相田みつを詩集
  
                                                     
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奪い合えば足らぬ、
分け合えば余る。


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土の中の水道管
高いビルの下の下水
大事なものは表に出ない


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できない約束はしないことだな


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あなたの心がきれいだから
なんでもきれいに見えるんだなあ


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アレもコレもほしがるなよ


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名もない草も実をつける
いのちいっぱいの花を咲かせて


    ................


負ける人のおかげで 
勝てるんだよな


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いまここに 
だれとも くらべない
はだかのにんげん 
わたしが います


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だれにだってあるんだよ 
ひとにいえない くるしみが
だれにだってあるんだよ 
ひとにいえない かなしみが
ただ だまっているだけなんだよ 
いえばぐちに なるから




    ................


あなたにめぐりあえて 
ほんとうによかった
ひとりでいい 
そういってくれる 
ひとがあれば




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みかんには みかんの味があり
りんごには りんごの 
美しさがある
しあわせは いつも 
じぶんのこころが きめる




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かんのんさまは どうして 
こんなにしずかなの
かなしみに たえた人だから
どうしてこんなに やさしいの
ひとの世の くるしみに 
一番泣いた方 だから




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うつくしいものを 美しいと思える 
あなたの こころが うつくしい




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諦念


なんでもいいんだ
ともかく一生懸命やって
みることだ


いのちがけでやってみることだ
そうすれば 人間の
不完全さが よくわかる
自分の至らなさが
骨身に沁みて よくわかる
頭でなくて からだ全体で
よくわかる
諦念の世界は そこから
ひろがってくる


手をあわせずには
いられない
諦念の世界が




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七転八倒


つまづいたり
ころんだり
するほうが
自然なんだ
にんげんだもの




☆     ................


無為不待


人里はなれた
谷間の白百合の花は
誰にも
見てみてもらえないですが
少しのかけひきもなく
精一杯の美しさで
咲きます


このような
純粋な行為を
仏教では
無為不待と
いうそうです




☆     ................


いいですか
いくらのろくても
かまいませんよ
たいせつなことはね
いつでも前をむいて
自分の足で
自分の道を歩く
ことですよ
いいですか
どんな大事な
ものでもね
荷物はみんな捨てゝ
くださいよ
自分のからだも
捨てるんですからね




☆     ................


にんげんはねぇ
どんな人でも
人それぞれに
悩みや苦しみを
いっぱい抱えて
生きているんだね
ほとけさまにも
いえないような
悩みと苦しみをね




    ................


ぐちをこぼして
ゆくんだね
なみだをながして
ゆくんだね
だれにも気がねは
いらぬから
えんりょしなくて
いいんですよ
ぐちをこぼして
ゆくがいい
なみだをながして
ゆくがいい




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外灯というのは
人のために
つけるんだよな
わたしはどれだけ
外灯をつけられる
だろうか




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気が小さくて臆病で
人のこと気になって
三日もねむれぬ
こともある


おだてられれば
いい気になるし
わるくちいわれりゃ
腹立つわたし


物欲色欲名誉欲
人間はねぇ
欲望のかたまりだな
人間のわたし




☆     ................


にんげにんげん
一番いやな
ことは
じぶんが
じぶんに
うそを
いうときだ




    ................





がまんをするんだよ
がまんをするんだよ
くやしいだろうがね
そこをがまんを
するんだよ
そうすれば
人のかなしみや
くるしみが
よくわかって
くるから




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人生の的


ふたつあつたら
まようよな
ひとつなら
まようことが
ない
人生の的は
ひとつがいい




    ................


うまれかわり
死にかわり永遠の
過去のいのちを
受け継いで
いま自分の番を
生きている
それがあなたの
いのちです
それがわたしの
いのちです




☆     ................


