饅頭を目の前にして、始めから充実したものでした。最後に皆で徹底したかったことを中心に。
シュッツの解釈
それは、シュッツの“Quoniam ad te clamabo”の様式でした。バロック的要素、バロックのリズムを強く入れたかったのです。
今まで、旋律の滑らかさ、線的な美しさへのアプローチを考えてしまっていたのです。そのため、テンポも遅く、ゆったりとした祈りの曲という色合いが出てしまっていたのです。ところが、その前の“Verga
mea”から続けて演奏してみると、どうもテンポの整合性に疑問を感じずにいられませんでした。「もっと速いテンポだ!」と。
テンポを速くすると、当然、何もかもが変わってきます。特にリズムですね。「通奏低音の役割をベースパートの音量の増加で補おう。細かい音符はリズムをはっきりさせよう。そして何よりも各旋律の性格がはっきり出るように演奏しよう。」と皆で確認し、練習に入ったのです。
始めは、指揮するテンポが速くなったことに少々戸惑いも見られましたが、すぐに「そうか!」と気付き合うことが出来ました。後は、新しいシュッツの演奏に一生懸命向かってくれました。何ヶ月も歌ってきたこの作品が、また新たな輝きを醸し出してくれました。感動でしたね。
自由曲は、リズムの楽しさ(ファイン)と幻想美(ウィタカー)というコントラストを大切にし、いかにお客様の心の深いところで共感していただけるか・・・ということを考えながら練習しました。アクロバットのリズムも振りとともに決まっていきます。美しい不協和音もベストバランスで。言葉をいかに生き生きと伝えるかを徹底し、最後の仕上げとなりました。
燃える練習でした。やはり、「本番前だから声はあまり出さずにイメージで・・・」なんて練習は出来ませんね。今のところ・・・。
本番会場では、地元の方々のエールを受け・・・
さて、本番会場に着くと、何しろ地元ですから、働いてみえる方々がみんな知り合い。応援の言葉をたくさん頂きました。嬉しかったですね。ありがたかったですね。普段感じないような温かさを感じました。出店でおうどんを食べました。お母さんコーラスの方々が、寒い日にも関わらず、朝から夜まで一生懸命働いてみえました。(日当は1000円だったそうです。)他にも、ズーっと大声でロビーの整理をしている三重大学生、寒空で駐車場案内をしているお父さん方・・・・みんな笑顔で快く動いてみえました。「もったいない!絶対いい演奏をしよう!」と心に決めたのは、きっと私だけではなかったでしょう。
プラカード嬢、集合から解散まで付き添ってくださったのも、三重大生にお母さんコーラスの方々。丁寧な対応は、県外の団体からも大変好評でしたね。さらに、審査員係りに至っては、もう最高のおもてなしをされたようです。審査員の方々は、「三重県の方々はすばらしい」と絶賛だったそうです。
そんな環境で、何一つ心配なく迎えられた本番。いよいよ、18時31分。一般Aの部のラスト、《EST》の出番です。
ホール一杯に響く実感!
メンバーが下手からホールへ出て行きます。途端に会場から拍手が起きました。これもコンクールでは初めての経験です。地元は本当に温かかった。
さて、シュッツ。テナーの第一声は、ホールの天井に高らかに響いていくものでした。広い会場が本当によく鳴っている。各パートとも、神への切なる訴え掛けが、倍音を伴って豊かに広がって行きました。どうしても狙いたかったリズムも決まっていきます。良く響く会場ですから、リズムを明確に聴いていただくのが結構難しいのですが、これだけはっきりしていればうまく届いたのではないでしょうか。
ファインは、溌剌と踊って歌いました。アクロバットをアクロバットに感じさせない演奏だったと思います。リズムテンポをアップし、わくわくするような出来になったと思います。
ウィタカーは、ちょっと設定テンポより早くなってしまったかなあという反省があります。ちょっと制限時間が気になったのです。(いやですねえ。結果的には、十分時間の余る演奏でした。) しかし、本番で一番満足に出来たところがありました。偶然なのかもしれませんが、言葉にうまく出来ない感覚的な味が出せたのです。最後から2ページ目の下の段です。(って、楽譜のない方にはわかりませんよね。)私には私なりの『指揮によって本番どこまで音楽の理想に近づけるか』という目標があるのですが、それがちょっと達成されたような満足な気持ちだったのです。それは音楽表現の必然的な繋がり・・・とでも言えましょうか。
演奏を終えた後、余韻を十分に感じてから、私は、振り返りました。礼をする前に、とっても大きな拍手が来ました。スタンディング・オーベーションをして下さっている方を見ることが出来ました。ここは日本のコンクールなのに!!
