クリックすると、メデイアプレイヤーによる映像が見られます。

「ALICE SANCTUARY」
マンハイム=ハイデルベルグ国際映画祭正式出品
国際映画批評家連盟賞
ラトビア国際映画祭パノラマ部門正式出品

カラー35ミリ、108分、ヨーロピアンビスタサイズ、1995年作品


【解説】

沈黙の白

監督:渡辺孝明

白日の下に晒されると、途端に色あせる密やかな営み。
他人の目に触れた瞬間、私だけの物語りは、突然恥ずかしい秘め事へと転落する。

愛も恋も性も、憎しみも嫉妬も復讐も、私たちの生の根源を支える情動の全てが、この世界のしくみの中で
負の羞恥をおびる。
しかしたった一人、真夜中に去来するものは、そうした個人的な思いに由来する、何故、
という問いでしかない。

固い、殻のような、沈黙のカプセル。

しかし、生きるとは、答えのない問いを問い続けること。

肉体を突き動かす何か。
根源へと立ち戻る回路を閉ざす、日々の暮らし。
類型化された、肖像写真の私。
閉じ込められた「私」の中で、それでも蠢きつづける私自身。
求め続ける、私だけの証。
映画は、個に閉じ込められた永遠の闇の混沌。
沈黙と、凍えた血の色の中だけに発見できる、最後の私。
私を取り囲む全てを失って、なお残り続ける「私」という営み。
「ALICE SANCTUARY」は、17歳の成就しない「恋愛」に託した、恋心の
迷宮なのです。

恋すること それだけが誰のものでもない
私 だけのあかし!!

出演
坂井江奈美、坂井香月、内田大介、細野哲弘、高良陽一、小林英俊
せんただみつお、内藤やす子、マルセ太郎、
製作
吉田悦子、一宮一子
撮影:本吉修
音楽:西野勝
美術:吉村堅治、国分宏修、佐藤江理奈、菅原桂太
録音:吉田一明
照明:渡辺昭夫
監督、脚本、原案
渡辺孝明

2001年サウンドトラックを作曲してくれた
西野勝さんが自死された。

何故かは、分からないし、分かるべきでは無いのかもしれない。
死の4ヶ月前の、彼の姿がある。

最後の時、発見されるまでの10数時間を一緒に過ごしたのは、
彼が最後に愛した、犬だったと聞いた。

犬は、何を見つづけていたのだろうか。

彼の最後の曲を、誰か聞いてくれるだろうか。
そう思ったら、上の写真をクリックして欲しい。

西野勝には渡辺との共作で、「ALICE SANCTUARY」の他に

NHK・BSスペシャル「日本染め織り紀行・有松、鳴海絞り」 の音楽が、ある。