自分の花


名もない草も
実をつける
いのちいっぱい
自分の花を
咲かせて




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アノネ
仕事はなんでも
いい
ただひたすら
じぶんの仕事に
打ち込んでいる
姿はみんな
すばらしい




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かねかね
かねと
金追いかけても
行きつく
ところは
一体どこ
なの?




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道は自分で
つくる
道は自分で
ひらく
人のつくった
じぶんの道に
ならない




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人間
追いつめられて
はじめて
本音を吐く
その時
どんな本音を
吐くか
それが大事




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ある日自分へ


おまえさんな
いま一体何が
一番欲しい
あれもこれもじゃ
だめだよ
いのちがけで
ほしいものを
ただ一ツに的を
しぼって
いってみな




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べんかい


あのねぇ
どんなに上手な
べんかいをしてもね
べんかいは
やっぱり
べんかいなんだよ
なあ




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みんなほんもの


トマトがねぇ
トマトのままでいれば
ほんものなんだよ
トマトをメロンに
みせようとするから
にせものに
なるんだよ
みんなそれぞれに
ほんものなのに
骨を折って
にせものに
なりたがる




    ................


飾り物


あのねぇ
財産 肩書き 地位
名誉 その他
自分についている
誇り高き飾り物を
みんな落として
すっぱだかに
なってごらん
人間としての本当の
自分がわかるから




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目にみえないを


わたしの住み家は道ばたの
アスファルトの小さな
割れ目の中 わたしは
人の足にふまれてばかりいる
栄養不足の名もない雑草です
名もない雑草ではあるけれど
人の足にふまれるたびに
涙をこらえて歯をくいしばり
土の中ふかく根を張るんです
いつかくる春の日に
いのちいっぱいの
自分の花を咲かせるために
いまは ただ
目に見えない
たくましい根を
育てるんです




    ................


慣れるな
なれるな
どんなことにも
慣れるな
慣れると
感動が
なくなるから




     ................          


無常


因も変り
縁も変る
なにもかも
みんな変って
ゆくんだね
人間関係も
変ってゆく
世の中
無常だから


    ................


どうでも
いいものは
どうでもいいんだよ
いちばん
大事なことに
一番大事な
いのちを
かけてゆくことだ


    ................





いまはなんにも
いわないほうがいい
語らないほうがいい
つらいだろうが
黙っているほうがいい
いえばべんかいに
なるから


    ................


わかって
たまるか
人に踏まれて
ばかりいる
雑草の
くるしみが


    ................


うん


「あんなやつ
  死んじゃぇばいい」
わたしのこころの中の
鬼がさけぶ
「あのね人を恨んでね
ほんとうに傷つくのは
じぶんなんだよ」
鬼のうしろで
仏がそっとささやく
鬼心
   仏心同居の
わが家
   家主はじぶん


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おたがいに
なあ
不完全
欠点だらけの
にんげん
ですがね


    ................


おさいせん


百円玉一つ
ぽんと投げて
手を合わす
おねがいことの
多いこと


    ................


人の為と
書いて
いつわりと
読むんだね


    ................


自己顕示


「この花はおれが
  咲かせたんだ」
土の中の
肥料は
そんな
自己顕示を
しない
  おれのような


    ................


つまづいたって
いいじゃないか
人間だもの


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強がりなんか
いうことないよ
やせがまんなど
することないよ
だれにえんりょなんか
いるもんか
声をかぎりに
泣くがいい
ただひたすらに
  なけばいい


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あんなにして
やったのに
「のに」がつくと
ぐちがでる


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子供に一首


どのような
道を
どのように
歩くとも
いのちいっぱいに
いきてれば
いいぞ


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眼横鼻直


眼はヨコ
鼻はタテ
まっすぐなものは
まっすぐに
曲がったものは
曲がってみえる
あたりまえのことを
あたりまえに行う
道元禅師の教えです


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肥料


あのとき
あの苦しみも
あのときの
あの悲しみも
みんな肥料に
なったんだなぁ
じぶんが自分に
なるための


☆     ................