メンバーが上手に去っていくまで拍手はずっと続きました。ロビーへ向かう途中で、松浦周吉先生、洲脇先生、そして杉山大阪府理事長が相次いでドアから出てきてくださり、「良かったよ!」と握手をしてくださいました。コンクールでこんな体験は初めてでした。
表彰式での一コマ
その後、写真、着替え、新聞社のインタビューを経て、審査発表を待ちました。客席は、大学生の歌声で賑やかでした。そして、いよいよ審査発表。《EST》は、『金賞!』で歓声を上げ、『文部科学大臣賞!』でもっと大きな歓声を上げ、『シード団体!』で更なる歓声を上げました。(一度に発表されなかったからですね。)
ステージに金賞受賞指揮者が上がっていきます。審査員、役員が並ぶ中、表彰が始まりました。雨森先生、上西先生、有川先生とお話できました。本山先生(審査委員長)からメダルの授与。8年前のご指導からのことを思い出し、思わず、「実りました!」と握手していただきながら。本山先生は、にっこりと頷いて下さいました。
ステージ上で、今回は、昨年のようにはしゃぐ事もなく、今置かれている状況をゆっくり噛みしめているような気持ちの私でした。客席には、宇治山田高校の生徒達を始め、地元三重県の顔・顔・顔。そして、全国から集まった合唱人の目、《EST》の喜びの表情、ステージには日本を代表する方々。この状況の中、私は、ただただ、まだ見えないこれからの自分を探したい気持ちだったような気がします。うまく言えませんが。
表彰式直後、再び、写真撮影の依頼を受け、《EST》のみんなで外へ。そこで、私は、メンバー全員の拍手の中、トレーナーの加藤さんに私のメダルを掛けました。「本当にありがとう!」。加藤さんを始め、核となる《EST》のメンバーに感謝の気持ちを表したかったのです。それなしに、今年のクオリティーはなかったですからね。
打ち上げは、近くの居酒屋で。若いメンバーは、その後も2次会を下宿に集まって開いたそうです。朝の6時までおしゃべりをし、朝8時には、翌日のコンクールの係りの仕事をしっかり始めたとか。すごいエネルギーですね。
メッセージがうれしい
賞も嬉しいですが、いろいろな方々の、《EST》の演奏に対するメッセージがやはり一番。今回は、審査員でもあられた礒山先生のHP『日記風の談話』の第860話に書かれたメッセージがとても嬉しかったです。
礒山先生は、こんな風に書いてくださっています。
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一般部門A(小編成)に入り、私にも、集中力が高まってきました。しかし、次第にいらいらしてきたことが、ひとつあります。それは、シュッツの《Quoniam ad te clamabo》(なぜなら、あなたに向かって私は呼びかけるでしょう、の意)を課題曲に選んだ多くの合唱団が、判で押したように、なめらかなレガートで、流れるように、あるいはなでるように、この曲を演奏したからです。つまり、ルネサンスのアカペラ音楽として、この曲を演奏している。しかし楽譜を見ると、これはまぎれもないバロック様式の音楽です。短いモチーフをたたみかけるように反復し、強調と高揚の原理で書かれている。もっと歯切れ良く、強く、がっちりと演奏しなくてはだめです。また、ネオ・バロック風に書かれたフーガ(現代の合唱曲によく出てくる)を含めて、バロック様式の曲はきっぱりと開始し、冒頭の少数の音で、音楽の性格を確定させなくてはいけません。あいまいに入ってきて途中から調子が出てくる、というのは、ポリフォニー音楽、とくにフーガでは禁物。でもそういう演奏が、じつに多かったです。 その点でもすばらしかったのは、地元代表として最後に登場した、ヴォーカルアンサンブル「EST」。シュッツの曲がはるかな神への「呼びかけ」であることが、ESTの演奏によって、ほとんど啓示のような形で明らかになりました。広い空間の中で発せられた祈りの声が、空間のさらに向こうへと、ひたひたと広がる・・・そうした気合いが、彼らの演奏にはこもっていました。自由曲を含め、ESTの演奏はまったく自由でよどみがなく、単なる合唱を超えて、人間表現そのものと化しているかのよう。ここまで来ると、もう審査はできません。演奏が、審査員を超えてしまっているからです。この団体を尊敬します。 |
様式という点での苦労が報われました。それどころか、「生きていて音楽してて良かった」と思えるくらいの勇気溢れるお言葉でした。この場を借りて感謝の意を表したいです。
また、《EST》の掲示板へも。
| 今年初めて全国大会を経験する一年生からも、「ESTはすごい!」とか「やばい!」という様々な感想があがっていました。自分のことのように嬉しいのは何故でしょうか(笑) 定演の時より更に精密な音楽をされていて、その集中力には圧倒されます。私は演奏を聞いている間、息をしていなかった気がします。五感にしみわたる感覚でしょうか。意味不明で申し訳ありません。 |
| 三重大に入ってから何度も演奏会など聞かせていただいておりますが、やはりものすごい響きでした。お手伝いの方々も舞台裏に集まってきて身を乗り出して聞いていました。みな様の音楽に引き寄せられていました。間近で聞けた私は幸せ者です。 誘導も4団体目とあり、疲れからなかなかうまく誘導できずにすみません・・。リハーサル、本番とこちらが逆に元気にしてもらいました。ありがとうございました。 あまりに感動したので書き込みしてしまいました・・。 本当にいい演奏でした!!本当にありがとうございます!! |
今回の全国大会で初めて聞きかせていただきました。
本当に感動して、心臓がはち切れるかと思いました。
説明するのはとても難しいですが、とにかくセンスが良くて、安定した響きで、聞いていてとても楽しかったです。
素晴らしい演奏が聞けて良かったです。ありがとうございました。
初めて掲示板に書き込みさせていただきます
貴団の演奏を聞いている間、体中に電気が走りまくっておりました。そのとき貴団の一位を確信しました。
今思えば、あのようなすばらしい演奏を、出来うる限り客観的に判断しなければいけない審査員の先生方がかわいそうに思えて仕方がありません。
終わったあと、私はスタンディングオーベーションをしておりました。二階席では一人だけだったので、恥ずかしかったです。
貴団の演奏は伝説として語られていくはずです。少なくとも私には一生忘れられない演奏となりました。もし、子供ができて、歌を志したらかたって聞かせたいと思っています。大久保混声さんと一緒に。大久保混声さんの演奏の伝説として語られるでしょう。貴団の演奏は大久保混声さんに負けぬ演奏でした。
本当に感動をありがとうございました。
皆さん、本当に、ありがとうございました。
大会1日目(22日)の結果はこちら (三重県合唱連盟のHPより)
大会1日目(22日)の風景はこちら (三重県合唱連盟のHPより)
2003.12.23
《EST》版・想い出のベストテン
Vocal Ensemble《EST》は、一昨日の練習で、2003年の全日程を終了しました。さあ、恒例の忘年会です。近くの居酒屋で、いざ、乾杯です。昨年から始まった『想い出のベストテン』。企画のD井氏が光ります(もうこの表現もくどいですね)。2人の女性メンバーが意気揚々とD井氏のアシスタントを務めます。サンタの真っ赤なコスチュームに光る帽子(電池式)が大うけです。(あ、今回は、内輪話に徹しますね。だって、これ、日記なんですもの・・・。)
さて、今回のベストテンは、下記のようなものでした。
10位 粗相の数々 悔い改めよ 遅刻・忘れ物・勘違い
自覚のある人はその場に起立して懺悔せよとのこと。まず、ターゲットとなったのは、M太郎君。彼は、スペインに行く日、集合場所に来なかったのです。慌てて電話すると・・・・寝てた!! 必死で電車とタクシーを乗り継ぎ、飛行機の離陸にギリギリ間に合ったのでした。
続いてN呂君。『水と緑の全国音楽祭』出演の福島県行きの集合場所に居ない! 何と・・・・寝てた。しかも、この日であることを・・・・忘れてた。
続いてM井君。コンサートの衣装を駐車場の自分の車の中に全部忘れてきた!! 気付いたのは直前!!!
