
|
☆
BACK
「いただきます・ごちそうさま」 ...「禅」に学ぶ食育... 大本山永平寺主催文化講演会 〜永平寺三世徹通禅師七○○回御遠忌記念〜 平成二十年五月十一日(日) 札幌パークホテル三階パークホール プログラム 一.開会の辞 大本山永平寺副貫首南澤道人老師 二.第一部:VTR上映 永平寺からのメッセージー・三心に学ぶ』 三.第二部:基調講演 『いただきます・ごちそうさま』 服部幸鷹(はっとりゆきお先生) (服部学園理事長・服部栄養専門学校校長・医学博士) 四.休憩:ポスター作品集VTR上映 (ポスター制作:駒沢女子大学映像コミュニケーション学科在学生) 五.第二部:鼎談(ていだん) 『作ることの楽しさ・食べることの大切さ』 服部幸鷹先生 千住明先生(せんじゅあきら)(作曲家) 若山慧子先生(元NHKチーフディレクター) 六.閉会の辞 北海道祖門会会長永井賢史 ------------------------------------------ 喜 心 歩みよる人には安らぎを 老 心 訪づれる人には微笑を 大 心 去りゆく人には幸福を 三心に学ぶ 徹通義介禅師様は其の初め、高祖道元禅師様の もとで、典座職に就かれました。吉峰寺と永平寺 において修行僧の食事を司る大切な役目です。仏 の慧命をたもつ食を扱うその心得として、『典座 教訓の三心』を護り、全般を照管されました。 一、 喜心とは、食を作り三宝に供養できる巡り 合わせの因縁を感謝し、他人の利益に供す る喜びをもって勉める喜悦の心をいいます。 二、 老心とは、父母が切々と子を思い、我が身 の暑さや寒さをうち忘れ、子のすこやかな ことを願いながら一慈しみ育てるような親切 心をいいます。 三、 大心とは、譬えば大山や大海のように高 く、広い思いをもち、一方に片寄ったり 固執せず差別することない平等で大きな 心をいいます。 道元禅師様より仏法の大事を三代徹通義介禅 師様が承けつがれました。出家者ばかりでなく 在家の多くの人々へも、この三心の御教えが行 き届きますよう願って止みません。今こそわた したちは孝順心ゆたかな三心浄行の祖師、徹通 義介禅師様に学び、恭敬したいと思います。
典座、大庫院(午前二時とりかかる)でのお料理、 応量器による僧侶の食事作法のVTR上映の後 せめても、一汁一菜(おかず)... 手作り食事が必要と 講演の口火を切った ○人に良いものが食 食という字は「人」に「良い」と書きます。食べ物は人を良くしなけれ ばなりません。 そこで、人を良くする事を育むのが「食育」です。 日本の教育は"知育・徳育・体育"の三本柱の基本理念で成り立ってい ます。私はそれに加えて「食」を学校教育の中に組み入れると、より豊 かな知育効果が得られるのではないかと思い、義務教育の一環として、 中学卒業までに「食育」の導入を関係各方面に働きかけてきました。 私が考えている「食育」とは、料理や食体験を通して、 (一)に幼稚園児や小・中学校(父兄も含めて)を対象に"何が安全か" "どのように食べるのか""誰と食べるのか"を教え、食に関する興味 を抱かせる事です。もちろん、二十歳前後の青年期には、絶対ダイエ ットはしてはならないという事も教えてあげる必要があります。なぜ ならば二十歳で骨の成長が最大限になりますから、それまでの食生 活を一番理想的な形で行う事が望ましいのです。十代でダイエット をしたりすると後で取り返しのつかない身体になるからです。 健康な食品と不健康な食品、安全な食品と危険な食品を知ること により、適切な食品の選択できるようになる能力を培って欲しいわ けです。"栄養とはなんだろう""健康とは何だろう"、そして "料理法"などです。また、 (二)としてハシなどの"作法"をやさしく、面白く教える躾が必要です。 さらに (三)として食の周知にとどまらず、"食糧問題"、"人口問題"、 "エコロジー"、"リサイクル"、や"残飯"の問題まで幅広く教えること が食育なのです。 