点数


にんげんはねぇ
人から点数を
つけられるために
この世に生まれて
きたのでないんだよ
にんげんがさき
点数はあと


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相手がある
ことじゃけん
のう
こっちの思う
ようにはならん
のう


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琴の糸


張りすぎてもダメ
たるんでもダメ
ちょうどいい
あんばいのときに
ちょうどいい
あんばいの音が
出る


    ................


わたしの坐右銘


あとでやろう
と思っても
やれた試し
がない
やるならば
いつでも
いまだ
青春浪人


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真理


生まれて
老いて
病んで死ぬ
だれにも
避けられない
永遠の真理
真理の中に
生かされている
わたしのいのち


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しあわせは
いつも
じぶんの
こころが
きめる


    ................


ボロは
初めに
見せておけ
そうすれば
いつでも
天下泰平だ


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ただいるだけで


あなたがそこに
ただいるだけで
その場の空気が
あかるくなる
あなたがそこに
ただいるだけで
みんなのこころが
やすらぐ
  そんなあなたに
   わたしもなりたい


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昨日までの
自分を否定し
今日の自分に
生きる
今日
新たに
生まれ変わる


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あとでやろうと
思っても
やれた
試しがない
やるならいつでも
いまだ


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自分の番


うまれかわり
死にかわり 永遠の
過去のいのちを
受けついで
いまの自分の番を
生きている
それがあなたの
いのちです
それがわたしの
いのちです


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自分の番
 いのちのバトン


父と母で二人
父と母の両親で四人
そのまた両親で八人
こうしてかぞえてゆくと
十代前で千二十四人
二十代前は...?
なんと百万人を越すんです
過去無量の
いのちのバトンを受けついで
いま ここに
自分の番を生きてる
それが
あなたのいのちです
それがわたしの
いのちです


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アノネ
かんのんさまが
みていてくれるよ
なにもかも
みんな承知でね
かんのんさまが
みていてくれるよ
いいわけやべんかいなんか
しなくてもね
かんのんさまが
ちゃんと
みていてくれるよ


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生きてきて
楽しいと思う
ことの一つ
それは
人間が人間と
違って人間に
ついて話をする
時です


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長い人生にはなぁ
どんなに避けようとしても
どうしても通らなければ
ならぬ道というものが
あるんだな
そんなときはその道を
黙って歩くことだな
愚痴や弱音を
吐かないでな
黙って歩くんだよ
ただ黙って
なみだなんか見せちゃ
ダメだぜ
 そしてなあ
  そのときなんだよ
   人間としての
    いのちの根が
     ふかくなるのは


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どうでも
いいものは
どうでもいいんだよ
いちばん
大事なことは
一番大事な
いのちを
かけてゆくことだ


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正直者は
ばかをみる
だからといって
うそばかりも
通らない
世の中
単純じゃねんだよ
なあ


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運転手


あれもほしい
これもほしい
ああなりたい
こうなりたい
欲望いっぱいの
この自分
そういう自分の
運転手は自分


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仕事


おなじやるならば
本腰入れて
やってごらん
さのほうが
つかれないで
たのしいから


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むりを
しないで
なまけない
わたしは
弱い人間だから


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歩くから
道になる
歩かなければ
草が生える


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うれい


なみだで
あらわれるたびに
まなこがふかくなり
うれいが
ふかくなる


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むかしの人の
   詩にありました


君看よ 双眼の色
語らざれば
憂い無きに似たり


憂い...が
無いのではありません
悲しみ...が
無いのでもありません
語らない
だけなんです
語れないほど
深い憂い...だからです
語れないほど
重い悲しみ...だからです


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ひとりでもいい


あなたにめぐり逢えて
ほんとうによかった
生きていてよかった
あなたにめぐり逢えたから


つまずいてもいい
ころんでもいい
これから先
どんなことがあってもいい
あなたにめぐり逢えたから


ひとりでもいい
こころから
そういって
くれる人があれば


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