で、「いろいろあったなあ」と笑っていると、みんなの視線が私に。「え?」あ、思い出した! 大山田村のスコラーズ演奏会のときに、カッターシャツを忘れたんだ!! 人のことを笑っている場合ではありませんでした。村に一軒しかないスーパーマーケットまで、カッターシャツを買いにいったのでした。本番直前でした。いやあ、冷や汗!!!!
ということで、懺悔で始まったベストテン。続いては?
9位 連れて帰りたい人NO.1!ずるいぞ○○ばっかり!!
これは、法政大学の3月の三重公演に《EST》が賛助出演したときのお別れ宴会での出来事でしたね。三重に住み込んでコンサートに向けて頑張った門間君と内田君に(35.法政大学アカデミーの門馬君・内田君に愛の手を!(03/2/14)) 「《EST》のメンバーの誰か一人を連れて帰っていいなら誰?」と質問したところ、二人ともモジモジしながら、「○○さん!」と答えたのでした。ドイツの新聞にも和服姿で大きく掲載された○○さん。(32.マルクトオーバードルフの思い出(3)〜コンペティション前日(01/6/20)) その美貌に加え、彼らに差し入れをするなどの優しさが彼らの心を熱くしたようです。さっすが!
番外編1 So cute☆と言われたのは誰?
さて、アシスタントのお二人が、「私も言われた」「私も!」と騒いでいます。スペインで食事のときに隣に座ったドイツの若者に「So
cute☆」と言われたとか。真偽の程は明らかにされませんでしたが・・・。
8位 因縁の対決 のんVSまさお 強いのはどっち?
これ、ノーコメント(・・・)
7位 驚きのみーやん先生&貴久ちゃん やるときはやります!!
普段、落ち着いているお姉さま的存在のお二人。ひょんなことで合宿の朝のエアロビクスのリーダーになったんですが、その変わりようにみんな圧倒されました。すごい高レベル。みんなハーハー言いながらついていきました。いや、ついていけないオジサンガタ(N田氏と、正直に言うと私)。そして、全く息を切らさず、落ち着いているお二方にまたまたビックリ。
番外編2 スコラーズやちまたに敗北 県大会では山高に敗北・・・
三重県内では一番になれなかった《EST》。しかも、立ちはだかったのは、私が参加した“やちまた男声”(62.楽しいのがいい!〜第14回三重県合唱アンサンブルコンテスト&フェスティバル(03/2/13))に、宇治山田高校(30.2つの県コンクール(03/8/25))。ということで私が懺悔・・・・??
6位 ここはスペイン 水風呂・スリ・宿がない!?
スペインで一番初めに思い浮かべるのがこれ?! 今、考えるとすごい日々でした。日本では考えられません。みんな団結して笑い飛ばしましたが。(バルセロナでの11日間(1)〜まずは、びっくり! 覚悟の11日間の始まり始まり(03/7/29))。
5位 CD売れ行き好調 録音もがんばろう!
スペインでのスペシャルコンサート(バルセロナでの11日間(6)〜ショーケース・コンサートのすごい歓声に感激(03/8/13))と、第11回コンサート(第11回コンサートは感動的でした(03/11/13))の両ライブ録音を一枚のCDにしました。先行予約の段階で150枚。予想以上に好調な売れ行きです。いよいよ、1月1日にClassical Music CD Shop 'Giovanniから、発売されます。また、素晴らしい話コンサート当日に立ち上がりました。「木下牧子さんの作品集を《EST》の演奏で作りたい!」とGiovanniの木村さんが提案してくださったのです。そのお話が実現しそうです。作曲家本人がレコーディングに立ち会ってくださるというのです。みんな大喜び。2004年の大切な活動になりそうです。(ライブCD「バルセロナからの贈り物」についてはここをクリック)
4位 Yan先生ファンクラブ発足 ほっぺにCHUに長蛇の列!
お恥ずかしいので、コメントできません。「ど、どんな親子や!!」で締めくくったバルセロナでの11日間(5)〜アトリエは、素敵な指導者Jan
Yngwe氏と共に(03/8/8)に、書かれています。
3位 結婚・婚約おめでとうラッシュ☆
2月の常住氏の結婚式(本当の音楽が生まれるとき〜メンバー同士の結婚式を終えて(03/2/25))は、お伝えしたとおりですが、現在、団員同士の婚約が2カップル、そして、団外の方と婚約されている方がお二人。そのうちの一人は今回の忘年会に婚約者同伴での参加です。まさに、おめでとうラッシュです。
2位 花の東京で大股開いた○○さん
何のことはない、Tokyo Cantatの写真です。Pamugunの演奏で一生懸命踊ったある女声メンバーの姿。私から見ればそのひた向きさに頭が下がる写真なのですが・・・。(Tokyo Cantat 2003に出演! すごい反響でした!(03/5/10))
1位 金賞おめでとう!やったね文部科学大臣賞!