本来「食育」は家庭教育の中で行われるのが望ましいのですが、残念な ことに現在の家庭環境はそれにふさわしくない場所になりつつあります。 戦後、四世代・三世代という大家族制が崩壊し、核家族制に移行したがゆ えに、祖母から母へ、そして子供たちと受け継がれていくべき「衣・食・住」 の伝承がすっかり切れ切れになってしまいました。 加えて、受験戦争や女性の社会進出による共働きの増加などの要因によ って、共食の場である家庭で家族揃って食事を取る機会がめっきり減って しまいました。 孤食化(あるいは個食化)は、職場と家庭との距離が遠のき、又単身赴任 の家庭が増えたことも原因として挙げられるでしょう。 (三十年前の外食率は六・六lでしたが、現在、四十三lにもなりました) 平成二年の東京ガスの都市生活生活研究所の調査によると、パリでは 六十lの家庭が毎日家族揃って夕食を取っているのに比べて、東京では わずか三十lとの数字が出ています。一家団欒のシンボルである食卓の 上では加工食品が六割を超え、家庭料理のできない母親が急増の一途です。 親が栄養に無関心でいることが子供の"偏食"につながり、食べものの 好き嫌いを助長しています。 小さいときの悪い食習慣は成長を妨げるばかりでなく、大人になって とても危険な病気を引き起こす原因ともなるのです。 また、ナイフによる殺傷事件など、すぐキレる子供たちの犯罪が 社会問題化していますが、その根底には食生活があると、 私は考えています。 まずは買い物や台所で食材を目にする習慣をつけるといった簡単な ことでいいのです。 親子で食材に触れる機会を増やし、食を通して家族のコミュニケーション をはかることの大切さや、家族関係の円満さを学ぶことの重要性を 説いて欲しいのです。 ・早寝早起き朝ごはん(子供就寝日本10:45米8:10) ・テレビを見ながら食をする(日本68l,欧米32l) ・親を尊敬(日本193ヶ国中179番目21l) ・日本の食糧自給率39l
<服部幸應 2004年9月15日掲載 引用> 食育のすすめ 豊かな食卓をつくる五十の知恵 服部幸應/著 (二○○四年八月発行) ジャンクフードばかり食べてキレやすくなっている子どもたち。レトルト食品をレンジでチンするだけの食卓。すばらしい日本の伝統的な食文化はすたれ、箸ももてない子どもや大人もふえている。日本の食糧自給率はカロリーベースで四十パーセント。残飯は世界一の廃棄率だ。 食文化の第一人者でありテレビでもおなじみ、服部栄養専門学校校長で医学博士の服部幸應さんが、日本の危機的な食文化に対し「食育」を提案して13年。教育の現場から食生活を改善しようと、『食育のすすめ』では具体的な提案をしている。本書を読むと何を食べるべきかわかり、食を楽しむしつけのあり方、そして食糧をめぐる環境問題にまで目を向けることができる。 プロフィール 医学博士。学校法人服部栄養専門学校理事長・校長。昭和二十年生まれ。立教大学卒。昭和大学医学部博士課程修了。「料理の鉄人」「smap×smap」など、テレビでも活躍する食文化の探求家。安全で安心で健全な食生活を送るために「食育」を啓蒙して、藍綬褒章、厚生大臣表彰、文部大臣表彰およびフランス政府より国家功労勲章や農事功労勲章などを授与される。厚生労働省、農水省、文部科学省による「健康づくりのための食生活指針策定検討会」などの委員を歴任。政府の「食育調査会」アドバイザーも務める。 インタビュー 食育のすすめ 豊かな食卓をつくる五十の知恵 服部幸應/著 ――食を通して人間を育てていく「食育」が必要と十三年間訴えてこられ、ようやく、今年中には「食育基本法」が成立しそうです。服部さんがめざしている「食育」とはどんな内容ですか。 「私の考える食育には次の3つの柱があります。 まず一つ目は、どんなものを食べたら安全か危険か『選食』できる能力をつけること。そのために栄養や健康、料理法についての知識を身につけさせる。