「昨年の金賞は、昨年の忘年会のベストテンで2位にしました。それは、今年のこのような結果への期待を込めたからです。」とD井氏。今年の充実した活動がこのような形で終えられたことは、本当に良かったと思います。
でも、私は乾杯前の挨拶で言いました。「今年の《EST》を維持しようとか、レベルを下げないで行こうとか、そんなことを考えて来年を迎えるほど、つまらないことはありません。まだまだ課題があるし、音楽なんていくらでもすばらしいものがあります。常に、変化し、常に前向きに進みましょう。その推進力が《EST》の楽しさです。」
今年の活動は終りました。年末年始は、私にとっては大切な時間です。来年をシュミレーションし、来年の演奏曲の勉強を集中して行います。いろんな準備も考えます。毎年が一期一会。同じメンバーであっても、その環境は一刻一刻変わり続けますから。
27日からは、みんなはスキーに出かけるのです。私は、28日に、モツレクのオーケストラ練習があるため、今回はパス(残念)。
そして、来年。一体どんな一年になるのでしょうか。わくわくです。
2004.1.14
初めてのCD『バルセロナからの贈り物』が発売されました
『Vocal Ensemble《EST》第11回コンサート』および『第15回ヨーロッパカンタート スペシャルコンサート』での《EST》の演奏を1枚にまとめたCDが、Regalo de Barcelona 〜バルセロナからの贈り物 〜というタイトルで、1月1日、クラシック音楽CDの専門店 ジョヴァンニから発売されました。
特徴
特徴は、何と言っても、ライブであることです。特に、バルセロナでの演奏は、1500人の聴衆の大きな拍手と歓声、指笛など、ちょっと日本のコンサートでは想像できないような雰囲気が伝わってきます。
曲目も多彩です。特に、北欧や南アジアの作品は、知られざる名曲といえるでしょう。
ライブの良さは、聴衆とのコミュニケーションです。音空間を共にし、今そこにいる方々に一生懸命伝えようとする演奏。逆に、取り直しが一切出来ませんから、音程やタイミングに難ありの箇所もあります。後半、声に疲れが少々感じられます。
しかし、全体としては、これまでの《EST》の中での最高のものをお伝えできていると言えます。アマチュアの我々が音楽を生きる楽しみと捉え、11年間の道のりを経て培ってきた音楽を、CDを通して聴いていただく。何だか感無量です。
素晴らしいジャケット
ジョバンニから送られてきたCDをみんなで見てまずびっくり。それは、ジャケットに添えられた宣伝のメッセージ。絶対自分達では書けないようなすっばらしい(照れくさい)文章。「褒めすぎだよー」とみんなワイワイと嬉しそうでした。
中を開けると、バルセロナと津での写真が計16枚。さらには、海外の方々も分かるようにと、プロフィールと曲名に、英訳が添えられています。1人1人の名前も大きく印刷されています。素晴らしいジャケットに感謝です。
主な写真について説明をしてみます。
表紙・・・サグラダファミリアを下から眺めたもの。縦に3分割されていますが、多分まん中のカラー写真のみが、私達の撮ったものです。
2ページ右上・・・州政府主催のコンサート風景(バルセロナでの11日間(9)〜最後を飾る、初の海外単独コンサートは、涙・涙・涙(03/8/29) )
2ページ真中左・・・アフタヌーンコンサートで歌う《EST》スコラーズ(バルセロナでの11日間(7)〜アフタヌーン・コンサートにレインボー。余裕も出て・・・。(03/8/19) )
2ページ真中右・・・教会ミサにて聖歌隊として歌う《EST》(バルセロナでの11日間(4)〜飛び込みの教会ミサは大成功(03/8/6))
2ページ下・・・バルセロナ美術館の丘の上から眺めた町並み。毎日歩いた道。
最後から2ページ目・・・津でのコンサート風景6枚(第11回コンサートは感動的でした(03/11/13) )
裏表紙下・・・スペシャル《ショーケース》コンサート(CDでの演奏は、ここでのもの)(バルセロナでの11日間(6)〜ショーケース・コンサートのすごい歓声に感激(03/8/13))
なお、歌詞カードをお付けすることが出来なかったのが唯一残念なことでした。ヨーロッパでは、歌詞カードは、コンサートでは勿論、コンクールでのプログラムにも付いています。合唱音楽を、言葉として捉えている証かもしれません。(対して、日本人は音で捉えるといわれてます。)
そこで、CDを買われた方々で、歌詞カードをご希望される方々は、ぜひ、《EST》までお知らせ下さい。無料でお届けさせていただきますので。
ご感想
私や団員のところへ、聴かれた方々からの感想が届き始めています。「何度も聴いている」「スペインと津での演奏の微妙な違いがおもしろい」「スペインの客席の反応がすごい」「“パムグン”を振り付けなしで音だけで聴いてみると、そのリズムの複雑さが発見でき感激」「知られていない作品が一杯でうれしい」など、ほっと胸を撫で下ろしています。
木下牧子さんの作品をCDで
さて、このCDに続く企画が実現します。木下先生の監修、《EST》の演奏で、「地平線のかなたへ」「光と風をつれて」「木下牧子アカペラ・コーラス・セレクション」のCD化のお話を、ジョバンニから頂きました。
木下先生曰く、「音源を知るために指導者が聴くのではなく、広い年齢層の方々の鑑賞に値するようなCDを作りたい」。が、頑張らなくっちゃ!
「地平線のかなたへ」と「光と風をつれて」は、若いコーラスグループを中心にずいぶん歌われている割には、CD全集の中の一枚としてしか音源がないということです。つまり、これらの曲集は、ウン十万円出さないと聴くことが出来ないということ。(違法なコピーは駄目ですものね。) そこで、今回の話が浮上したわけです。
5月と7月に分けて、三重県文化会館を借り切って、木下先生立会いの下でCD録音をします。ピアノは、中村文保さん。久しぶりの共演です。さて、いいCDとなるかどうか!
2004.1.26
《EST》スコラーズの演奏〜第15回三重県合唱アンサンブルコンテスト&フェスティバル
2004年1月25日に催された第15回三重県アンサンブルコンテスト一般の部にて、《EST》は3グループが出場し、金賞(最優秀賞)、および銀賞を受賞しました。
"《EST》スコラーズ"は、『Put,vejini(風よ、そよげ)(Raminsh)』と『村の鍛冶屋(信長)』の2曲で出場。黒を主体としたスタイリスティックな衣装に、並々ならぬ気合を感じます。このコンテストは指揮者なしという規定ですので、私は客席で聴くことが出来ました。『Put,vejini』は、混声8部合唱で、音域も広く、何より、ラトビアの苦難を感じさせる精神性豊かな作品。この作品を10人で歌い上げるというのは、作品の美しさに魅せられる分、困難も多かったと思います。『村の鍛冶屋』は、リズムや振りにも磨きが掛かりました。今年度のメンバーでの最後を飾るステージでした。(2月の合宿で、新たな《EST》スコラーズが生まれます。)
アコール《EST》は、『Lauda Sion (オルバーン)』と『グリーンピースのうた(木下牧子)』の2曲で出場。パステルカラーの清楚な衣装が好印象。テキストを記号化し、教会音楽とは思えないようなおしゃれな趣きを感じる『Lauda Sion 』。対照的に『グリーンピースのうた(木下牧子)』は、かわいい振りを入れました。
《EST》メンズクワイヤは、『VISI CIEMA SUNI REJA(村中の犬が吠えた)(ラトヴィア民謡)』と『 “アッシジの聖フランチェスコのための4つの小さな祈り”より3(Poulenc)』。練習の初期は、プーランクの音像を捉えることと、ラトビア語の発音と暗譜など、なかなか大変だったようです。最後は、犬を表す振りを付けたりし、楽しさを前面に出してくれました。
《EST》にとって、アンサンブルコンテストの意義は、一人一人に宿っている音楽を見直し、見つめ、伸ばすことです。特に、《EST》スコラーズが抜けた、女声グループ、男声グループでの練習は、新たなリーダーを生み出し、歌う仲間の輪を再構築していました。私は、時々アドバイスに回る程度でしたが、試行錯誤の中から生まれてくる大切なものを感じていました。また、《EST》スコラーズが、応援に回ったりする姿も印象的でした。
団員の出入りもあり、音楽する集団としての大切なものを新しく生み出していく時期です。声作り、メンタル面での仲間作り、来年度(4月)へ向けての組織作り、そして、音楽へどう向かっていくかのヴィジョン作り・・・・・。この時期が一番大切なのです。この時期を私と共に歩んでくれているメンバー達が大切です。新団員も含めたこのメンバーで新たな《EST》をいっしょに作って行くのですから。
"来年度の一番の目標は、一人一人の声を見つめること"
2004.2.16
「世界合唱の祭典 京都」第7回世界合唱シンポジウム国内招待団体説明会
Vocal Ensemble《EST》は、「世界合唱の祭典 京都」第7回世界合唱シンポジウム国内招待団体に選ばれました。この嬉しい知らせから10日後の昨日、東京は恵比寿の“合唱資料センター”で招待団体説明会があり、行ってきました。
出演団体
20年近く前、この資料センターで、黒岩先生に指揮法を教えていただいた懐かしい建物。こんなに狭かったでしょうか。恵比寿駅前もすっかり変わっていました。
会は、浅井先生(実行副委員長)の楽しい司会の下、まず、吉村先生(実行委員長)のご挨拶。「世界の人々が“良かった”と思えるような役割を果たしましょう。」
続いて、出演団体の自己紹介。この場で、初めてどの団が選ばれたのかが分かりました。団名と、それぞれの自己紹介の内容を記します。
合唱団京都エコー・・・「創立41年。浅井先生の好きなように振れる合唱団。現代音楽でない日本の音楽がレパートリー。」
クールジョワイエ・・・「日本の作曲家による男声合唱作品を歌っています。」
グリーン・ウッド・ハーモニー・・・「創立54年。ジャンルを限定せず、面白いと思う曲を歌っている。選ばれたのは信じられない。」
ザ・タロー・シンガーズ・・・「アカペラ混声合唱団。年4回の定期演奏会。CD3枚出している。日本に知られていない作品を紹介している。」
室内合唱団VOX GAUDIOSA・・・「創立7年。平均年齢27歳。世界的なイベントが日本であればと思ってきた。世界の舞台で日本の作品が珍重される。松下耕先生の民謡とかが。」
ジャパンユース合唱団・・・「ワールドユース、アジアユースの日本のメンバーにオーディションで加えている。3日間の合宿を経てコンサートを催している。松原千振先生プロデュース。」
多治見少年少女合唱団・・・「田中信昭先生のご指導。過去(オーストラリア)に田中先生の講座のモデル合唱団を務めた。」
東京少年少女合唱隊・・・「創立53年。グレゴリオから細川作品まで幅広いレパートリー。小学1年から14歳まで。その上にユースとシニアがある。」
なにわコラリアーズ・・・「南太平洋シンポジウムに出演。今年はバンクーバーに招待。日本の合唱曲を。」
ヴォーカルアンサンブル《EST》・・・「田舎の合唱団だったが、チャンスを与えられ、ドイツやスペインで演奏。大きな教会で涙し、スタンディングオーベーションや歓声に涙する、感情激しい平均年齢27歳のメンバー達。」
合唱団公募と選出
続いて、洲脇先生(国際合唱連合副会長)から、公募と選出についての以下のお話がありました。