二つ目は小さいときから箸などの使い方を教え、食事作法のしつけをすることで、子どもたちをきちんとした大人に育てる。三つ目は、地球環境まで目を向けて、世界の食糧事情や人口問題、エネルギー問題まで考えることのできる知識を与えること。 最近の日本の食の荒廃ぶりや、子どもたちのしつけがなされていないこと、世界の食糧事情にあまりに無関心なことなどには非常に不安を感じますね。日本には昔から、知育、徳育、体育の三つの『育』が大切にされてきましたが、これに『食育』を加えることで、健康で健全な日本をよみがえらせることができると考えたのです。義務教育期間中に、食育を実施することの意義は大きいと思います」 ――「食育」の必要性を感じたきっかけは何でしたか。食文化について造詣が深く、日本はもとより世界のあらゆる食文化の知識がある服部さんは、この本で、日本の危機に瀕した食文化の実態を訴えてますが。 「二十三年ほど前にアメリカ帰りのジャーナリストに、日本では食教育(フードエデュケーション)をしないのかと言われたのがこの問題への開眼でした。そこで十三年ほど前から、本格的に食育に取り組み始めました。私は欧米の食文化研究家と交流があるんですが、アメリカでも、フランス、イタリア、ドイツでも、国をあげて、子どもたちが生涯にわたって豊かな食生活がおくれるような教育をしています。フランスでは加工食品の普及に危機感をもった3つ星レストランのシェフによる『味覚授業』運動があり、イタリアではスローフード運動がさかんです。『食育』もこれらの活動と重なり合っているのです。 そもそも私が危機感をもったのは、うちの学生(服部栄養専門学校の学生)のように料理人をめざす学生でも箸をもてなくなっていることを知ったことです。日本のすばらしい伝統文化が継承されてないんですね。それも年々ひどくなるばかりで、十三年前に三十二パーセントの学生が正しく箸をもてなかったのが、今年は五十二パーセントでした。すでに彼らの親世代が箸を正しくもてないんです」 ――日本の食における伝統文化が急速に廃れているのですね。 「この二十〜三十年で、日本人は高脂肪高たんぱくの食事になりました。肉を五.五倍、脂肪や油を四.一倍、スナック菓子を四倍もとるようになっています。今や日本人の3人にひとりがアレルギー疾患にかかっています。花粉やダニ、シックハウスなどにも起因しますが、原因の三分の一が食物アレルギーです。何を食べたらいいかわかってないのです。外食産業がさかんになり、食卓は加工食品が六割。欧米が見本にした日本の伝統的な食文化は失われています。せめて一汁一菜だけでも手作りしてほしい」 ――この本には伝統的な日本料理を見直すヒントや、健康を守るためのアドバイスがふんだんに書かれています。こういう知識はこれからの子どもに本当に必要ですね。 「旬の食材を適切に選び、四季の味を堪能することが、健康を守ります。よく噛むことで脳が発達するんです。最近は朝食を食べない子がふえてますが、それでは体と脳の働きが活性化しません。ダイエットばやりですが、骨が完成する20歳まではぜったいダイエットしてはいけない。こういった基本的なことを学校教育で教えるべきです。 そして舌で本物のおいしさを教える。出汁と塩の加減でどれほど味が変わるか。それから器や、食べる環境についても教えたいですね。学校給食は栄養価だけ考えて、和洋中華折衷のおかしなメニューが作られてますが、これも改善したいことのひとつです。 じっさい日本の食文化はすばらしいのです。緑茶や食酢、納豆には『0-157』の殺菌効果もあります。寄せなべは疲労回復に最適のメニューです。植物性食品は発がんを抑えます。海草もミネラルやビタミンが豊富です。こういうことを教えるべきです」 ――本書のあとがきでは、子どもたちの犯罪件数増加の原因に「食べ物」があるともおっしゃってますが。 「アメリカで殺人などの罪を犯して刑務所に入っている青年を調査したところ、小さいころからジャンクフードやソフトドリンクで育っていたそうです。