「国際合唱連合は、5つの地域に分かれます。今回は、アジア・南太平洋地域での開催と言うことになります。テープ審査には、世界から154団体が応募しました。その中で、アジア・南太平洋地域からは77団体。この数には、日本からの53団体を含みます。私(洲脇氏)は、20年前ウィーンでの第1回からずっと関わっていますが、こんなに多くの応募は初めてでした。1つの国からたくさん出さないのが原則ですが、日本は開催国ということで、10団体という枠を頂きました。他の国々からは22団体です。このことにまず感謝しなければなりません。一つ一つのテープを聴きながら選出に向かったのですが、一番辛かったです。世界のあちこちからクレームのような来る。コンクールの審査の方がよっぽど気楽です。
したがって、一団体あたりの演奏時間は海外団体より短くなります。10団体がファウディングメンバーという意識で協力していただきたいです。」
待遇
会は進んで、野村氏(財務担当実行委員)から。
「現在、必要経費を絞って考えても、198,000,000円が必要となります。そのうち
160,000,000円は集まっています。全日本合唱連盟の一年間の予算が250,000,000円ですから、いかにたくさんの費用が掛かるかがお分かりいただけるでしょう。今、様々な形で募金を募っていますが足りません。そこで、日本の合唱団の交通費や宿泊費は自己負担となります。海外団体は、京都までの渡航費は自前。会期の半分の3日間の35人分の滞在費をこちらで負担します。」
芸術面でのプロデュース
休憩後、長谷川先生(芸術委員長)から、会期の内容と各合唱団の役割について、慎重かつ心のこもった丁寧な説明がありました。まとめてみたいと思います。
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1.会期
5.会場 |
さて、肝心の《EST》のこのイベントでの役割ですが、一つは、“シンポジウムコンサート”と題して、アフタヌーンコンサートの枠で海外団体とジョイントコンサートを行うことになりました。また、講師の希望によっては、ワークショップのモデル合唱団に選ばれる可能性があるとのことでした。具体的な日にちや曲目の依頼などは、これからだということです。前後にどんな海外団体が配置されるかにより、曲目も変わってくるとのこと。コンサートとしてのまとまりを重視されているようです。
なお、講座の内容や、各コンサートのテーマや進行など、くわしくお話されましたが、全ては書ききれません。また、「まだ公表できない」というお話もありました。いずれ、専用のHPに発表されるようです。
「日本の合唱界が新しくなっていく息吹の第一歩になることを目指し、みんながボランティアでやっている」との長谷川先生の冒頭の言葉を改めて思い出します。国内10団体が、「日本の1団体という共同意識を持って欲しい。」とも。
私は、まさにこの言葉を大切にしたいと思います。志を同じくする仲間である素晴らしさは、Tokyo
Cantatでも感じましたし、今年7月の『宝塚国際室内合唱コンクール出場団体によるジョイントコンサート』でも培っていきたいものです。その和が、大きな流れとなり、いずれ、演奏者も聴衆も、世界に開かれた合唱の国となることを一生の希望としたいと思うのです。
“日本を変えよう!”などと言うと、どこかの政治家みたいで嫌ですが、やはり、日本で行われる数少ない世界のイベントに、多くの方々が参加され、目を開きあいたいものです。その実働部隊に選ばれたことに感謝しつつ、気を引き締めてこのイベントに貢献したいです。
2004.2.25
恒例の『団内アンサンブルコンテスト』を終えて
この時期恒例の合宿、そして、恒例の『団内アンサンブルコンテスト』が終わりました。今年は、3年目ということで、少々の工夫をしました。
いつもの『全員部門』は、1チーム4〜6人と少人数に徹し、1パート1人というアンサンブルの理想に近づけてみました。(昨年までは1パート2人を原則にしていました。)チーム数は増え、6チームです。また、自由にチームを組んで1人何回でも出演できる『フリー部門』に加え、『ソロ・デュエット部門』を新設。メンバー達のいろいろな角度からの可能性を発揮してもらいました。
地元声楽家の長谷川豊子さんと、県外の合唱指導者である長谷部健氏を審査員にお呼びし、加藤さんと私の計4人で審査。豪華(?)賞品を目指してのコンテスト。今年も楽しく盛り上がりました。
私の楽しみは、このイベントでグッと伸びを示すメンバーを見出すことです。技術レベルしかり、リーダー性しかり。そして、みんなの楽しみ方の向上。今年も現れました。頼もしい若者達、そして「負けないぞ」とばかりのベテランメンバー達。
新設の『ソロ・デュエット部門』は、4人と1チームのノミネートでした。頼もしかったです。1人で責任を持って音楽と向き合う姿。この部門に、来年は、さらにたくさんのメンバーが参加してくれるといいなあ。
審査講評で長谷川さんがおっしゃられた「母音に比べ、子音についての意識が足りない」という課題は、これからの練習のポイントとしていきたいです。サウンドを揃え、母音を揃えるところまで来ている現在、次は、子音による言葉のリズムに向かいたいと思っています。
さて、この合宿の一番の目的は、『秋のコンサートまでの全曲の譜読みを終えること!』。この目標も達成できました。いつも思うのですが、《EST》のメンバーたちの、お尻に火がついたときの頑張りよう、団結力には、頭が下がります。私も、目標に掲げたからには、全力で向かいます。その信頼関係が、合宿を成功に導いたのだと思います。
食事のときや、夜のお酒の入った親睦会では、「もっと練習時間を増やしたい」「個人の予習をもっとしてきて欲しい」など、昔私が言っていたことをメンバーの口から聞くことが出来、嬉しかったです。こういうメンバーが核となっていくのでしょう。
ただ、生活が変わったり、健康を害したり・・・・というプライベートな面での悩みや、人間としての甘え、弱さ、潜在するいろんな感情などにも目を向けたいですね。人間同士なんですものね。みんなが楽しく歌える団でありたいもの。メンバー一人一人の目線で《EST》を見ていく側面も、忘れたくありません。
《EST》は、いつも、新しいサウンド、新しい音楽、新しい仲間関係を模索していきます。まもなく、新年度。“《EST》スコラーズ2004”の結成、そして新役員の決定と続き、4月から、新メンバーも含めて、新年度の旅立ちとなります。その一つ一つに真剣に向き合い、ともに向かっていけるメンバー達がいることを大切にしたいと思うこの頃です。
《EST》が、第12回コンサート(2004年10月20日)に向けてのレパートリーとして、今取り組んでいるのが、“ダブルコーラス”です。本格的に取り組むのは今年が初めてなのですが、これがなかなか楽しいです。今回は、この“ダブルコーラス”について述べていきたいと思います。
合唱団を2つのグループに分ける “ダブルコーラス”という音楽形式の歴史をたどってみると、その起こりは
16世紀のイタリアにさかのぼることが出来ます。ベネツィアのサンマルコ大聖堂は、ちょうど、左右に合唱団を配置し、ステレオ効果を出す絶好の作りでした。そこで活躍した、
ジョバンニ・ガブリエリ(1557-1612) やその叔父にあたるアンドレア・ガブリエリ
(1510?-1586)らの人が、このサンマルコ大聖堂という環境の下でもっとも効果的な音楽を作り出そうとしてひとつのスタイルを確立させたのでした。これが、“ダブルコーラス”の始まりです。
合唱団や合奏体を2つのグループに分けて対比させて用いるという考えは、単に編成だけの問題ではなく、音楽を有機的に構成していく上でのさまざまな新しい可能性を含んでいました。音量の問題だけをとってみても、2つのグループが交互に歌う部分と、同時に歌う部分とを組み合わせることだけで、1つの合唱団では得ることのできない響きの変化が得られます。また、そこに、神と民との対話のような効果を加えたり、違うテキストを同時に(交互に)奏でたりと、音楽表現の幅を広げたのです。
16世紀ヨーロッパの合唱音楽は、ルネサンス音楽の終期をむかえており、清澄な響きの
<通模倣様式>の時代でした。こうした時代に、ガブリエリらの“ダブルコーラス”書法はきわめて新鮮に写り、多くの作曲家がこの手法を取り入れたのでした。続くバロック時代の音楽では、音色のコントラスト
というものが重要視されるようになり、“ダブルコーラス”の手法はこのスタイルにきわめてよく適合したのでした。この書法の発展により、それまでの合唱の機能は大きく拡大され、器楽と結びついてよりダイナミックな表現が可能になり、とくにドイツのバロック時代においては“ダブルコーラス”はひとつの流行となったのでした。
2004.4.10
《EST》が新しく生まれ変わるとき
春爛漫。世界がどんなに荒れていようとも、この時期には必ず桜が満開になってくれます。心がどんなに疲れていようとも、温かい風が、日差しが辺りを満たしてくれます。《EST》で音楽する仲間たちの別れと出会い。その入れ替わりが、《EST》に新鮮な空気をもたらしてくれています。
新しいスコラーズのメンバーが決定しました。今年度の組織と行事・練習予定も全て決まりました。そして、昨年11月のコンクール以降、13名もの新人をお迎えし(その中には18歳メンバーが6人!)、総勢40名で、今年度のスタートを切ったのです。
《EST》スコラーズ
2004年度の《EST》スコラーズを紹介しておきます。《EST》の音楽的な核となるメンバーです。
加藤あかね(ソプラノ・パートリーダー、ヴォイストレーナー、アンサンブルトレーナー)
3月で教諭を退職し、4月から、大学と複数の高校の非常勤講師を務められ、残りの時間を音楽活動(ピアノ、歌、指揮)に費やされます。思い切った決断です。自分にも音楽にも妥協なく苦しんで苦しんで道を開いていく彼女の“姿”が、周りを変えていきます。どんなにメンバーの入れ替わりがあっても変わらず音楽を追求していけるのは、彼女の“姿”があるからです。
塩谷 茜(ソプラノ)
めきめきとリーダーとしての頭角を現してきた彼女。負けず嫌いで真っ直ぐで、《EST》の音楽を何よりも大切にしようとする情熱が、彼女の歌を、指導力を引き上げています。スコラーズの一員となった責任が、ますます彼女の音楽を輝かせていくことを期待したいものです。出身高校である三重県立伊勢高校からたくさん後輩が入ってきてくれたことが、彼女の人となりを表しているようです。
細野裕美子(ソプラノ)
スコラーズ1年目としての昨年の彼女の活躍ぶりは、本当に頼もしかったです。スペインでの演奏ぶり、パートや全員練習での進め方などなど、いつも明るさを失わずにリードしてくれました。仕事と音楽活動との両立に心痛めたこともありましたが、《EST》を信じる気持ちで乗り切ったようです。2年目です。彼女のますますの深みに期待しましょう。
常住光子(アルト・パートリーダー)
昨年度は、連盟の仕事や、マネージャーの仕事などで、思うようにスコラーズとしての役割が果たせなかった彼女。今年は、スコラーズを第1に考えての再出発。気合が入ります。彼女の持ち味である声量の大きさは、他への影響力の大きさにも直結します。その自覚が彼女を律しています。練習への準備にエネルギーを注がれ、パートを、全体をメンタル面でもいい方向にリードしていかれんことを期待します。
藤田沙織(アルト)
仕事、生活、《EST》での音楽活動をバランスよくこなし、その大変さを表に出さない人。それだけ、《EST》での時間に賭けているわけで、進展のない練習には、容赦なく一喝! こういう人がいるからこそ、《EST》の純粋さが保たれます。“響きとしての声量”という課題に向かい、今年も真っ直ぐに進まれることを願っていますいます。
山羽喜久子(アルト)
もともとソリストとしての研鑽を積んできた彼女。《EST》に入り、ソロの先生に「良くなった」と絶賛されたと、嬉しそうに語ったのが印象的でした。コンクールのソロ、モツレクのソロも立派にデビュー。おっとりした笑顔の奥に、才能とプライドを隠し持つ、今年注目のスコラーズ新人です。