カルシウムや亜鉛が不足してキレやすくなっていたんです。日本もキレる子がふえ、成人病予備軍もいます。何をどう食べたらいいか知らない大人が多いんです。ある病院で聞きましたが、赤ちゃんの離乳食に、カスタードプリンだけを1日に7個も与えていたり、赤ちゃんが喜んで食べたからととカキフライを13コ食べさせたりする親がいたそうです。子どもの育て方ももはや継承されていないんですね」 ――食を通したしつけが必要になっているわけですね。 「食という字は人を良くすると書きます。食を通して人を育くむことを私は提案しています。世界の高校生に『先生、親を尊敬しますか』とアンケートをとったら、アメリカ、韓国、中国、EU十五か国でも、多少の差はありましたが、八十パーセント以上が『イエス』でした。ところが日本はなんと二十一パーセント代と最低でした。だいたい五十パーセントを割ると国家的危機だそうですよ。 朝食をきちんととる、好き嫌いをさせない、ものを残してはいけない。こういうしつけがそもそも親自身にされていません。脳が完成するのが十歳。八歳になると『なぜだろう』という疑問が出てきますから、しつけは八歳までにしなければいけません。いいことをしたらハグ(抱きしめる)する、悪いことをしたら手の甲やお尻をバシッ。両親が同じ目線でしかる欧米のしつけは学ぶべきです。そして八歳以上になったら、たたかないことが大切なんです。 私は七十六か国を回りましたが、料理をしたことがないという子は日本が一番多かった。バランスのいい食事は免疫力を高めます。いい食事をとらせることで、しつけがなされていくのです。昔の日本人は食を通してしつけをしていたのですが、今の日本でその習慣を取り戻すには一○○年かかるでしょう」 ――食育のひとつに、世界の食糧事情を知って環境問題まで学ぶという提案がされていますが、たしかに日本の食環境の荒廃は目をおおうばかりですね。 「食糧自給率は先進国中最低で、カロリーベースで四十パーセント。それでいて残飯廃棄率は世界一で二十五パーセント。こんなところにも食育の必要を痛感します。 いつのまにか日本人は自分たちだけよければそれでいいというふうになってしまったんですね。地球上には六十四億人が住んでいて、そのうち満足に食べられる人はたった五億人。その五億人の八パーセントのなかに 一億二、七○○万人の日本人全員が含まれています。それなのに自分はそんなに豊かじゃないと思っている。日本人が廃棄している食糧だけで 地球上の一、五○○万人の人を飢餓から救えるのに。 このままだと日本は少子化で一○○年たつと江戸時代の人口と同じくらいの四、○○○万人になってしまうそうですが、世界的に見ると 二、○五○年には人口八十九億人になる見通しです。食糧増産がどこまで進むのか。こうしたこともふまえて、自然の恵みに感謝して、地球人のひとりとして食を考えることが重要です」 ――ところで服部さんは十歳にして天丼を作らされ、夕食は知識のある人と食べて家で食べるなというお父さまの食の英才教育を受けられたそうですね。 「世界各国のおいしいものを食べました。舌で覚えたんですね。でも今や年に三十数回もさまざまな食コンクールの審査を務め、講演は年一二○回。テレビは週七本かかわっています。政府の食の安全、安心、健康に関した委員会委員などにも出席しなければならないというので、朝食はしっかりとるようにしてますが、あとは理想的な食生活というわけにはいかないのがつらいところです(笑)」 お話をうかがって、長年にわたる「食育」の実現に向けての情熱を強く感じた。食を通して教育をすることは、子どもたちにとって必要なことだ。 「豊かな食卓をつくる五十の知恵」というサブタイトルがついている本書は、さまざまな面から食を検証しているが、何をどう食べてバランスよい食生活にするか、基本的な知識が得られる。おいしく調理した旬の食材を食べたいという気持ちにさせてくれる。 ☆ もどる | ||||||||||||