福本三喜(テナー・パートリーダー)
もともとベースだった彼が、今や、ヴォーチ・デ・フィンテに向かう、テノールとしてのなくてはならない存在です。愛知県瀬戸市からの遠距離団員にも拘らず、彼の、時間を掛けた予習と丁寧な指導、毎回休まない姿が、団員の信頼を獲得しています。音楽に夢を持つ、妥協知らずの伸び続ける人です。
松井佑輔(テナー)
音楽を信じ、《EST》を信じ、仲間を信じる姿が、彼を成長させてきました。不器用な分、努力家です。そして、だんだんと、本物志向になってきています。“今時の若者”のイメージはもうありません。大切な大切な音楽仲間になりました。ほとんど初心者で入団しながら3年数ヶ月。今や、後輩からも尊敬される存在です。
常住信教(ベース)
コンクールでのユーモラスなソロ、モツレクでのシリアスなソロ。昨年度も、圧倒的な響きと歌心で存在感を示した彼。宗教心に裏打ちされた穏やかな彼の“姿”は、大きな包容力として《EST》を支えています。しかも謙虚さを失わない! 音楽するために必要なものをすべて併せ持った人です。
土井 誠(ベース・パートリーダー)
「いつも前へ前へ」。今の彼を語るにふさわしい言葉です。努力家です。ハートの人です。集団としての《EST》をいろいろな側面から支え、リーダーとしては勿論、縁の下の力持ち的な力も発揮されます。彼とは一生一緒にやって行く予感。《EST》の全てのイベントも彼抜きでは考えられません。『輝』。
寺田昌樹(ベース)
遠距離団員でありながら、練習を休まない! 音楽する場を大切にされる、これまた本物志向のメンバーです。特に、彼の合唱音楽への憧憬は深く、日本の現代音楽にも及び、独自のネットワークで、選曲の一翼を担ってくれます。やはり努力の人。今年注目のスコラーズ新人です。
以上、11人。
今年度は、スコラーズ単独のレパートリーをたくさん増やし、スコラーズだけでコンサートを催したいのです。お呼びが掛かればフットワーク軽く参上できる体制も。第一弾として、3月末に阿山郡(三重県)で演奏してきました。
また、『スコラーズは他の役員とは兼ねない』というルールを作りました。これにより、音楽リーダー集団として時間を割いて活動できるようになります。《EST》の核としての活躍にますます期待できるようになりました。
運営組織も一新
『スコラーズは他の役員とは兼ねない』というルールは、運営組織も一新させました。役員の中のスタッフを紹介しますと、北田誠治を代表とする体制は変わりませんが、副代表に渡辺健次(新)、渉外マネージャーに岩脇香織(新)、内政マネージャーに西川美穂(新)、会計は染川めぐみ(現)で、パートマネージャー4人は、すべて新人です。
また、毎月集まって開いていたスタッフミーティングは、今月からスタッフ掲示板(インターネット)によるネットミーティングとなり、自由練習の時間をその分確保できるようになりました。
大切なのは1人1人を繋ぐ共通の領域
活動の特殊性や、練習日や地理的な条件という起因性があるにせよ、今回のような、13人もの新人をお迎えしての、しかも新人スタッフの多いスタートというのは、初めてのことです。表面的には、まるで大学の合唱団の年度変わりのようです。
しかし、一人一人を見てみると、みんな目が輝き、共に音楽しようという意欲に満ち満ちています。新入団員は《EST》の活動に共感を持って扉をたたいてくれたメンバーばかりですから、すばやく軌道に乗ってくるでしょうし、新人スタッフは、なるべくしてなった能力のある人たちばかりですし、トップが推進力溢れる北田君ですから、ちっとも心配は要りません。
新人の中には、アメリカの合唱団で7年活動して帰国した方がいます。大学医学部の先生でもあられる彼の音楽ライブラリーを今度見せてもらうつもりですが、アメリカの20世紀の楽譜がズラリだそうです。また、大学や一般の合唱団でバリバリ活躍されていた人や、18歳の6人も、高校時代は合唱に燃えていた人達ばかり。そんなメンバーを加えて、今までの最大人数である40人でスタートした今年度。もう楽しみで楽しみでしょうがありません。
私の喜びは、“作っていく”喜びです。リフレッシュされた《EST》。「もう一度基礎からやり直し」なんてことを考えるのではなく、新たなメンバーと新たなサウンドを新たなメソッドで作っていく。その“新たな”とは、『今目の前のメンバー全員を大切にして』ということです。メンバーが違えば、いつも“新た”です。
いろいろな違った場で歌っていた13人が、《EST》でいっしょに音楽していくわけですから、まずは、一人一人が心を開き耳を開き、《EST》の音楽を信じることが必要でしょう。ただ、私は、それが大変なこととはちっとも思っていません。なぜかというと、《EST》のサウンドなり音楽は、ニュートラルなものを基本としているからです。ある特殊なものを目指しているわけではないからです。そこに至るに大切なことは、基本的なことの積み上げです。基本を見直し、徹底することで、自然に見えてくるものなのです。
私は、どんなに環境が違っても、考え方が違っても、全ての人の心に中に、音楽が繋ぐ無意識的な共通な領域が存在すると確信します。これは、西洋、東洋を問わず、民族をも超えてです。その“音楽の共通性”を信じ、どんな人達とも一緒にやりたい。そこで生まれる音楽が、“個性溢れる普遍性”に繋がっていけばと思います。私は、音楽における『共通性』『普遍性』と『個性』は、相反するものではなく、お互いに存在し合えるものだと思っています。(つまり、個性がなければ普遍的になりえないし、普遍性のない個性なんて、独りよがりに過ぎないと・・・。)
まず一人一人がしっかり立つ。そして横に繋がり合う。音楽だからできるすばらしい集団を目指し、一歩を踏み出したいと思います。